【名古屋市内初】一般廃棄物を主燃料とする木質バイオマス発電プラントの運転を開始。4,000世帯分の年間消費電力を発電へ
名古屋港木材倉庫株式会社は2022年2月17日、名古屋市内で初となる木質バイオマス発電プラントを完成させ、同日より運転を開始したと発表しました。本プラントの特徴は、名古屋市内の公園、街路樹や一般家庭から集められた、廃木材・剪定枝葉などの一般廃棄物を主燃料としていること。名古屋市が焼却処分する一般廃棄物を減量することで、カーボンオフセットとなる木質バイオマス発電によりCO2排出量削減にも貢献していく意向です。
カーボンオフセットとなるバイオマス発電とは
カーボンオフセットとは、日常生活や経済活動などにおいて避けられないCO2等の温室効果ガスについて、排出量削減の努力をした上で、それでも排出される温室効果ガスについては、排出量に見合った削減活動を行うなどして埋め合わせるという考え方のことです。
木質バイオマス発電は、木材を燃やす際に二酸化炭素を放出しますが、これらの二酸化炭素は樹木が成長する数十年の間に大気中に存在していたもので、物質と大気とを循環するだけであるため、二酸化炭素は増えていないとみなされます。この仕組みは「カーボンオフセット」と捉えられ、化石燃料による地球温暖化の進行を止めるためには、バイオマス発電の活用が期待されています。
木質バイオマス発電プラントの環境負荷低減効果
本プラントの稼働による環境負荷低減効果は次の通りです。
・ 名古屋市のごみ処理量の約25,500トン/年の削減
・ 燃料チップ輸送距離の短縮(往復90kmから1.2km)により化石燃料約13万3,200リットル/年の削減
・ 木質バイオマス発電により約4,000世帯分の年間消費電力に相当する1,330万kW/年をカーボンオフセットで発電するため、同じ電力を通常発電した場合の7,480t/年のCO2排出量を削減
木質バイオマス発電プラントの特長
本プラントには次のような特長があります。
1.名古屋市内初のバイオマス発電プラント。
2.国内では珍しい、名古屋市内の公園、街路樹や一般家庭から集められた廃木材・剪定枝葉などの一般廃棄物を主燃料(全体の85%)とする。これにより、名古屋市が焼却処分する一般廃棄物の量を年間25,500トン削減。
3.燃料に用いる木質バイオマスの量は、一般廃棄物を処理した破砕チップが年間25,500トン、残りは産業廃棄物を処理した破砕チップが年間4,500トン、合計で年間3万トン。
4・カーボンオフセットとなる木質バイオマス発電により、約4,000世帯分の年間消費電力に相当する1,330万kW/年を発電し、CO2排出量削減に貢献。
5.一般廃棄物を主燃料として、年間を通して継続的に発電するため、出力はあえて1,990kWと適度に抑制。(仮に、より大きな出力のプラントを導入した場合、発電効率は高くなるが、一般廃棄物の収集量が少ない時に燃料が不足するため、稼働を停止するか、他の燃料を追加する必要が生じる。他のバイオマス発電プラントではこのような運転を余儀なくされた例も少なくない。)
6.チップヤード建屋の外壁には、自然環境保全の大切さを訴えるために、ストリートアーティストユニット『HITOTZUKI』に「生命の尊厳」をテーマにした壁画を描画。