「The Harewood Biennial 2022」に向け、伐採した木で作られたツリーハウスを制作
※この記事は、「The Harewood Biennial 2022」に向けて作られた木製のツリーハウス「Sylvascope」(THIS TREEHOUSE IS BUILT FROM FELLED TREES TO PROVE THE IMPORTANCE OF EFFECTIVE WOODLAND MANAGEMENT)の内容をご紹介したものです。
木製のツリーハウス「Sylvascope」は、デザイナーやアーティストが「クラフトはなぜ急進的な行為なのか」を探求する展示会「The Harewood Biennial 2022」に向けて作られました。「The Harewood Biennial 2022」はイギリスのリーズという都市にある「ヘアウッド・ハウス」の敷地内で開催されます。展示会は、デザインとクラフトについて、急進的な行為の形を探ることを意図していると言います。
伐採した木を活用したツリーハウス。森林管理の重要性を証明
アーティストやデザイナーは、100エーカーの広大な敷地に、有機建築から菌糸を使った家具まで、独自の解釈で急進的な作品を展示しています。ロンドンを拠点に活動する高級家具職人セバスチャン・コックス氏が考える急進的な行為は、ツリーハウスという形で具現化されました。「Sylvascope」と名付けられたこのツリーハウスは、セバスチャン・コックス氏が選んだ急進的な行為である「木を切り倒すこと」によって作られた、巣のような空間です。
この急進的な行為の背景にあるインスピレーションについて、セバスチャン・コックス氏は、以下のように説明しています。
セバスチャン・コックス氏の言葉
「私たちは、歴史上かつてない速度で木を植えています。イギリスの森林面積は、14世紀当時の水準にまで戻りました。 にもかかわらず、森林における生物多様性は低下しています。どうすれば森林の野生動物を救えるのでしょうか?多くの木を植えるだけではなく、森を管理する必要があるようです。」
森林における生物多様性を探求
木を切ることで、森の生き物が多様化することを探るため、「Sylvascope」には現地で伐採された木が使われています。
現地で伐採した樹木をほぼ100%使用したツリーハウス「Sylvascope」は、管理された森林の姿を示すために、「ヘアウッド・ハウス」の敷地の中心に設置されています。セバスチャン・コックス氏は、この地域の生物多様性を高めるために、ワラビやハーブの下草の生長を促進することを期待しているのです。彼は木を切り倒すと同時に、さまざまな動物種に多様な営巣地を提供するために、森のさまざまな場所に新しい種や木を植えています。
セバスチャン・コックス氏は、以下のように語っています。
セバスチャン・コックス氏の言葉
「私たちは、高い木々や葉で覆われた心地よい林床があり、わだちや下草がなく移動しやすい、見た目が美しい森林のことを『健全な森林』だと考えがちです。しかし、このような森林は、野生生物の多くにとって、好ましいものではありません。森の中の木を伐採し、林床に光を入れることで、他の植物や、昆虫、哺乳類、鳥類が繁殖します。木を植えるだけでなく、木を切ることも有効なようです。イギリスの森林は、41%しか管理されていません。森林の管理は、植林と同等の優先順位であるべきです。」
【参考】THIS TREEHOUSE IS BUILT FROM FELLED TREES TO PROVE THE IMPORTANCE OF EFFECTIVE WOODLAND MANAGEMENT