薪拾いはどこでする?違法にならない場所や方法、コツについて
焚き火や薪ストーブを楽しむためには、まず薪が必要です。その薪を手に入れるために、薪拾いをしたいという人もいますよね。今回は、薪拾いをする上で違法とならずに拾う方法のほか、拾う場所や拾い方、拾うコツなどを解説します。薪拾いに出かける際に持っていくと便利なグッズもあわせて紹介しますので、ぜひご参考ください。
Contents
薪を無断で拾うのは違法の場合があるので要注意
薪拾いでまず重要なのが、自分の所有地以外の場所で無断で薪を拾ってはいけないということです。枯れ木などを拾ったり、自分で樹木を伐採して薪を作ったりする場合、原則として、その土地の所有者や管理者に許可を得る必要があります。
たとえば住所がはっきりしていない森林や山でも、自治体や法務局の窓口などで所有者を調べることができます。一見、管理されていないような山や林でも必ず持ち主がいますので、確認しましょう。 勝手に木を伐採したり小枝を拾ったりする行為は違法となる可能性があるため注意が必要です。
薪を無料で入手する方法は「自分で拾う」「譲ってもらう」の2種類
薪を無料で手に入れる方法は、大きく分けて「自分で拾う」「譲ってもらう」の2種類があります。それぞれ詳しくみていきましょう。
自分で薪拾い出来る場所はどこ?
自分で薪を拾う場合、以下の場所が挙げられます。
・山や森林
・キャンプ場
・公園
・河川敷
・海岸
山や森林
山や森林にはたくさんの樹木があるので、倒木した木の一部などを薪として拾うことができます。秋から冬にかけての時期や、台風が通過した後には折れた枝が地面に落ちていることが多く、それも薪になります。また松林などでは、着火剤代わりに松ぼっくりも拾うとよいでしょう。
キャンプ場
キャンプ場では売店などで薪が販売されていたり、オーナーが折れ枝や落ちた枝、間伐材などをキャンプ利用者に提供してくれたりすることもあります。薪拾いを禁止していないキャンプ場であれば、自分で薪を拾うこともできるでしょう。森林の中や森林に近いキャンプ場なら、薪として使える枝が拾い放題の場所もあります。また、川辺のキャンプ場なら河原などで拾うことができます。
公園
公園は、都市公園法によると「竹木を伐採し、又は植物を採取すること」は禁止行為としていますが、落ちている木や枝、落ち葉などは、個人の利用に限り特に規制をしていない場所が多いです。太い薪は難しいかもしれませんが、細い枝などは手に入れやすいでしょう。公園なら近場にあることも多く、手軽に薪拾いができます。
(参考:e-Govポータル「都市公園法(昭和三十一年法律第七十九号)」
河原
雑草が生い茂っている河原で薪を見つけるのは難しいかもしれませんが、石の多い河原なら流れ着いた木など薪に使えるものが見つけられます。
民法第239条によると「所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する」とあります。つまり、河原などにある所有者のいない「無主物」は、それを拾得した人に所有権が発生するのです。
流木は、川の曲がりくねった場所や、流れの早い場所などに多く見られることも。ただ、流れの早いところや急に川底が深くなる場所は、足元がすくわれないよう注意が必要です。
海岸
海岸では、砂浜に上がった流木や流れ着いた建築廃材が薪として拾えます。海岸の流木なども上記同様に所有者のいない「無主物」に該当し、拾得した人に所有権が発生するので、拾うことができます。
薪となる流木などは、特に台風後の海岸でよく見られます。砂浜が湾になっている箇所は流木が溜まっていることも多いでしょう。また、海岸の岩場にも多くの流木が漂着します。岩場にある木は一度岩場に上がると再度流されにくくいため、よく乾燥していて薪としてコンディションのよいものが多くみられます。
人や団体から薪を譲ってもらう場合、どこから?
