エシカル消費の意味とは?取り組み企業の具体例や個人で簡単にできること

エシカル消費の意味とは?取り組み企業の具体例や個人で簡単にできること

エシカル消費とは、人・社会・地球・環境に配慮した消費行動のことです。「自分にできる行動はあるか」「どんな取り組みを行えばよいか」などを知りたい方もいるのではないでしょうか。今回は、エシカル消費の詳しい意味や企業での取り組み事例、個人で取り組める簡単な行動などをご紹介します。

エシカル消費とは

エシカル(ethical)は「倫理的・道徳的」を意味し、エシカル消費とは、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことをいいます。個人的な消費行動から、地域の活性化など社会全体の活動まで含まれています。

注目されている理由

エシカル消費が注目されている背景には、社会問題や環境問題が深刻化し、持続可能な社会への関心が高まったことが挙げられます。

例えば商品を選ぶとき、誰もが価格の安さを重視したいと考えるでしょう。コットンやコーヒーなど、安価な商品の多くの生産地域は発展途上国です。しかし、途上国の生産者は経済的・政治的に立場が弱く、貧困による労働搾取や児童労働、環境破壊といった深刻な問題を抱えています。こうした犠牲の上に安価な商品が成り立っており、私たちは「消費」を通じて、知らぬ間に社会問題の悪化に加担していることもあります。

こうした実態を改善していくためにも、エシカル消費を推進しようという動きが広まっているのです。

SDGsとの関係性

SDGsとは、持続可能な開発目標を指し、2015年に国連サミットで採択された国際社会の共通目標です。エシカル消費とSDGsには、深い関係性があります。

例えば、SDGsの目標の1つ「つくる責任つかう責任」では、食品ロス問題、廃棄物問題などについて記載されており、目標達成に向けてエシカル消費の実践が必要です。つまり、エシカル消費を行うことで、SDGsの貢献につながるといえます。

エシカル消費とサステナブルの違い

エシカルと混同されやすい用語に、「持続可能な」という意味の「サステナブル」があります。どちらも人や環境に配慮し、安定的な未来を続けていくための考え方です。エシカルに比べ、サステナブルはより大局的に捉えており、エシカル消費はサステナブルを実現するための方法の一つといえるでしょう。

エシカル消費の問題点

エシカル消費は、日本での認知度は徐々に高まっているものの、まだ根付いているとはいえません。理由としては、環境や人権に配慮したエシカル商品は、原材料や人件費のコストがかかるため高価であり、消費者に経済的負担がかかることが挙げられます。また、販売店舗が少ないことも要因の一つです。

販売する企業としては、「利益確保が難しい」「認知度が低く商品が売れない」「流通させにくい」といった考えも多く、積極的なエシカル商品の販売は行えていないのが現状です。しかし、今後は企業側が先導を切り、エシカル商品の普及に取り組む姿勢を促進していくことが必要となるでしょう。

エシカル消費に取り組む企業の事例

エシカル消費を実践している企業は、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。ここでは、実際の事例をご紹介します。

企業の事例①patagonia(パタゴニア)

アメリカを拠点にアウトドア用品を販売するパタゴニアでは、SDGsに関心が集まる前から、環境や労働者に配慮した取り組みを行っています。例えば、「製品に使用できない素材や廃棄物などを新たな原料に変えるケミカルリサイクルの取り組み」や「環境への負担が少ない染料の開発」などです。

また、パタゴニアでは、社会的責任として、全てのサプライチェーンの情報を開示し、公正な労働習慣と安全な就労条件を促進しています。労働環境が劣悪とされているアパレル産業での問題に真摯に取り組んでいます。

企業の事例②オルビス株式会社

オルビス株式会社では、環境に配慮したスキンケアブランド「CLEANENCE(クリーンエンス)」を立ち上げました。廃棄される物に付加価値をつけ、新たな製品にする「アップサイクル」に取り組んでいます。摘果対象である不要な植物から抽出した天然由来の植物エキスを活用するなど、資源の循環に着目した資材選定を行っています。

また、容器の原料には廃棄される紙やプラスチックを利用。一部商品には、環境負荷のかからないバイオマスプラスチックを使い、外箱には古紙100%のFSC認証紙を採用しています。

企業の事例③株式会社ロッテ

株式会社ロッテでは、2015年から「LOTTE DO Cacao PROJECT」を行っています。ロッテのチョコレート事業における「先行実験の場」として、持続可能な「カカオサイクル」の実現を目指した活動です。

その一つとして、製造過程で不必要になる「カカオ豆の皮部分(カカオハスク)」をアップサイクルしたクラフトジンやハンドクリームを発売しています。

エシカル消費で私たちが簡単にできること

エシカル消費は、「個人では難しそう」と思う方も多いのではないでしょうか。実は、今日からでも簡単に取り組むことができます。私たちができるエシカル消費にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。

認証マークの付いた商品を買う

商品を購入する際に、認証マークの付いたものを選ぶことがエシカル消費につながります。認証マークをヒントにすることで、環境や社会に配慮された商品であることがわかります。ただし、近年はさまざまな種類があるため、代表的なものを覚えておくとよいでしょう。

