デジタルデトックスの効果とやり方。アプリやグッズ、過ごし方のアイデア8選

デジタルデトックスの効果とやり方。アプリやグッズ、過ごし方のアイデア8選

スマホやタブレット、パソコンなどのデジタルデバイスなしには成り立たないほど、私たちの生活はデジタル化されています。新たな情報を絶え間なく発信するデジタルデバイスにより、暮らしはより便利で快適なものになりました。しかしその一方で、「スマホ依存」「SNS疲れ」など、デジタルデバイスを取り巻く負の側面が浮き彫りになっています。この記事では、デジタルデバイスがもたらす負の側面を洗い出すとともに、デジタルデバイスとの適切な付き合い方を探る手段である、「デジタルデトックス」の効果やアイデアなどをご紹介します。

デジタルデトックスとは

デジタルデトックスとは、スマホやパソコンなどのデジタルデバイスと一定期間物理的に距離を置くこと。同時に、リアルな世界でのつながりやコミュニケーションにフォーカスする取り組みです。

デジタルデバイスが生活の一部になった現代において、SNSを通じた「つながり」の維持や情報収集手段など、私たちの生活はデジタルデバイスに依存していると言っても過言ではありません。一方で、デジタルデバイスへの依存と心身の不調との関連が、指摘されています。

デジタルデトックスは、デジタルデバイスによる自身への影響に気が付き、適切な付き合い方を探るために必要な時間とも言えるでしょう。

デジタルデトックスが必要とされる背景

デジタルデトックスへの注目度は、なぜ高まっているのでしょうか。そこには、デジタルデバイスによる心身への影響が、さまざまな面で指摘されているという背景があります。

デジタルデバイス
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「スマホ依存」の増加で心身への影響も

デジタルデバイスによる心身への影響は、スマホの普及とも関連性が高いと言われています。総務省の情報通信白書によると、2020年におけるスマホの世帯保有率は9割に迫り、2010年の1割代から急激に増加しています。スマホの普及により、私たちの生活はさまざまな面でより便利になりました。その一方で、「常にスマホを確認していないと落ち着かない」「すきま時間があると無意識にスマホを操作してしまう」といったスマホ依存に陥る人が増加し、心身への影響が指摘されているのです。

スマホ依存は心身にどのような影響を与えるのでしょう。

スマホ依存からくる、身体面の不調

まず、スマホを日常的に長時間使用することにより、次のような身体面への影響があるとされています。

●肩こり
●猫背・巻き肩
●スマホ肘
●ストレートネック
●眼精疲労やドライアイ
●スマホ老眼

これらの症状は、いずれもスマホの使いすぎと関連が高いと指摘されています。スマホを利用するのに長時間不自然な姿勢が続いたり小さな画面を見続けたりすることにより、これらの症状が出ると考えられているのです。

スマホ依存による、精神面の不調

スマホ依存により、次のような精神面の不調も指摘されています。

●不安
●苛立ち
●焦燥感
●情緒不安的
●うつ症状

スマホゲームやSNSなど、スマホを媒介するさまざまなコンテンツにはやめたくてもやめられないという「依存性」があると言われています。ゲームやSNSなどの利用を日常的に長時間続けることにより生活リズムが乱れ、睡眠不足や昼夜逆転の原因に。その結果、自律神経系の不調としてこれらの症状が引き起こされると言われています。

子どもへの影響も

スマホ依存は、子どもにも広がっています。2019年に東京都が行った「子どものスマホ利用状況」に関する調査によると、「子どもにスマホを所持させたことにより、何らかの影響があった」とする親は43.6%にのぼりました。具体的な影響として、「睡眠不足」が19.6%、「勉強に集中できなくなり、成績が下がった」が10.3%、「視力低下・肩こりや頭痛、めまい」が8.1%などがあがっています。

図表

(参考:東京都都民安全推進本部『家庭における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用に関する調査結果報告書(概要版)』)

スマホは子どもにも多大な影響を与えていると考えられるのです。

スマホ依存度はどのくらい?自己診断テストでチェック

では、実際に自分がスマホ依存の状態かどうかは、どのように測定するとよいのでしょうか。スマホ依存状況の把握には、インターネット依存度テスト「IAT ( Internet Addiction Test)」が役立ちます。

IATは、インターネット利用に関する20の質問に対して、自身の状況を「全くない(1点)」~「いつもある(5点)」の5段階で回答することにより、依存状況を評価できるテストです。

IATは以下のサイトからチェックすることが可能です。
https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/screening/iat.html

デジタルデトックスの効果やメリット

デジタルデトックスにはさまざまな効果や行うメリットがあるとされています。その一部を見てみましょう。

睡眠の質が高まる

デジタルデトックスは、睡眠の質の改善に役立つと言われています。これは、スマホなどのブルーライトによる刺激がなくなるからだとされています。

ブルーライトは太陽光にも含まれているため、ブルーライトを浴びると脳が昼間だと判断。就寝前にブルーライトを浴びることは、体内時計の乱れの原因となり、寝付きが悪い、眠りが浅いなど睡眠の質の低下を招きます。

