サステナビリティの実現に向けた取り組み事例10選。測定指標や個人でできることは?

サステナビリティの実現に向けた取り組み事例10選。測定指標や個人でできることは?

サステナビリティという言葉に注目が集まる昨今、企業として積極的に取り組みを進めているところも増えています。中には、「具体的にどのような取り組みをしているのか」を知りたい方も多いのではないでしょうか。今回は、サステナビリティの実現に向けて取り組んでいる企業の事例10選とサステナビリティの測定指標、個人でできる取り組みについて紹介します。

サステナビリティとは

サステナビリティ(持続可能性)とは、さまざまな物事を長期的な視野でとらえ、持続可能な状態に導くこと。サステナビリティをより具体化・細分化した指標が、SDGsです。

企業においては、環境だけでなく、社会や経済に対する価値提供と企業利益を両立しながら、長期にわたって持続可能な企業を目指す取り組みを指す用語としても使われています。積極的にサステナビリティに取り組むことで、企業価値の向上やビジネスチャンスの拡大、採用力強化など、さまざまなメリットを得ることができるでしょう。

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企業によるサステナビリティに向けた取り組み10選

サステナビリティの実現を目指している企業では、具体的にどのようなことを行っているのでしょうか。取り組み事例10選を紹介します。

自然とオフィス
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<事例1>株式会社SUSTAINABLE JAPAN(環境保全サービス)

株式会社SUSTAINABLE JAPANは、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」にコミットし、主に海洋ゴミの回収を行う企業です。同社は、オーストラリアで開発された海洋ゴミを回収するための専用機器「Seabin」のリース・販売を行い、普及活動に努めています。また、海洋ゴミを無害化して環境に循環させるシステムの実証実験や、用水路のゴミ回収装置の自社開発も進めています。

(参考:株式会社SUSTAINABLE JAPAN

<事例2>日本自動ドア株式会社(自動ドア製造・販売)

日本自動ドア株式会社が開発したのは、木製自動ドア「Selvans(セルヴァンス)」。同商品を製造するため、林業家を養成する事業を行う企業と提携し、林業家養成の研修施設として森林を提供。林業の復活によって雇用創出に貢献するとともに、自社所有の山林から「セルヴァンス」に使う木材を伐採し、加工・販売・植林までを行う取り組みを進めています。通常、自動ドアの枠にはアルミニウムやステンレスが使用され、その製造工程では多くのCO2が排出されます。同商品は木製であり金属のように溶かす必要がないため、CO2の削減に大きく貢献しています。

(参考:SDGs最前線:日本自動ドア、木製ドアでCO2を大幅削減

<事例3>トヨタ自動車株式会社(自動車製造)

トヨタ自動車は、「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表し、2050年までの長期的な目標を掲げています。グローバルにカーボンニュートラルを目指しており、例としてインドのトヨタ・キルロスカ・モーター(TKM)では、工場およびサプライヤー拠点において、電力の再生可能エネルギー化100%を達成しています。また、豊田市内にある「トヨタの森」での里山再生活動、フィリピンでのマングローブの植林活動など、環境に配慮した活動も進めています。

(参考:環境への取り組み | ESG(環境・社会・ガバナンス)に基づく取り組み | サステナビリティ | トヨタ自動車株式会社

<事例4>株式会社コーセー(化粧品)

1991年より「美しい知恵 人へ、地球へ。」をコーポレートメッセージとして発信しているコーセー。2009年より「SAVE the BLUE」プロジェクトをスタートし、世界有数の美しさを誇る沖縄のサンゴ礁の保全や啓発活動を行っています。活動資金として、コーセーの代表的なスキンケアブランド「雪肌精」の売上の一部を寄付しています。また、2020年より持続可能なパーム油の調達と消費 の促進を目指す「JaSPON」にも参画し、メンバーとともに取り組みを行っています。

(参考:サステナビリティプラン | サステナビリティ | 株式会社コーセー

<事例5>キッコーマン株式会社(食品製造)

