雨キャンプを快適に過ごす対策と楽しみ方。必需品や注意点も解説

雨キャンプを快適に過ごす対策と楽しみ方。必需品や注意点も解説

雨の日のキャンプと聞くと「準備や片づけが大変そう」と、敬遠する方もいるかもしれません。しかし、雨に対する備えや工夫を施すことで、普段とはひと味違った楽しみを堪能できるのが「雨キャンプ」です。

今回は、雨キャンプ対策や必需品、楽しみ方などを解説します。山の天気は変わりやすいので、突然の雨降りにも対応できるよう参考にしてみてはいかがでしょうか。

雨キャンプをするときの心構え

雨の日のキャンプは「普段よりキャンプ場が空いている」「ゆったりとした時間を過ごせる」など、晴れの日とは違った魅力があります。しかし、天候次第では無理をすると危険を伴うため注意が必要です。

キャンプを計画する際は、滞在中の天気予報を必ずチェックし、台風や大雨警報など悪天候が予想されるときは、無理をせず日程や場所を変更しましょう。キャンプの実施は安全面を第一に考え、状況に応じた対応を心がけることが大切です。

ここからは、晴れの日のキャンプと違いに着目し、何に注意すべきかを確認しながら、雨キャンプならではの楽しみを見つけていきましょう。

雨キャンプでの設営・滞在・撤収時のポイント

雨キャンプを快適に過ごすために心がけるポイントについて、シチュエーション別にご紹介します。

【キャンプ前】天気予報で具体的な天候内容をチェックする

キャンプに行く前に、まずは滞在中の天気予報をチェックしましょう。特に山の天気は変わりやすいため、急に天候が変わり雨が降ることも予想されます。天気予報を確認するときは、以下のポイントを押さえておきましょう。

<天気予報のチェックポイント>
●滞在中の天候
●注意報や警報の有無
●雨雲の動き(雨が降り続ける時間の長さ)
●降水量
●風速

降水量とは、1時間に降る雨の量のこと。一般的な降水量のイメージを表にしたので、雨キャンプの実施を判断するひとつの目安にしましょう。

降水量雨の強さイメージ
1mm~2mm小雨パラパラ、シトシト
3mm~4mm本降りの雨サー
5mm以上やや強い雨ザーザー

キャンプを実施できるかの降水量の目安は、5mm程度を基準とするとよさそうです。小雨や弱い雨であれば、雨具を身につけて森の散策や釣り堀での釣りなども楽しめるでしょう。

ただし、川の近くは小雨であっても注意が必要です。川の上流で雨が降っている場合、急に増水することもあります。雨が降り出したら、キャンプ場の指示に従い、川からは距離をとりましょう。

【キャンプ前】行く予定のキャンプサイトの特徴を把握する

初心者キャンパーの方や初めて行くキャンプ場であれば、予定にしているキャンプサイトにどのような特徴があるのか調べておくのもおすすめです。前もってどのようなエリアがあるのか把握しておくことで、雨予報のときの対策が検討できるでしょう。

例えば、サイト内に車を停められるオートキャンプ場であれば、雨の中荷物を運ぶ心配がありません。他にも、グランピング施設が併設していれば、プランの変更が可能な場合もあります。

また、キャンプ場によっては雨天時の対策として、スノコや難燃素材のタープなどの貸出しに対応しているケースもあります。施設運営側のサービスを知っておくことで、いざというときも安心でしょう。

【設営時】テント設営場所は水はけのよい場所を選ぶ

雨天時にテントを設営する場所は、砂利や芝生サイトなどの水はけがよい、高台の場所を選ぶことが大切です。地面の様子を確認し、水が流れる跡やくぼみのあるエリア、傾斜の小さい場所は避けましょう。水が通りやすく溜まりやすい可能性があります。

また、川沿いや崖、急斜面は、雨で地盤が緩み土砂崩れが発生する危険があります。「少ない雨量だから大丈夫」と過信せず、雨上がりで森を散策する際も、近づかないようにしましょう。

【設営時】タープから設置する

設営の手順は、まずはタープから設置するのがポイントです。タープを最初に設営すれば、人や荷物を雨から守ることができ、落ち着いて作業ができます。

なお、タープは雨水が流れるよう傾斜をつけて張るのが大切です。平行に張ると水が溜まり、重さでタープが倒れたり、ポールが折れてしまったりすることも考えられるため注意しましょう。

テント設営時は、テントの出入口の上にタープがかかるようにセッティングすると、テントとタープの間を移動する際に雨でも濡れにくくなります。

【設営時】テントのフライシートはピンと張る

フライシートとは、テント本体の上に重ねて張る防水処理された布地のこと。テント設営時はフライシートを、ハリのある状態を意識して張ると耐水性がアップするのでおすすめです。フライシートをシワなく張ることで、雨が流れやすくなり、結露の発生や雨風の侵入を防ぎます。

またテント本体と間隔をあけて重ねることで、通気や通風も期待でき、テント内で快適に過ごせるでしょう。

【滞在時】荷物を地面に直置きしない

滞在時は、荷物を地面に直接置かないことも大切です。テント内であっても、雨が強くなると地面を雨水が伝ってきたり、泥はねによって汚れたりすることも考えられます。スノコやコット、ベンチなどを活用して、地面から浮かせた所に荷物を置くと雨から守れるでしょう。

