庭サウナの魅力や注意点、設置タイプとコストを徹底解説

庭サウナの魅力や注意点、設置タイプとコストを徹底解説

近年のサウナブームやアウトドアレジャーの人気を受け、「自宅にサウナが欲しい」「庭にサウナ小屋を作りたい」と考える方も多くなっています。庭に設置できるサウナにはさまざまな種類があり、費用や注意点も異なります。この記事では、庭サウナの魅力や注意点、庭に設置できるサウナの種類、費用などについて解説します。

庭にサウナは作れる?屋外サウナが人気の理由とは

サウナブームによってサウナも楽しめる施設が多く登場し、ガーデンサウナがあるホテルやテントサウナを備えたキャンプ場など、サウナを設置しているレジャー施設も増えています。

中には、屋外でのサウナ体験に感動し、「自宅にもサウナを作って、好きなタイミングでととのいたい」と思う方もいるようです。そもそも、自宅の庭にサウナを設置することはできるのでしょうか?

結論から言うと、設置可能です。自宅の庭にマイサウナを作る方法はいくつかあり、広さや予算などのバランスを取ることで、庭サウナを実現できます。

庭サウナであれば、人混みや営業時間を気にせず、また長距離の移動も不要で、いつでも利用可能。加えて、サウナの本場フィンランドのように自然の風を感じながら楽しめる点も、庭サウナが人気の理由でしょう。

施設のサウナと違い、温度の設定や好きな香り、ロウリュの頻度などを気兼ねなくカスタマイズできるのが嬉しいポイント。さらにサウナの近くに水風呂や休憩スポットも設置すれば、自宅にいながらいつでもととのうことができます。

庭に置けるサウナの種類をご紹介する前に、庭サウナならではの魅力や注意点を解説します。

Vetääサウナ(撮影:齋藤木材工業株式会社)

庭サウナの3つの魅力

庭サウナには、施設のドライサウナにはない3つの魅力があります。

自分好みのサウナを作れる

自宅用サウナは、例えば浴室内にサウナ室を設ける、自宅リフォームのときにサウナルームを作るなどすれば、屋内にも設置は可能ですが、増築や間取り変更などを伴うため簡単ではありません。

一方、庭サウナであれば、住宅の間取りや天井の高さなどに左右されないため、好みのサウナを設置することができます。サウナの種類・材質・デザインなど、さまざまな種類から好みのものを選べるのも、庭サウナならではの楽しみでしょう。

熱や湿気を気にせずに使える

施設の構造やサウナの設置場所にもよりますが、屋内にサウナを置く場合、サウナの熱によって近くの部屋のエアコンが効きにくくなったり、ロウリュによる湿気が漏れ出して不快に感じたりするなど、ほかのスペースに影響を及ぼすことがあります。

しかし庭サウナでは、熱や湿気は外に出ていくため、温度・湿度をあまり気にせずサウナを楽しめます。屋外のため換気もされやすく、屋内のサウナに比べカビが発生しにくいのもメリット。自分の好きな温度に調整したり、心ゆくまでロウリュをしたりできるのは嬉しいですね。

外気浴を気兼ねなく楽しめる

気軽に外気浴を楽しめるのも、庭サウナの魅力の一つです。サウナにおける外気浴は、高まった体温や血圧を下げ、自律神経を整える目的などで行うとされています。

屋内にあるサウナは近くに外気浴スペースを設置するのが難しい場合があり、椅子などが少なく混雑していることもあります。しかし庭サウナであれば、サウナ・水風呂・外気浴スペースを一か所にまとめやすく、開放感のある外気浴が気兼ねなくできます。プライベート空間のため周りの目を気にせず、十分にリラックスできるのも、サウナ施設にはない魅力です。

庭にサウナを設置する際の4つの注意点

実際に庭にサウナを設置する前に、知っておきたいいくつかの注意点があります。

広い庭を確保する必要がある

安定した場所であることを前提として、サウナを設置するための広いスペースを確保することが重要です。サウナ本体のサイズに加えて、外気浴スペースや水風呂、移動する動線も考慮して、設置できるサウナを選びましょう。

サウナの種類によっては基礎工事が必要になるほか、サウナ小屋のような重量のあるサウナは、設置後に地盤沈下が起きる可能性があるため、事前に現地調査を行い、下地を整備することも大切です。

初期費用が高い

庭サウナの種類にかかわらず、設置には初期費用が必要です。サウナの種類や大きさによって異なりますが、長く使用できるタイプのサウナは高額で、大きなものは専門業者に設置を依頼する必要もあります。

サウナ本体のほかに、周辺設備の費用も発生します。サウナ内に電気を通すには配線工事が必要です。主な熱源としては電気式ストーブと薪ストーブが挙げられますが、どれを使うかによっても、必要になる工事と費用が異なります。さらに水風呂やシャワーを設置するのであれば、給水・排水のための設備費用もかかります。

定期的なメンテナンスが必要になる

庭サウナは、風雨や日光(紫外線)の影響を受けるため屋内のサウナよりも劣化しやすく、定期的なメンテナンスが必要です。例えば木製のサウナでは、外壁と屋根を数年ごとに塗装するなど、劣化対策の手間とコストがかかります。

庭サウナを購入する際は、購入価格だけでなく、メンテナンスのしやすさも考慮して選びましょう。

サウナの種類によっては制限がかかる

個人で楽しむためのサウナの設置自体を禁止する法令はありませんが、設置する場所やサウナの種類によっては制限がかかる場合があります。具体的には、建築基準法や消防法、市町村の条例に基づく制限です。