主にしょうゆを製造しているキッコーマン株式会社は、食料品の製造だけでなく、その製造において排出される廃棄物や副産物を再生利用・有効活用することで、持続可能な農業や畜産に寄与しています。例えば、しょうゆをつくる際に搾りかすとして残る「しょうゆ粕(かす)」を、飼料として加工し畜産農家に提供しています。また、従来は廃棄していた、豆乳の製造段階で排出される搾り粕(生おから)を乾燥させ、「豆乳おからパウダー」として販売しています。

(参考:環境保全活動事例集 | キッコーマン

<事例6>小川珈琲株式会社(飲食サービス)

小川珈琲株式会社は、SDGsが注目される以前から、サステナブルな取り組みを実施しています。生産者が必要な利益を得られず、貧困生活を送らざるを得ない状況を防ぐため、2003年に国際フェアトレード認証ラベル商品の製造ライセンスを取得。商品を購入することで産地の生産環境や生活環境の向上につながる仕組みを整えています。また、コーヒー生産に従事する女性たちを支援するため、アフリカの非営利団体である「Grounds for Health(グラウンズ・フォー・ヘルス)」を中心に、子宮頸がんの早期発見・早期治療を目指し、エチオピアやケニアなどの女性の健康を守る活動をしています。

(参考:小川珈琲 SDGs宣言

<事例7>株式会社ユニクロ(アパレル)

アパレルブランド大手のユニクロは、「プラネット(地球環境)」「ソサエティ(地域社会)「ピープル(個性)」を3本の柱としてサステナビリティに取り組んでいます。例えば、全商品をリサイクル・リユースする取り組み「RE.UNIQLO」では、ダウンリサイクルを行っています。世界中のクローゼットに眠るユニクロのダウン商品を回収し、最新のアイテムへ転換。資源を有効に使い、環境への負荷を減らしています。また、水の使用量を従来に比べ最大99%削減(仕上げ加工時)したジーンズの販売など、サステナブルな服作りを進めています。

(参考:サステナビリティレポート 2022 | 服のチカラを、社会のチカラに。 UNIQLO Sustainability

<事例8>第一三共株式会社(製薬)

日本の大手製薬会社である第一三共株式会社は、「世界中の人々の健康で豊かな生活へ貢献する」というパーパスを掲げています。ブラジルにあるグループ会社のメンバーは、低所得層の女性たちを対象に乳がんのスクリーニング検査の普及活動を推進。国際女性デーに合わせ、NPOや医療関係者とともにマンモグラフィーと超音波検査装置を積んだトラックで各都市を回り、無償で検査を実施しています。また、国際NGO「プラン・インターナショナル」とのパートナーシップのもと、ミャンマー北部マンダレー地方域にあるニャンウーにおいて保健医療人材の強化活動も行っています。

(参考:サステナビリティ – 第一三共株式会社

<事例9>ジョッゴ株式会社(革製品製造)

ジョッゴ株式会社は、「すべての人に、生まれた境遇に左右されることなく、働くことに誇りを持てる状態や選択肢を届ける」という目標を掲げています。革職人を育成する工場の運営と、国内でその革製品を販売する事業をバングラデシュと日本で展開するなか、バングラデシュでのオリジナルブランド「JOGGO」は、現地で教育を受けられないがゆえの就労困難問題の解決に貢献しています。一方、日本で展開する「UNROOF」では、障がい者を雇用し、一流の革職人に育てることでスキルアップや収入の向上を目指しています。

(参考:#02.バングラデシュについてー① | オーダーメイド革製品「JOGGO」UNROOF)

<事例10>金沢QOL支援センター株式会社(福祉サービス)

金沢QOL支援センター株式会社は、「福祉が地域を⽀える社会の実現」というビジョンを掲げ、医療や介護が必要な⽅であっても働ける事業所やサービスを運営・提供しています。就労継続支援B型事業所「リハスファーム」では、農業と福祉の連携(農福連携)による就農支援を実施。ハーブ農園や野菜農家との連携により、年々高齢化する農業の現場における「働き手の確保」と「障がい者の自立支援」を両立させています。

(参考:リハスファーム|金沢・東京・名古屋での訪問看護と就労支援は「リハス」

サステナビリティの測定指標

ここまで、企業の取り組み事例を紹介しましたが、サステナビリティに向けた取り組みは、どのような指標に沿って行われているのでしょうか。ここでは、2つの国際指標について説明します。

