大阪カルティエ、ジュエリーと”ひのき”からインスピレーションを受けたファサードに。Klein Dytham Architectureがデザイン
※この記事は、マルチリンガルオフィス「Klein Dytham Architecture(KDa) 」が制作したカルティエ大阪店の木製のファサード(https://www.designboom.com/architecture/klein-dytham-architecture-osaka-cartier-facade-luminous-protruding-diamonds-02-04-2022/)の内容をご紹介したものです。
さまざまな分野のデザインを手掛けるマルチリンガルオフィス「Klein Dytham Architecture(KDa) 」は、大阪にあるカルティエの店舗で、ひのきを使った立体的な木製のファサード(建物正面の外観)を完成させました。角地に建つ店舗全体を幾何学模様で覆ったデザインは、メタリックとガラスを組み合わせた外観の建物が並ぶ高級ショッピング街と共存するビジュアルを目指したものだといいます。アーチ型の入口を挟んで繰り返されるデザインは、この商業エリアにさわやかな温もりをもたらしています。
ジュエリーとひのきの枡からインスピレーションを受けたデザイン
複数のダイヤモンドが優しく突き出たような複雑な模様の外観デザインは、カルティエのジュエリーと日本の伝統的な”ひのき”の枡からインスピレーションを受けたもので、立体的な目の錯覚を表現しています。
メインファサード、コーナー、アーチ型の窓の細部は、12種類のひのきユニットを連結したもの。これは京都の大工が、伝統的な接合技術を使って2,500個以上の部品を一つ一つ手作業で仕上げました。店舗のエントランスには、曲線を描く堂々たる二層吹き抜けの窪みが設けられています。この窓から店内の一部が見え、通行人は店内の様子をうかがうことができます。
工事中に大きな課題となったのは、建物と境界線の間の200mmという許容範囲内に新しいファサードを配置することでした。そこで、木製パネルを支えるアルミの細いフレームを形成し、さらに雨や紫外線に強いクリアラッカーで仕上げることで、元の色合いや質感を生かせるように工夫しました。
昼間は北東に面した開口部から陽光が差し込み、木造のよさが際立ちます。一方、夜はファサードの美しさを際立たせるために、各ユニットの背面にLED照明を設置し、建物全体を照らし出すようにしました。
これにより、ファサードの立体感が強調されるとともに、温かみのある輝きを放つようになりました。このプロジェクトは、archdaily誌の「ビルディング・オブ・ザ・イヤー2022」にノミネートされています。