プラスチックフリーとは?注目されている背景と具体的な取り組みをご紹介

プラスチックフリーとは?注目されている背景と具体的な取り組みをご紹介

昨今、世界的に「プラスチックフリー」の取り組みに注目が集まっています。包装や容器、レジ袋などさまざまな場面でわたしたちの暮らしを支えているプラスチック。しかし、使い捨てられたプラスチックはゴミとなって、地球環境に大きな影響を及ぼしていることから、プラスチックを減らすライフスタイルが広まりつつます。今回は「プラスチックフリー」について、言葉の意味や注目されている背景、具体的な取り組みについてご紹介します。

プラスチックフリーとは

プラスチックフリー(Plastic Free)とは、プラスチックを使わないこと、またはプラスチックを使わない製品やライフスタイルを意味します。脱プラスチック(脱プラ)、ノープラスチック(ノープラ)といった言葉でも呼ばれることがあります。

また、プラスチックとは、合成樹脂とも呼ばれ、人工的にさまざまな分子を合成したものを指します。日本では法律により、ペットボトルやプラスチック製品に対して、「プラ」や「PET」といった識別マークを入れることが義務付けられています。

プラスチックフリーが注目されている背景

プラスチックフリーが注目されている背景には、海洋汚染の問題があります。世界全体では年間約500万~1300万トンのプラスチックが適切に処理されず、プラスチックゴミとして海へ流出。このままでは海を泳ぐ魚よりもプラスチックゴミの量が上回るという予測も出ています。

またプラスチックの中には、マイクロプラスチックと呼ばれる微細なものがあります。洋服の繊維や歯磨き粉などに含まれるマイクロプラスチックは、排水溝などを通して海へと流出します。海に流れ出たマイクロプラスチックを魚がエサだと勘違いして食べてしまうと、炎症反応や摂食障害につながるといわれています。さらに、食物連鎖を通じてマイクロプラスチックが運ぶ有害化学物質が生物の体内に蓄積することで、魚を食べる人間の体への影響も懸念されています。

このような背景から、プラスチックなしで生活を送る「プラスチックフリー」の取り組みが注目されているのです。

プラスチックフリージュライについて

プラスチックフリーの取り組みの中で、特に大きなムーブメントになっているのが「プラスチックフリージュライ(Plastic Free July)」です。プラスチックフリージュライは、毎年7月をプラスチックフリーの強化月間として、使い捨てプラスチックの使用を控えようという活動で、誰でも気軽に参加することができます。

プラスチックフリージュライは、2011年にオーストラリアで暮らしていた女性によって考案されました。主催するオーストラリアの慈善団体「Plastic Free Foundation」によると、40名程度からはじまったこの活動は、2023年には推定8900万人が参加する世界的な取り組みへと発展したそうです。

参考:Plastic Free Foundation 『IMPACT REPORT 2023

プラスチックフリーを生活に取り入れるメリット

プラスチックフリーを生活に取り入れることの最大のメリットは、「地球環境に優しい生活を送ることができる」ことです。先述の通り、プラスチックは海洋汚染だけでなく、マイクロプラスチックを通して海に住む生き物の生態系や人体への影響も懸念されています。プラスチックフリーを生活に取り入れることで、使用するプラスチック製品が減り、海に流れ出るプラスチックの量を減らすことにもつながるでしょう。そのような循環が生まれることで、地球環境に優しい生活を送ることがでます。

また、プラスチック製品には安価で手軽に購入できるものが多くあります。プラスチックフリーを意識することで、本当に必要なものを検討し、安さを理由に購入することが減るかもしれません。結果として無駄な出費が少なくなり、地球環境だけでなくお財布にも優しい暮らし方につながるでしょう。

今日からできるプラスチックフリーな取り組み

それでは、今日からできるプラスチックフリーな取り組みについてご紹介します。

プラスチックについて知ろう

プラスチックフリーな取り組みは、まずプラスチックについて知ることからはじまります。プラスチックを使用した製品かどうかは、パッケージの「プラ」や「PET」などの識別マークで判断することが可能です。

