焚き火をした後の灰の処理は?安全な処理方法とリサイクル活用術を紹介
焚き火を楽しんだ後に残るのが灰。灰の適切な処理方法を知らないと、キャンプ場で困ったり、誤った処理で自分自身が危険な目に合ったり、マナー違反で周囲に迷惑をかけてしまうかもしれません。今回は、なぜ灰の処理が重要なのか踏まえたうえで、灰の処理方法についてご紹介します。さらに、自宅へ持ち帰る方法や、持ち帰った後の家庭菜園や虫よけなどでの活用方法、灰の処理にあると便利なグッズなどもあわせて紹介します。
Contents
焚き火後、灰の処理がなぜ重要なのか
焚き火をして、薪が燃えきると灰が残ります。この灰をどのように処理をしたらよいのかわからない方もいるのではないでしょうか。処理の方法をご紹介する前に、まずは灰の処理がなぜ重要なのか、その理由をみていきましょう。
火災が起きる危険性を排除するため
薪を灰にするためには、まずはしっかり燃やし尽くすことが肝心です。一見、消火しているように見えても、中の方で火がくすぶっていることもあります。鎮火していないにもかかわらず、灰になったと思って処理をはじめてしまうと、急に火が燃え上がり火傷や火災に繋がる危険も。このようなリスクを排除するためにも、しっかりと燃やし尽くすことが重要です。
ちなみに、薪が燃え尽きる時間は薪の種類や太さによって違いがありますが、目安として2時間程度はかかると考えましょう。帰宅時間や焚き火を終わらせる時間から逆算して、薪の追加は終えることをおすすめします。
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自然環境に配慮するため
灰は生分解しないので、時を経て自然に還るということはありません。「土に埋めてしまえばいいのでは」と安易な考えで埋めてしまうと、そのまま土に残り続けるのです。また、そのまま放置したり土に埋めたりすることで、土壌や河川の汚染に繋がる可能性もあります。
【キャンプの場合】次の利用者が快適に使えるようにするため
前述したように、灰はそのまま放置しても消えることはないので、もしキャンプ場に残したままだと、次のキャンパーが気持ちよくキャンプをすることができません。見た目に悪いだけでなく、テントやタープを張る際、残された灰を避けて設営する必要があります。キャンプ場は利用者みんなのマナーが大切なのです。
灰の処理方法
次に、具体的な灰の処理方法を見ていきましょう。
キャンプ場の灰捨て場に捨てる
キャンプ場では、灰捨て場を設けているところがあります。その場合、焚き火によって出来た灰は、灰捨て場へ捨てるのが最も手軽な処理方法です。キャンプ場で焚き火をする場合は、事前に灰捨て場があるか調べておくとよいでしょう。
また灰捨て場がある場合、キャンプ場のどのあたりに位置しているのかチェックしておくこともおすすめします。自分たちが焚き火をした場所から灰捨て場が近いと、灰を運ぶのに苦労せず、片付けがスムーズに進みます。
自宅に持ち帰る
灰捨て場がないキャンプ場や、キャンプ場以外の場所で焚き火をした場合、灰は必ず自宅に持ち帰りましょう。その際は火傷や火災の心配をすることなく、安全に持ち帰ることが大切です。持ち帰る方法は以下を参考にしてみてください。
火消し壺に入れて持ち帰る
火消し壺は燃え残った炭や薪を入れ、空気を遮断することで消火を早めるアイテムです。灰も火消し壺に入れれば、燃えカスが残っていても、安心して運べます。
火消し袋に入れて持ち帰る
火消し壺がほしいけれど、かさばるのが難点に感じる方におすすめなのが火消し袋です。難燃性の布でできており、マチがあるため立たせることができます。炭を入れて口を閉めれば、火消し壺と同じ原理で火が起こる心配がありません。物によっては小さく畳んでポケットにいれることもできます。徒歩やサイクリング、ツーリングなどで出かける場合、荷物を抑えられるうれしいアイテムです。
アルミホイルに包んで持ち帰る
アルミホイルに包むという方法もあります。アウトドア用の厚手のアルミホイルに広げ、灰を入れたら、空気を遮断するようにしっかり包みましょう。念のために、もう一枚重ねて包めば安心です。ただし、アルミホイルは消火用道具ではないため、場合によっては破れてしまうこともあるので、その点は注意しましょう。