GRIスタンダード

サステナビリティの国際的スタンダードである「GRIスタンダード」は、国連環境計画(UNEP)の公認団体であるGRI(Global Reporting Initiative)が作成したガイドラインです。

GRIスタンダードには、「経済」「社会」「環境」の3分野・33項目の、サステナビリティの国際的なスタンダードが記載されています。GRIによる報告書の枠組みを適用することで、企業は自社が社会に与える影響を測定できます。2021年1月時点で、世界で4,000社以上(うち日本企業は80社)がGRIスタンダードに準拠して報告書を作成しています。

DJSI

アメリカとスイスの企業によって開発された「DJSI(Dow Jones Sustainability Index)」は、サステナビリティを測定するための株式指標です。「経済」「社会」「環境」の観点から世界の主要企業のサステナビリティを評価し、総合的に優れた企業をDJSI銘柄として選定しています。

選定は、S&P Dow Jones Indices社を傘下に持つS&Pグローバルが年次で実施するコーポレートサステナビリティ評価に基づいて行われています。2020年の実績として、「DJSI World」では全世界で323社(うち日本企業は39社)、「DJSI Asia Pacific」では158社(うち日本企業は82社)が選定されました。

個人でできるサステナビリティに向けた取り組みは?

個人でできる、サステナビリティに向けた取り組みはあるのでしょうか。ひとつの指針として、国連が公開している「持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド」という資料が活用できます。ここでは、その資料を基に今日から実践できる個人のサステナビリティに向けた取り組み事例を紹介します。

スイッチOFF
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レベル1:ソファに寝たままできること

レベル1は、ソファに寝たままできること。例として、以下が挙げられます。

●電気を節約しよう。電気機器を電源タップに差し込んで、使ってない時は完全に電源を切ろう
●印刷はできるだけしない。覚えておきたいことをオンラインで見つけたら、ノートにメモしたり、デジタル付箋を使ったりして、紙を節約しよう
●オンライン検索すると、持続可能で環境にやさしい取り組みをしている企業が見つかる。その会社の製品を買うようにしよう

レベル2:家の中でできること

レベル2は、家の中で実践できることとして、以下の例が挙げられています。

●生鮮品や残り物、食べ切れない時は早めに冷凍しよう
●紙やプラスチック、ガラス、アルミをリサイクルしよう
●古い電気機器を使っていたら、省エネ型の機種や電球に取り替えよう

レベル3:家の外でできること

レベル3は、家の外でできること。例として、以下のようなものがあります。

●買い物は地元でしよう。地域の企業を支援すれば、雇用が守られるし、長距離トラックの運転も必要なくなる
●「訳あり品」を買おう。大きさや形、色が規格に「合わない」という理由だけで、捨てられてしまうような野菜や果物がたくさんある
●使わないものは寄付しよう。地元の慈善団体は、あなたが大事に使っていた衣服や本、家具に新しい命を吹き込んでくれるはず

レベル4:職場でできること

レベル4は、職場でできること。以下の例が挙げられています。

●職場のみんなが医療サービスを受けられているかチェックしよう。 労働者としての自分の権利を知ろう
●職場で差別があったら、どんなものであれ声を上げよう。性別や人種、性的指向、社会的背景、身体的能力に関係なく、人はみんな平等
●日々の決定を見つめ直し、変えてみよう。職場でリサイクルはできているか、生態系に害を及ぼすようなやり方をしている業者から物を調達をしていないかなど

以上のような例に沿って考え方や行動を変えるだけでも、サステナビリティに貢献することができるでしょう。

サステナビリティな取り組みに注目し、身近なことから始めてみよう

企業としてサステナビリティに積極的に取り組んでいるところが増えつつあります。そういった企業の製品を買う、応援するという行動から、サステナビリティを後押しすることができます。また、個人でできることもたくさんあるため、身近なものから始めると、徐々に周囲へとその考え方が広まっていくかもしれません。サステナビリティな取り組みに注目し、できることから始めてみませんか?