人や団体から譲ってもらい手に入れる方法として、以下が挙げられます。
自治体の土木課
自治体が街路樹の伐採や公園の整備、倒木処理などを行った際には、多くの廃材が生まれます。これらの廃材は焼却炉で処分されたり、木材の再生利用工場へ持ち込まれたりするほかに、木材資源の有効活用を目的として無料配布されるケースも多くあります。
その場合、土木課のホームページで情報発信していることが多いので、まずはアクセスしてみましょう。自治体によっては、事前申込制の場合もあります。伐採作業の多い冬から春にかけて無料配布も活発になるので、チェックしてみてください。
地元の河川組合
河川で行われる工事や洪水対策に伴う環境整備、樹木伐採で発生した伐採木や流木などが配布されていることもあります。河川事務所や河川組合のホームページで情報を告知していることが多いので、チェックしてみましょう。自治体の土木課同様、事前申込制の場合もあるので注意してください。
森林の持ち主
さまざまな木々に覆われた森林は薪拾いにピッタリですが、前述したように所有者に無断で拾うことはできません。もし知り合いやツテがあって山の持ち主と連絡が取れるなら、相談してみるのはいかがでしょうか。
森林は定期的に間伐して手入れをしていかないと荒れてしまいますが、最近では所有者の高齢化などにより管理が難しい場合もあるようです。薪を手に入れるために伐採したり木を拾ったりすることは、健やかな森林の未来にもつながるでしょう。
製材所
製材所も、薪の材料になる木々がたくさん出る場所です。製材所や建築現場などから出る端材を処理するためには産業廃棄物としての経費がかかるので、相談すればもらえることもあるようです。
注意点としては、合板や合成樹皮を使った材木や防腐剤処理された材木などは、燃やすと有害な煙が出ます。薪として利用する場合は、これらに該当しないかを確認するようにしましょう。
造園業者
造園業者に相談するのも方法のひとつです。倒木・伐採した樹木の処理には費用がかかるため、造園業者によっては譲ってくれる場合があります。まずは問い合わせてみましょう。
森林整備のボランティア団体
全国には、森を守り育てるため、荒れた森林を整備するボランティア団体が多数存在します。病気で痛んだ樹木の伐採、倒木の処理、登山道の整備などの過程で発生した樹木をボランティア参加者に無料で配布している団体もあります。森林を育てながら樹木を薪として活用できるので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
薪の拾い方
自分で薪拾いをする場合、どのようなことに注意すればよいでしょうか。具体的に見ていきましょう。
薪として拾う木の種類は?
まず、薪として拾う木の種類について紹介します。拾うときに重要なポイントとなるのが、密度が高く重量のある薪を拾うことです。重い木は火が点きにくいですが、一度燃えれば火持ちがよいのでおすすめです。
重さのある木は「木の硬さ」で見分けられます。一般的に重量のある木は硬く、軽い木はやわらかいものが多いので、薪を拾う際は実際に薪を手で触ってチェックしましょう。触っても硬さの判別が難しい場合、親指の爪で木の断面を押してみてください。木に爪痕がつきやすいかどうかでも、その薪が硬いのか柔らかいのか判断できます。
また、樹木には針葉樹と広葉樹がありますが、樹種に関係なくしっかりと乾燥していて、手に持ったときにずっしりと重みを感じる木であれば、焚き火の薪として十分に楽しめます。以下に紹介する広葉樹と針葉樹の特徴を踏まえ、燃えやすい薪と燃えにくい薪を組み合わせると格段に火持ちがよくなり、利用シーンに合わせた焚き火ができます。
針葉樹の薪の特徴
針葉樹の薪の最大の特徴は、火付きがよく、燃えやすい点です。針葉樹は広葉樹に比べて細胞に多くの空気や樹脂を多く含み、それが火付きのよさにつながっています。ただ、針葉樹は燃えやすい分、燃え尽きるのも早いと言えます。
針葉樹のおすすめ活用シーンとしては、焚き火・ストーブの焚き付けの際や、焚き火調理で火力を上げたいときが挙げられます。
広葉樹の薪の特徴