自宅に持ち帰った後の処理方法
灰を自宅に持ち帰ってきてからの処理方法は大きく分けて「捨てる」と「リサイクルする」の2通りあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
捨てる場合
持ち帰った灰を捨てる場合、「可燃ゴミ」なのか「不燃ゴミ」なのかは自治体によって異なります。お住まいの自治体のホームページなどで確認し、指定された方法で捨てましょう。
火消し壺や火消し袋に灰を入れて持ち帰った場合、灰はゴミ袋にそのまま入れて捨てて構いません。
アルミホイルに包んで持ち帰った場合、気を付けたいのがアルミホイルの扱い。アルミホイルを捨てる場合も、処理方法は自治体によって異なるので、捨てる前に必ず調べてから、指定の方法で廃棄しましょう。
リサイクルする場合
灰は捨ててしまえばそれでおしまいですが、実はいろいろな活用方法があります。リサイクルする場合、どのような方法があるのかご紹介します。
家庭菜園で肥料として使う
土に還らない灰を、処理目的で単に土に埋めることはよくありません。しかし、少量であれば家庭菜園での肥料として活用できます。灰はアルカリ性なので、酸性の土壌を中和してくれます。主成分としてカリウムやカルシウム、マグネシウムなどを含みミネラルが豊富なため、優れた天然肥料として使えるのです。また、灰を混ぜることで土壌の善玉菌を活性化させ、病気を防ぐことも期待できます。注意点として、灰と他の肥料を混ぜると化学反応などが起こる可能性があります。灰を肥料として使う場合は、単独で使用するほうが無難でしょう。
虫除けとして使う
灰を水に溶かした液をスプレーなどで散布することで、虫よけ効果も期待できます。家庭菜園でアブラムシやカメムシの被害に悩んでいる人は、手軽にできる害虫駆除方法として利用してみてはいかがでしょうか。農薬や殺虫剤をなるべく使いたくない人にもおすすめです。
融雪に使う
灰は雪を融かす効果も期待できます。これは灰の成分が作用するというわけではなく、色の効果によるもの。雪は白いため光を反射してしまいますが、黒みがかった灰をまくことによって光の吸収を促進し、融雪に一役買ってくれるのです。光の反射が影響するので、晴れた日にまくのがおすすめです。
ひとつ気を付けたいのが、灰をまく場所です。雪が解けた後は灰だけが残りどうしても黒っぽくなります。土の上にまく分にはさほど気になることはないですが、玄関ポーチやコンクリート上にまくと残った灰が目立つので、掃除する必要があります。融雪のために灰をまく場合は、その点を踏まえておきましょう。
山菜・木の実のアク抜きに使う
灰は、わらびといった山菜や栃の実などアク抜きにも活用できます。山菜や木の実のアク抜きには重曹も使えますが、灰を使った方が苦味が少ないと感じることが多いようです。自分で山菜などの処理をする方は、灰をとっておくと便利でしょう。
洗剤として使う
灰は洗剤としても利用できます。灰を混ぜた水はアルカリ性ですが、アルカリ性水溶液は、衣類に付着している皮脂や垢などの油分・タンパク質の汚れを分解しやすくする効果があるそう。水に灰を混ぜるだけで簡単に手作りのエコ洗剤ができるので、試してみてはいかがでしょうか。
灰の処理でやってはいけないこと
灰を処理する際、やってはいけないこともあるので、注意しなくてはなりません。詳しくは以下の通りです。
NGその1:灰を土に埋める
これまでにも述べたように、生分解しない灰は自然に還ることはありません。灰を土に埋めることはNG行為です。地球の未来のために、土に埋めることは避けましょう。
NGその2:灰に水を掛ける
キャンプ場などの焚き火で消火する際、「灰は熱いし、まだ薪もくすぶっているし、水をかけて一気に消化して、冷ましてしまおう」と思っても、やめましょう。焚き火台で燃やしている薪に水をかけて消火する方法は、手軽なようにも思えますが、実際には高温の蒸気が舞い上がり危険です。また、急な冷却によって焚き火台が変形することも。さらにドロ状になった灰は、そのまま埋めることも流すこともでず、処理が困難です。
灰の処理にあると便利なグッズ
灰を安全かつスムーズに処理するために、以下のような便利グッズを使うこともおすすめです。
