グリーン購入法とはどのような法律?制定の背景や適合商品を簡単に解説
グリーン購入法とは、製品やサービスを購入する際に環境負荷低減について考えられたものを購入・破棄をすることです。基本方針として、製品の必要性や購入先の選択、廃棄方法などが掲げられています。本記事では、グリーン購入法の概要や制定の背景、メリットとあわせて、判断基準や特定調達品目、判断基準となる環境ラベルについてご紹介します。
Contents
グリーン購入法とは?
グリーン購入法とは、製品やサービスを購入する際に、環境への負荷について3つの視点から考えて購入・破棄をする活動のことです。3つの視点とは、以下の通りです。
- 購入の必要性はあるか(本当に必要化、所有しているものを修理できないか)を十分に考えること
- 購入を判断する際は環境負荷が小さい製品・サービスであり、環境負荷の低減に努める事業者から購入すること
- 購入した製品やサービスが不要となった場合は、適切に廃棄すること
購入者の消費行動を環境に配慮したものへと転換することで、供給者は環境負荷の少ない製品・サービスの開発を促します。これにより、経済活動全体を環境配慮型へ変えていくことにつながります。
参考:環境省「グリーン購入法について (グリーン購入法.net)」
グリーン購入法が制定された背景
近年耳にすることも多い“環境問題”の起因は、大量生産・大量消費・裁量廃棄型の経済活動が大きく影響しているといえます。環境省では、資源には限りがある中で、持続的に活用していくには経済活動のあり方そのものを見直すことが必要です。そこで、2000年にグリーン購入法を制定し、2001年4月より施行されました。
世界的な環境問題への取り組みとして、2015年には国連サミットにおいて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。採択によって掲げられた「持続可能な開発目標(SDGs)」の中には、持続可能な消費と生産形態の確保についても盛り込まれています。これを受け、日本ではターゲット12.7の「国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する」を実現するべく、グリーン購入の促進を掲げ、重要性が再認識されました。
最近では、パリ協定を受けて、2020年10月に「2050年までにカーボンニュートラルを目指すこと」を宣言。脱炭素社会の実現に向けて、政府では取り組みをより強化していく方針です。
グリーン購入法の対象者
グリーン購入法の対象となるのは、国や地方公共団体、事業者、国民とさまざまです。しかし、責任の範囲が異なります。
製品やサービスを調達する際、国や独立行政法人などは、環境物品等(環境保全に配慮した製品やサービス)の購入が「義務」です。地方公共団体や地方独立行政法人などは「努力義務」とされ、国などと同様に調達方針の策定や調達目標の設定、調達の実施が求められています。また、事業者や国民は、できる限り環境物品等の選択に努める「一般的責務」としています。
責任の範囲 | 対象者 |
義務 | 国・各府省庁・独立行政法人・国立大学 など |
努力義務 | 地方公共団体・地方独立行政法人 など |
一般的責務 | 事業者・国民 |
国や地方自治体が先立ってグリーン購入を行うことで、需要の転換を行い、持続可能な社会の構築を推進していく考えです。
グリーン購入のメリット
グリーン購入のメリットは、省資源・省エネルギー、温室効果ガスや廃棄物の削減など環境面に寄与することです。さらに、環境技術の発展や環境配慮に努める市場の拡大といった、経済面にも効果が期待できます。あわせて、有害化学物質の使用量が削減されることによる労働環境の改善、生活の質や環境意識の向上など、社会全体にも好影響をもたらすでしょう。
このようにグリーン購入によって環境・経済・社会へのメリットが生まれ、持続可能な社会の構築にもつながるとされています。
グリーン購入法の判断基準や特定調達品目
グリーン購入法に値する製品やサービスを見分けるには、どのような基準があるのでしょうか。判断基準や特定されている品目をご紹介します。
グリーン購入法の判断基準