広葉樹の薪は、火持ちのよさが特徴として挙げられます。針葉樹に比べてゆっくりと生育する広葉樹は、細胞の密度が高い分ゆっくり燃えるという習性があります。ただ火付きは悪いため、着火に広葉樹を使うと時間がかかることがあるようです。
広葉樹の薪を使うのは、火が安定してきたタイミングや火を長く維持したいときなどがおすすめです。
【関連記事】針葉樹と広葉樹の薪の違いや見分け方。焚き火やストーブで上手に活用するには
薪のサイズ
薪というと、どっしりした太めの物をイメージするかもしれませんが、それだけではありません。「太・中・細」と3サイズの薪を集めることをおすすめします。それは、薪が細ければ火付きは早いけれど火持ちは悪く、逆に太ければ火付きは悪いけれど火持ちはよくなるという、それぞれの特徴があるからです。3サイズ揃えておくことで、焚き付けから火持ちへの移行がスムーズになります。
薪拾いのコツ
遠くから集める
薪を拾うためのコツとして、明るいうちに、遠くから集めることが挙げられます。森林やキャンプ場などで拾いそのまま焚き火を起こしたとき、万が一途中で薪が足りなくなっても、まだ拾っていない近場から集めることができるからです。
グループに分かれて薪拾いをする
参加者が複数人いる場合は、みんなで一緒に集めるのではなく、グループに分かれて薪拾いをしてみてはいかがでしょうか。グループで拾った量を競争すれば薪拾いがゲームのようになり、想像以上に盛り上がることでしょう。より一層、薪拾いがはかどりそうです。
薪拾いに役立つグッズ
薪拾いにぜひ持参したいグッズを紹介します。
ロープ
2m~3m程度のロープを1本~2本持っていきましょう。ロープは持参する際にかさばらないので持ち運びに便利です。
拾った薪をロープでくくって運べば、手だけで抱えて運ぶより効率よく薪を運べます。太めの薪はくくった上、肩にかけて運べるようにするとよいでしょう。さらに太く大きな木の場合は、木にくくり付けて、引きずって運ぶこともできます。ただし、この方法は地面を削ることがあるので、芝などでは特に注意が必要です。
袋、ログキャリー
袋があると、細かい薪を入れるのに便利です。間口が広く、薪を入れても破れない丈夫な袋が最適です。アウトドアショップやネットショップでは薪を運ぶためのログキャリーが数多くあるので、お気に入りを探すのもおすすめです。また、ログキャリーを手作りしてもよいでしょう。
薪の他にも火口、焚き付けの木も集めよう
焚き火をするためには、太い薪だけでは十分ではありません。焚き火は、まずライターやマッチで燃えやすい材料に火を付け(火口/ほくち)、その火をさらに大きくし(焚き付け)、最終的に薪を燃やすという流れで行います。
そのため、火口や焚き付けに使う素材も集めておくとよいでしょう。ただし、火が安定して持続するようになれば使わなくなるため、多くの量を準備する必要はありません。
火口 | 簡単に火がつく素材。枯れ葉、松ぼっくり、樹皮、新聞紙など |
焚き付け | 火を大きくするための助燃剤。小枝。小枝もさらに太さ別に3種類ほど分けておく |
薪 | 焚き火を持続させる燃料 |
質の高い薪を手に入れるなら「通販」がおすすめ
誰でも拾える薪ですが、薪拾いに時間がかかることは否めません。また、拾ったばかりだと十分乾燥していなかったり、思った量を集めることができなかったりすることもあるでしょう。自分で十分な薪を手に入れられるか不安な方は、オンラインで薪を気軽に買えるECサイトを利用するのもおすすめです。
長野県で木材加工業を営む齋藤木材工業株式会社のECサイト「森の中ストア」では、信州産カラマツ100%の薪を販売しています。脱脂乾燥を6日間実施し、安定的に含水率10%前後をキープするなど、木材のプロが手掛けた薪なので、品質のよさは確かです。また、建築用の材木の製造過程で出た廃棄材を利用しているので、環境にも配慮された薪です。
長さは25cmと35cmから選べます。ぜひお試しください。
自分で拾い集めた薪で、火を灯す生活やアウトドアを楽しもう
薪拾いはさまざまな場所や方法で行うことができます。キャンプや庭での焚き火、薪ストーブなど自分の活用したいシーンにあわせて、無理なく楽しく拾い集めてみてはいかがでしょうか。違法にならないよう気をつけながら、拾い集めた薪で火を灯すひとときをぜひ満喫してみてください。