例えばサウナ小屋は「工作物」ではなく「建築物」に含まれ、床面積が10平方メートルを超える場合は、建築基準法に基づく建築確認申請と構造計算が不可欠です。

加えて、都市計画法により各自治体が指定する「防火地域」「準防火地域」では、10平方メートル未満でも建築確認申請を出す必要があり、耐火基準をクリアしたサウナでなければ設置できません。庭サウナを検討する際は、自宅の建ぺい率と容積率を調べると同時に、区域指定をよく確認して、ルール違反とならないよう注意しましょう。

また、消防法におけるサウナとは、浴場や宿泊施設などの建物内に設置される「固定式サウナ」を想定しており、庭サウナに使われるテントサウナや小屋サウナといった「可搬式サウナ」の設置は、各自治体の条例を根拠に地域ごとに判断されるのが現状です(2024年8月現在)。

直近では可搬式サウナの特性を踏まえた検証実験などが行われており、火災予防対策の見直しが進められているため、今後の法改正にも注目です。消防法に関わる規定に準じているか確認したいときは、サウナのメーカーあるいはお住まいの自治体にある消防署へ問い合わせてみましょう。

参考:総務省消防庁『可搬式サウナ等の特性に応じた防火安全対策に関する検討会

庭に設置できるサウナの種類

image by Clay Banks on Unsplash

では、実際に庭に置けるサウナの種類をご紹介します。庭サウナ(屋外サウナ)は、簡易的な設備でできるものから専用の小屋を建てるものまで、さまざまな種類があります。設置場所の条件や予算などに合わせて、適切なものを選びましょう。

テントサウナ

テントサウナとは、耐熱性の高いテント生地でできた、簡易型のサウナです。中に薪ストーブを設置して、薪を燃やす熱でテント内の温度を上げて、庭サウナを実現します。

低価格で組み立てが簡単なため、まずは庭でサウナを試したい方や、庭だけでなくキャンプ場などでも利用したい方におすすめです(※施設の使用ルールをご確認ください)。

好きな場所でサウナが楽しめる手軽さがある一方で、その都度設置と撤去をする手間がかかります。テントという特性上、耐久性は低いため、長期間の使用には向いていません。またしっかりとした壁のあるサウナと比べ断熱性は劣るので、季節や天候によっては使用できないのもデメリットです。

バレルサウナ

バレルサウナとは、樽(たる)を意味するバレル(英:barrel)が語源になっており、円筒のような形が特徴。サウナの本場フィンランドに古くからある伝統的なサウナの一つで、多くは釘などを使わず、木材のみで作られます熱や蒸気が循環しやすい形状のため、予熱時間が短く、サウナ内の温度が均一になりやすいのがメリットです。

ユニット型であれば、組み立てる必要がないためすぐ使うことが可能で、近年はリゾートホテル・グランピング施設・別荘などでバレルサウナを設置するところが増えているほか、プライベートサウナとして庭にバレルサウナを設置している方もいます。

基本的に木製のため、外壁や屋根の定期的なメンテナンスが欠かせません。断熱性と防湿性が低いため外気温の影響を受けやすく、気温が氷点下になるような日は温度が上がりにくいのが難点です。

サウナ小屋

サウナ小屋は、アーチ型・箱型・ログハウス型などさまざまな形状がある木製のサウナです。遮音性や防水性に優れており、壁に断熱材を使用していれば保温性も高いのが特徴。サウナから庭の景色を眺めることができるよう前面がガラス張りになっている、ガーデンハウス風のサウナもあります。

しっかりとした設計から耐久性が高く、長く使えるメリットもあります。そのため、本体費用は高額で基礎工事が必要なことも多く、初期費用は高くなる傾向にあります。

コンパクトで簡易的なタイプのサウナ小屋は、初期費用は抑えられますが、やや窮屈で耐久性は劣ります。

サウナカー

近年、じわじわと注目を集めているのが車とサウナが一体となったサウナカーです。車が走れる場所ならどこへでも移動することができ、川や湖の目の前など、好きな場所でサウナを楽しむことができます。

テントサウナのように毎回設営・撤去する必要がなく、車が貴重品ロッカー替わりになるのもメリットです。

ただし、運転には自動車免許が必須になるのと、車とサウナ両方のメンテナンスが必要になります。また、その場所でサウナをしてもよいか、使用許可の確認も必ず行いましょう。

庭にサウナを設置する際にかかる費用

庭サウナは、50万〜150万円ほどが目安とされています。本体価格は、テントサウナなら10万円程度で購入可能で、設備が充実しているガーデンサウナには600万円ほどするものもあるほか、同じ大きさのバレルサウナでも使用する木材によって価格が違うなど、費用はサウナによって大きく差があります。

サウナ用ストーブもさまざまで、薪と電気、デザインや大きさ、ロウリュの可否などでも価格が違ってきます。基礎工事や電気工事、設置や組立費用なども含めると、庭サウナ設置には最低でも150万~200万円の初期費用がかかるのが一般的です。人によっては、サウナ用ハットやポンチョ、外気浴のためのチェア、ロウリュのためのサウナストーンなど、快適なサウナ環境を整えるものも必要になるでしょう。

設置後のランニングコストも重要で、ストーブの薪や電気代、シャワーや水風呂の水道代、外壁塗装などのメンテナンス費用のほか、固定資産税が発生する場合もあります。長くサウナを楽しめるよう、維持管理にかかる費用も考慮してサウナを選ぶことも大切です。

image by Al Butler on Unsplash

自分好みの庭サウナで至福のひとときを

庭にサウナを設置することで、混雑や営業時間などを気にせず、いつでも好きなタイミングでととのう生活が実現可能です。自分がゆったりくつろげる空間づくりと同時に健康増進を図り、サウナ施設に行く時間や交通費を節約できるのも、庭サウナのメリットでしょう。自宅の庭に設置できるサウナの種類や利用するための条件を調べて、理想の庭サウナで至福のひとときを過ごせるとよいですね。