火消し壷
燃え残った炭や薪を入れ、空気を遮断することで消火を早める火消し壺。燃えカスが残っていても、安心して運べます。薪が燃え尽きるためには時間がかかるので、完全に消火するまで待てないときにも火消し壺があると便利です。
火消し壺にはステンレス製や陶器タイプなどがあり、大きさもさまざま。アウトドアショップやホームセンター、オンラインショップなどで手に入ります。焚き火を楽しみたいのなら、持っていて損はありません。
火消し壺の代用として菓子の缶やオイルポットなどが使えそうですが、高熱により缶などに穴が空いたり、密閉する熱による空気膨張で爆発する危険性もあります。代用品ではなく火消し壺の利用をおすすめします。
アルミホイル
灰を持ち帰る際に利用できるアルミホイルは、バーベキューや焚き火を終えた後のお掃除がラクになるアイテムとしても活用できます。使用法は、バーベキューグリルや焚き火台の下に敷いておくだけ。消火の後はシートをそのまま丸めればOKです。アウトドア用の厚手のアルミホイルがおすすめですが、厚い分切れ端や丸めた際の角で指を切りやすいので注意が必要です。
灰スコップ
灰を火消し壺に移す際に、灰はもちろん、燃え残った炭などをかき集められるのが灰スコップ。柄が長い小型のスコップです。実はこの灰スコップは、家庭道具あるいは農具として日本には古くからあり、「十能(什能、じゅうのう)」と呼ばれています。灰を集めるだけでなく、薪を焚き火に足すときや、燃えている薪の位置を変更する際にも使えます。
耐熱手袋
耐熱仕様の手袋もぜひ用意したいグッズです。灰とはいえ、まだ消火しきれていない可能性を踏まえると、素手や布製の軍手などでの作業は火傷のリスクがあり危険です。焚き火や熱いものの近くで使うので、フィッティングの良い手袋を選ぶとよいでしょう。また、手袋と一口に言っても、耐熱温度や素材、丈の長さなどはさまざまタイプがあるので、買う際は目的や用途に合ったものを検討してみてください。耐熱手袋は灰の処理だけでなく、薪割りや調理の際にも使えるので、1つ持っておくと便利に活用できます。
薪用トング・火ばさみ
焚き火の片付けをする際、耐熱手袋をはめていても燃え尽きた薪などを直で触るのは火傷の危険性があります。耐熱手袋をしたうえで、必ず薪用トング・火ばさみで掴むようにしましょう。ステンレス製の一般的な形のトング型や鉄製のはさみ型など、素材や形、サイズ、色もさまざま。自分にとって使いやすい物を選びましょう。
焚き火を楽しむために、薪購入のおすすめ
灰の処理方法がわかれば、これまで灰の処理に悩んでいた人も心配なく焚き火を楽しめるのではないでしょうか。そして、実際に焚き火をおこなう際に必要となるのが「薪」です。薪はホームセンターで購入したり、自分で拾い集めたりできますが、オンラインショップで買い求めることもできます。
確かな品質の薪をお探しの方におすすめなのが「森の中ストア」です。長野県で木材加工業を営む齋藤木材工業株式会社が運営しており、販売している薪には以下のような特徴が挙げられます。
●脱脂乾燥を6日間実施して、安定的に含水率10%前後をキープ ●カラマツの外側にある、高密度部分を利用しているため、一般的な針葉樹の薪よりも火持ちがよい ●きちんと乾燥させているため、着火が容易で火付けに失敗しにくい ●専用の施設で乾燥させているため、自然乾燥薪と違って保管時に虫が出ない ●建材加工技術を応用しているため、松特有のヤニがつきにくい |
薪は、長さが25cmと35cmから選択可能です。薪の購入に際しては配達日時の指定が可能なほか、荷物の事前受付を行っているキャンプ場であれば、直接送付することもできます。是非この機会にお試しください。
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灰を安全に処理・活用して、焚き火の喜びを味わいましょう
焚き火をすれば必ず出る灰ですが、適切に処理できれば、焚き火の後に困ることもありません。灰は廃棄処分するだけでなく、安全に持ち帰れば家庭菜園や虫除けなどにも使えます。必要に応じて火消し壺などの便利グッズを揃えれば、より一層安心です。灰も活用し楽しむことで、焚き火の喜びを存分に味わってみてはいかがでしょうか。