就寝前のスマホ習慣をやめることで、ブルーライトの影響を受けず自然なリズムで眠りにつくことができるようになり、睡眠の質が高まるというわけです。

睡眠の質が高まれば、朝すっきりと目覚めて気持ちよく一日を始められる、日中も活動的に過ごせるなど、生活自体の質も向上させられると考えられるでしょう。

眼精疲労や肩こりなど不調の改善

デジタルデトックスにより、「疲れ目」や「肩こり」などの身体的な不調が改善するという報告もあります。

スマホやタブレットなどの画面を長時間見続けることで、目のピント調節機能が常に緊張状態となります。これにより、目や目の周辺の筋肉に過剰な負担がかかり眼精疲労の原因になると言われています。

また、スマホやパソコンを操作する時の姿勢の乱れが、肩や背中周りの筋肉のこりにつながるとも言われています。

デジタルデトックスにより、目や肩、背中周りの筋肉を休ませることで、これらの不調の解消に役立つでしょう。

ストレス発散や、リアルな世界とのつながりの再認

「SNS疲れ」という言葉に代表されるように、SNSの利用により知らず知らずのうちにストレスを抱えている現代人が増えています。SNSのタイムラインから他人の生活や交友関係と自分自身を無意識に比較し、劣等感や自己嫌悪を覚えるといった経験を持つ人が少なくないようです。

デジタルデトックスによって仮想現実的な世界と距離を置くことは、現実の世界に目を向け、ありのままの生活や、その価値に気がつくきっかけになります。人と比べることで無意識に感じていたストレスや疲れが解消され、自身の生活や自分自身の「本当に好きなこと・やりたいこと」に目を向けるきっかけになるでしょう。

デジタルデトックスのやり方・方法3つ

デジタルデトックスのやり方は、シンプルにスマホやタブレットなどの「デジタルデバイス」と距離を置くこと。しかし、日常的に欠かせなくなったデジタル機器を一定期間でも手放すことは、簡単ではないと感じる人も多いでしょう。

ここからは、なるべく無理なく、その時間を楽しみながらデジタルデトックスを行う方法をご紹介します。

専用アプリを使う

スマートフォン
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デジタルデトックス用に作られたアプリは数多くあります。中でも多いのは「設定した時間中は、他のアプリの使用が制限される」タイプと、スマホ操作時間が短いほど動植物が育つなど、「ゲーム感覚で楽しめる」タイプのものです。

それぞれのタイプからおすすめのアプリを厳選してご紹介します。

Detox

Detoxは、タイマーを設定するとその時間中は電話以外の操作が完全に出来なくなる、強制力の強さが特徴のアプリです。スマホの使用時間を制限できるため、スマホ依存の予防や依存からの脱出に効果的です。

Detoxを使えば、「気がつくとスマホを操作している」「少しだけと思ったのに何時間も使ってしまった」など、無目的にスマホを操作してしまう時間をなくし、日常生活に目を向けるきっかけとなるでしょう。また、子どものスマホ使いすぎ防止対策としても効果的です。

料金:無料(App内課金有り)

Google Play URL:https://play.google.com/store/apps/details?id=forinnovation.phoneaddiction&hl=ja&showAllReviews=true

Forest

Forestは、スマホ操作を我慢するほど木が育つアプリ。集中したいときにアプリ内で木を植えておき、一定期間スマホ操作がなければ、木が成長する様子を見ることができます。一方で、途中で不要な操作を行うと木が枯れてしまいます。

何本もの木を育て、最終的に森林を作ることも可能。木が育つ様子から自分がスマホに触らずに集中できたことがわかり、達成感を感じることができるでしょう。

また、課金すれば本物の木を植えることもできます。リアルな世界での緑化にも貢献できるというユニークな仕組みも特徴的です。

料金:490円(App内課金有り)

App Store URL:https://apps.apple.com/jp/app/id866450515
Google Play URL:https://play.google.com/store/apps/details?id=cc.forestapp

専用グッズを活用する

スマホと物理的に距離を置くために、専用グッズを利用する方法はいかがでしょうか。「Egoelife タイムロッキングコンテナ」は、スマホと物理的な距離を保てるデジタルデトックス専用ボックス。中にスマホを入れたら、あらかじめ設定しておいた時間のうちは蓋にロックがかかり、スマホが取り出せないという仕組みで、デジタルデトックスを応援してくれます。