エコマーク

エコマークは、商品が生産されてから処分されるまでの中で環境保護をしていると認められた商品に表示されているものです。「ちきゅうにやさしい」のキャッチコピーと、地球を包み込んでいる手のマークが目印です。

有機JASマーク

有機JASマークとは、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らず、自然の力で生産された食品を表しています。農産物だけでなく、加工食品、藻類、畜産物、飼料も含まれます。「太陽」「雲」「植物」をイメージしたマークです。

FSC認証マーク

森林の持続可能性を目的として、森林を原料とした木材製品や紙製品などに表示されています。厳しい基準が設けられており、生産から流通の全ての過程で認証が必要です。特に日本は、世界的に森林資源の消費大国であるため、FSC認証マークを選ぶことが重要なアクションとなるでしょう。

MSCマーク

MSCマークとは、「海のエコラベル」とも呼ばれ、持続可能な漁業で獲られた水産物の証です。「水産資源の持続可能性」「漁業による生態系への影響」「管理システム」の3つの原則を満たすことで認証されます。

国際フェアトレード認証マーク

国際フェアトレード基準を守り、公正な取引がされた商品に表示されるマークを国際フェアトレード認証マークといいます。開発途上国で生産された商品を適正価格で購入し続けることで、生産者の労働環境や生活環境を守ることにつながります。

RSPOマーク

持続可能なパーム由来原料を使用した、あるいはその生産に貢献した製品であることを示す認証マークです。パーム油とは、アブラヤシの果実から抽出される油で、洗剤やマーガリンなどに使用されています。RSPOは、パーム油の生産が熱帯雨林やそこに住む生物の多様性、森林に関わる人々の生活に悪影響を及ぼすことのないようにすることを目指しています。

GOTS認証マーク

GOST認証マークは、オーガニックコットンに関するマークです。「原料の収穫から環境にやさしい」が条件であり、社会的責任の保証をしています。素材が環境に配慮していることに加え、生産者の労働環境の改善や人権尊重にも貢献しています。

レインフォレストアライアンスマーク

「社会」「経済」「環境」の3面から持続可能な生産を表したマークで、緑色の小さなカエルが目印です。気候変動や森林の保護、農村地域に住む人の人権尊重に貢献しています。

フェアトレード商品を選ぶ

発展途上国の生産者と先進国の買い手との関係は、正当な報酬が得られないなど、社会問題化しています。公正に取引されたフェアトレード商品の購入はエシカルな選択であり、途上国の人々の経済的自立を支援することにつながるでしょう。

地産地消を推進する

地産地消とは、地域で生産された農林水産物をその地域で消費することです。地産地消を推進することは、地域経済の活性化だけでなく、規格外の商品購入などによる食品ロスにも貢献できます。また、食料の輸送距離を表す「フードマイレージ」が小さくなることで、二酸化炭素の排出を抑え、環境への負荷を減らすことができます。

マイバッグ・マイボトルを使う

近年広まっているマイバックやマイボトルの利用は、消費行動ではないものの、ごみの削減や資源節約に貢献することができ、エシカルであるといえます。特に、社会問題とされている海洋ごみの削減には、「脱プラスチック」を進めていくことが重要です。

エシカル消費について周りにシェアする

エシカル消費を周りに広めるために、個人のアクションも大切です。例えば、「プレゼントにフェアトレード商品を渡す」ことで、自分がエシカル消費を実施するだけでなく、相手がエシカル消費を知るきっかけを作ることができます。

また、「フェアトレード商品を取り扱ってほしい」と企業に依頼することもおすすめです。消費者のニーズを知ることで、企業の在り方も変わっていくでしょう。

焚き火をするときはエシカル消費につながる薪を使ってみよう

近年人気の高まっているアウトドアでも、エシカル消費につながる行動ができます。その一つとして、「焚き火に使う薪を選ぶ」ことが挙げられます。

長野県にある齋藤木材工業株式会社では、エシカル消費につながる薪を販売しています。薪の原材料である丸太は、これまで集成材用に使う部分を除く70%が、おがくず・ウッドチップ・ボイラーの燃料などになり、付加価値が低く収益への貢献が少ないとされてきました。そこで同社では、この70%の部分を価値のある商品にしようと「信州産カラマツ薪」として販売しています。

この取り組みにより、丸太の価値を最大限に活かし、森の循環を目指しています。「木を伐り、使い、植え、育て、また使う」森と人が長く付き合うために必要な行動は、サステナブルな活動の一つであり、エシカル消費といえます。この機会に、エシカル消費につながる薪の購入を検討してみてはいかがでしょうか。

エシカル消費を通してSDGsに貢献しよう

エシカル消費とSDGsには深い関わりがあります。認証マークのある商品やフェアトレード商品の購入、地産地消などエシカルにつながる行動はさまざまあります。エシカル消費に取り組む企業について知識を深め、その企業の商品を買うこともアクションの一つです。身近にできるエシカル消費を通じ、SDGsに貢献してみませんか。