グリーン購入法では、「判断の基準」が規定されています。各品目の判断基準は対象となる製品やサービスによって異なり、一つの基準ではなくさまざまな要件を組み合わせて設定されたものが多いです。
また、製品やサービスが、より高い環境性能を示すものを「基準値1」、最低限満たすものを「基準値2」と設定しており、適合品目は基準値2から基準値1への移行をより早期に行うことが期待されています。環境省でも適宜、特定調達品目の見直しと追加を行っているとのことです。
グリーン購入法の特定調達品目
特定調達品目は、グリーン購入法第6条に定められた商品です。2023年12月の閣議決定で、対象品目は22分野287品目となりました。対象となる22分野は以下の通りです。
- 紙類
- 文具類
- オフィス家具等
- 画像機器等
- 電子計算機等
- オフィス機器等
- 移動電話等
- 家電製品等
- エアコンディショナー等
- 温水器等
- 証明
- 自動車等
- 消化器
- 制服・作業服
- インテリア・寝装寝具
- 作業手袋
- その他繊維製品
- 設備
- 災害備蓄用品
- 公共工事
- 役務(サービス)
- ごみ袋等
適合商品の例として、「コピー用紙」「ボールペン」「机・いす」などの一般事務用品から「コピー機」「スマートフォン」「LED照明器具」といった電化製品、「トラック」「作業服」「太陽光発電システム」と多種多様なものがあります。グリーン購入法適合商品には「G法適合」や「グリーン購入法適合」などのラベルがあるため、見分ける場合に活用できるでしょう。
ただし、カタログや事業者によって表現方法が異なる場合もあります。適合商品であるかを確認したい場合は、GPN(グリーン購入法ネットワーク)の「エコ商品ねっと」で検索してみるのもおすすめです。
参考:GPN『エコ商品ねっと』
エコマークとグリーン購入法特定調達品目
エコマークとは、環境保全に配慮された商品であると示された環境ラベルのこと。第三者機関である日本環境協会によって審査・認証されています。商品の一例として、ゼブラのサラサクリップ(ボールペン)などがあります。
今日は #環境の日🌏
— ゼブラ (@suraripen) June 5, 2019
実はサラサクリップ(一部の色を除く)はエコマーク認定商品なんです。環境にやさしいペンを使ってあなたも身近なエコ、はじめませんか?
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エコマーク基準は、グリーン購入法の判断の基準よりも厳しい基準が設定されています。そのため、グリーン購入法の判断基準に対応しており、エコマークがある商品は原則としてグリーン購入法特定調達品目と判断してもよいといえるでしょう。ただし、一部例外もあるため個別の確認が必要です。
参考:日本環境協会「エコマーク事務局」
環境ラベルも判断の基準となる
グリーン購入を行う際において、環境ラベル(認証マーク)も適合商品であるかを判断する基準の一つとなります。環境ラベルとは、製品やサービスなどの環境的側面を購入者に伝えるマークなどのことです。環境に配慮された商品であると証明されるマークはエコマークだけでなく、「エネルギースター」「カーボン・オフセット認証ラベル」「統一省エネラベル」「燃費基準達成車ステッカー」など種類はさまざまあります。
商品を選ぶときは環境省の「グリーン購入の調達者の手引き」を見ると、品目ごとに参考となる環境ラベルが記載されているため参考にするとよいでしょう。また、環境ラベルについて詳しく知りたい場合は、環境省の「環境ラベル等データベース」を検索してはいかがでしょうか。
参考:環境省「グリーン購入の調達者の手引き」、「環境ラベル等データベース」
グリーン購入法を知って、私たちにできることから始めよう
グリーン購入法とは、環境に配慮された製品やサービスを選択していくことです。購入者と供給者が環境保全を意識していくことで、経済活動全体を環境配慮型へと変えることにつながります。グリーン購入の特定調達品目は見直しや追加を行っており、2024年度時点で287品目になりました。購入を考える際は、環境ラベルも参考にしながら検討することがおすすめです。
環境・経済・社会にも効果を期待できることから、企業や個人で行っているケースも増えつつあります。グリーン購入法を知って、私たちにできることから取り組んでみませんか。