試験やプロジェクトの締切間際など、集中が必要なときに使うとより効果を実感できるのではないでしょうか。

amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B086W1V2J5?tag=291006-22

デジタルデトックスツアーや旅行に出かける

楽しみながら本格的にデジタルデトックスを体験したいなら、デジタルデトックスを目的としたツアーや旅行プランを検討するとよいでしょう。

星野リゾートが提案する「脱デジタル滞在」

リゾート地

株式会社星野リゾートが展開する日本滞在型リゾートブランド「星のや」では、東京・軽井沢・竹富島など国内5施設にて、「脱デジタル滞在」を提供しています。同プランでは、デジタルデバイスから離れ、各地の自然に触れるアクティビティが体験可能。自然の中で自分と向き合う時間を過ごすことで、心身ともにリフレッシュし、豊かな感性を取り戻すことができるといいます。

星のや公式サイト:https://hoshinoya.com/

TRAPOLが提供する、デジタルでトックスツアー。秘境の滝を巡る「森巡り」

合同会社トラポルは、旅人が現地の人(ローカルフレンド)とつながり、共に旅をする新しい形の体験型ツアーを企画・販売しています。そのプランの1つ、「デジタルデトックスできる森巡りの旅」では、奈良県の秘境の滝を巡りながら、デジタルデトックスを体験できます。森林ファシリテーターの資格をもつ中島夫婦がローカルフレンドとして、旅を盛り上げます。

プラン詳細:https://trapol.jp/plans/z2ms2w

デジタルデトックス中の過ごし方アイデア5選

せっかくなら、デジタルデトックス中は自分自身と向き合うために時間を使ったり、身の回りの暮らしにある豊かさに気がつくための時間にしたりしたいものです。デジタルデトックスの時間を有意義に過ごせる、おすすめのアイデア5選をご紹介します。

本を手に取る

デジタルデトックスで手持ち無沙汰になったら、読書はいかがでしょうか。紙に活字で書かれた本を読むのは、スマホやタブレットを使って電子書籍を読むのとはまた違ったよさがあります。

お気に入りの一冊を読み直したり、普段は手に取らない一冊を選んでみたりすると、新たな気づきが得られるかもしれません。

アロマやマッサージ、ヨガでリラックスする

ヨガ
image by  Kaylee Garrett on Unsplash

就寝前や休日などゆったりと過ごせるときには、アロマオイルやキャンドル、マッサージやヨガで心身をリラックスさせるのもおすすめです。自身の身体や心の状態に目を向け、普段の頑張りをいたわってあげましょう。

日記や手紙を書く

自分と向き合うために、日記や手紙を書くという方法もあります。デジタルデバイスが溢れる現代では、ペンを使って文字を書くという行為をしばらくしていない人も少なくないでしょう。

お気に入りのペンやノートを選んで、頭の中にあることを気持ちの赴くままにアウトプットしていくと、思考が整理できすっきりするかもしれません。普段スマホでやり取りしている相手に、たまには手紙を出してみるのもよいでしょう。思いがけない出来事に、喜んでくれるのではないでしょうか。

スポーツやアウトドアを楽しむ

自然の中でスポーツやアウトドアを満喫するのも、おすすめの過ごし方です。リアルな世界での交流や体験によって心身共にリラックスし、前向きな気持ちになれるでしょう。デジタルデバイスの使いすぎで凝り固まっていた身体をほぐせば、不調の改善効果も期待できます。

美術館や博物館に出かける

美術館
image by  Antenna on Unsplash

インドア派なら、美術館や博物館巡りもおすすめです。新しい知識を吸収するのにスマホは手軽で便利な手段ですが、溢れる情報の中から、信頼できる確かな情報を選び取るのは簡単なことではありません。

美術館や博物館は、五感で体験しながら新しい知識を吸収したり、感性を磨いたりすることにつながるでしょう。美術館や博物館という空間に身を置くだけでも、普段とはまた違った時間の経過を感じつつ、ゆったりとした一時を過ごせるのではないでしょうか。

デジタルデトックスのデメリットと注意点

さまざまな効果やメリットがあるとされるデジタルデトックスですが、デジタルデトックスを行う場合はデメリットや注意点を踏まえておくことも大切です。

デジタルデトックスのデメリットは、必要なコミュニケーションや情報が遮断される可能性があるということです。特にビジネスシーンで顧客と迅速なやり取りが必要な場合や、誰かに緊急で連絡が必要な場合などにデジタルデバイスがないと困ることもあるでしょう。

不測の事態などやむを得ない場合もありますが、あらかじめ連絡がつかない期間があることを予告しておくことで、不安なくデジタルデトックスに取り組めるのではないでしょうか。

楽しみながらデジタルデトックスの習慣を作ろう

デジタルデトックスはさまざまな心身の不調改善に役立つほか、自分自身や現実世界を見つめ直すことでその価値に気付くこともできるでしょう。デジタルデバイスとの適切な付き合い方を探るためにも効果的だと言われています。

デジタルデトックスは、さまざまな方法やアイデアにより実践することができます。ただし、いきなり高い目標を設定したり、必要な情報の伝達まで断ってしまったりするのは禁物です。デジタルデトックスの時間をご紹介したアイデアで楽しみながら、デジタルデバイスとの適切な距離を探ってみてはいかがでしょうか。