また、代表的な使い捨てプラスチックについて意識することもプラスチックフリーな取り組みにつながります。主な使い捨てプラスチックとは、レジ袋、ペットボトル、プラスチック製のコップ、ふた、ストロー、スプーン、フォークなどが挙げられます。

マイ〇〇を持ち歩こう

日本では、2020年にレジ袋が有料化したことにより、マイバッグを持ち歩く習慣が広がりました。マイバッグだけでなく、マイボトルやマイ箸を持ち歩くことで、先述の使い捨てプラスチックを利用する機会が減ります。また、マイボトルを持ち込むことで割引サービスを受けられるお店もあります。プラスチックフリーを意識して、マイ〇〇を持ち歩いてみましょう。

プラスチックフリーな商品を選ぼう

日常生活の中で使っているものをプラスチックフリーな商品に切り替えることも大切です。ここでは、置き換え可能なプラスチック製品についてご紹介します。

ラップ

用途に合わせて自由にカットできる食用ラップ。食材の保存などに使えて便利である一方、使い切りのためすぐにゴミになってしまうので、プラスチックゴミ増加の一因となっています。

ラップからプラスチックフリーに取り組む場合、蜜蝋(みつろう)ラップがおすすめです。布に蜜蝋や天然樹脂を染み込ませた蜜蝋ラップは、洗って繰り返し使えるので、プラスチックゴミを増やすことなく、また経済的でもあります。サイズやデザインも多様なので、お気に入りの蜜蝋ラップを見つけてみてはいかがでしょうか。

弁当箱

弁当箱からプラスチックフリーに取り組む場合、曲げわっぱをおすすめします。杉やヒノキで作られた曲げわっぱは、木の調湿作用によって湿気がこもらず、天然の抗菌効果もあるため、弁当箱が傷みにくいといわれています。軽くて持ち運びやすいだけでなく、ふたを開けたときにほのかに香る木の匂いが曲げわっぱの魅力の一つでもあります。使い捨て容器から曲げわっぱに変えることで、プラスチックゴミ削減につながるだけでなく、日々の食事をより楽しむことができそうです。

お菓子

市販されているお菓子は、プラスチックによる個包装となっているものも多くあります。しかし、近年はプラスチックゴミ削減の観点から、紙包装のお菓子も増えつつあります。お菓子からプラスチックフリーを取り入れるときは、紙包装のお菓子を選ぶことをおすすめします。

紙包装の中でも木のイラストが特徴的な「FSC認証マーク」が印字されているものは、森林環境の保全に取り組んでいる証でもあります。プラスチックによる海洋汚染だけでなく、森林という自然環境を守る活動にも注目してみるのはいかがでしょうか。

歯ブラシ

日常生活に欠かせない歯ブラシもまた、プラスチックで作られているものがほとんどです。歯ブラシをプラスチックフリーな製品に置き換える場合は、竹歯ブラシがおすすめです。

プラスチック製の歯ブラシは、使用後のリサイクルが難しく、そのほとんどが焼却処分となりますが、竹は自然素材なので廃棄しても土に還ることができます。さらに竹は、成長スピードが早く1~2年で収穫できるだけでなく、栽培時に化学肥料や農薬が不要であるという環境への負担が少ない資材なのも魅力です。

化粧品

化粧品にもまた、マイクロプラスチックが配合されていると考えられています。現在ヨーロッパを中心に化粧品における脱マイクロプラスチックの取り組みが進められています。マイクロプラスチックフリーな化粧品も生まれており、中には日本でも手にすることができるものもあります。また、ケースが紙や竹でできているプラスチックフリーな化粧品も増えつつあります。化粧品からもプラスチックフリーを取り入れてみてはいかがでしょうか。

プラスチックフリーを意識して、環境に優しい生活を送ろう

プラスチック製品は、その使いやすさから日常生活に欠かせないものとなっています。しかし、海洋汚染など環境への負担が大きいとわかってきた今、できる範囲でプラスチックフリーに取り組んでいく必要があるでしょう。まずはプラスチック製品について知り、マイバッグを持ち歩いたり、プラスチックフリーな商品に切り替えたりすることを検討してみてはいかがでしょうか。プラスチックフリーを意識して、環境に優しい生活を心がけましょう。