また、置く場所が限られる場合には、ハンギングチェーンやS字フックを活用して、ランタンや上着などの軽い物は吊り下げるのもおすすめです。そうすることで空間を有効に活用できるメリットも生まれます。

なお、突然雨が強くなることも考えられるため、テントを離れる際や就寝時は、テントのキャノピー(出入り口のひさし部分)を閉めることも忘れないようにしましょう。雨キャンプの際は、キャノピーをこまめに閉めることで、雨の侵入を防げます。

【撤退時】時間に余裕をもって撤収する

雨キャンプの撤収時は、水滴を拭いたりペグの泥を拭いたりと普段より作業が増えるため、早めに撤収作業に取りかかることも重要です。キャンプ場を選ぶ際は、「チェックアウト時間に余裕がある」や「チェックアウト時間を延長できる」といったポイントも確認できると安心でしょう。

また、テント撤収時は、雨で濡れる物を最低限にするために、テントの次にタープを片づけます。雨キャンプ時は、素早く撤収することが大切なため、大きいビニール袋に一気に荷物を詰めたり、ブルーシートで包んだりして、時間短縮を心がけましょう。

【帰宅後】濡れたテントやタープはしっかり乾かす

帰宅後、濡れたテントやタープはしっかり乾かしましょう。濡れたまま乾燥しないでおくと、カビの発生や防水性・耐久度が損なわれることも考えられます。

お気に入りのキャンプ用品を長く愛用するためにも、雨の日に使用した後は、キャンプアイテムのメンテナンスを忘れないようにしましょう。

なお、乾燥方法は、晴れの日に「テントやタープを再度設営する」と全体的に乾燥できるのでおすすめです。一方で、自宅に広げる場所がないときなどは、テント乾燥サービスを活用するのもひとつの方法でしょう。

雨キャンプで焚き火をするときの注意点

雨キャンプを快適に過ごす対策と楽しみ方。必需品や注意点も解説
image by Haut Risque on Unsplash

雨の日にも焚き火を楽しみたい、焚き火で暖を取りたいと考える方もいるかもしれません。しかし、雨キャンプ時は晴れの日と違い、気をつける点も多いです。意識するポイントを以下にまとめたので確認しておきましょう。

<雨の日に焚き火をするときの注意点>
●雨除けをして焚き火を行う
●タープは必ず、難燃素材の物を使用する(化学繊維は燃えやすいため)
●タープはなるべく高い位置に設置する(炎が高く上がると危険なため)
●薪を寝かせて量を調整するなど工夫し、常に炎を小さく保つ薪や焚きつけ材、着火剤を湿らさない
●火の粉がタープに燃え移らないように焚き火から目を離さない

なお、天候や状況によっては、焚き火をおすすめしません。以下のポイントを確認し、雨の日に焚き火をする際の判断基準にしてください。

<焚き火には向かない天候や状況>
●風があるとき(炎が舞い上がったり、タープが倒壊する恐れがある)
●突然の雨で、雨天時に焚き火をする想定のアイテムがないとき
●キャンプ初心者で焚き火に不安がある   など

焚き火は、安全が最優先です。状況に応じて「今回は止めておく」「雨や風が止んだら行う」などその時々に適した判断を心がけましょう。

雨キャンプに揃えておきたい必需品8選

雨キャンプに備えておきたいキャンプ道具や便利なアイテムをご紹介します。

防水性のあるテント・タープ

テントやタープは、防水性や撥水加工がある物を準備しましょう。なお、防水性や撥水性が落ちていると、雨漏りの原因になることもあるため注意が必要です。

事前に確認をして、水が染み込むなど心配があるときには、防水対策として防水スプレーなどでメンテナンスをしておくと安心です。防水スプレーの使用方法や機能を確認し、適した方法で活用するようにしましょう。

レインウェア・傘

レインウェアを着れば、雨でも設営・撤収のときに両手を使うことができ便利です。着脱しやすいセパレートタイプで、防水性の高い物を選びましょう。

また、滞在中はトイレなどちょっと移動したいときには傘がおすすめ。レインウェアよりも手軽に使えて、移動もしやすくなります。

長めのペグ

雨が降ると地面が柔らかくなり、テントやタープを固定するためのペグが抜けやすくなるため、普段より長めのペグを持って行くようにしましょう。長さが40cm以上あるペグを用意すると安心です。

グランドシート・ブルーシート

グランドシートとは、テントと地面の間に敷くシートのこと。浸水や汚れ防止、底冷え、結露対策にもなるため、雨キャンプのときにはグランドシートを持参すると心強いでしょう。

グランドシートがないときは、ブルーシートでも代用できます。地面に敷く際は、雨がテント内に侵入しないように、グランドシートやブルーシートをテントに折り込み調整しましょう。

なお、雨キャンプではブルーシートが複数あると便利です。「雨で濡れたキャンプ用品をまとめて、ブルーシートで包む」「雨に濡れたアイテムを車に入れる際の汚れ対策として、トランクにブルーシートを敷いておく」といった活用もできるでしょう。

タオル・雑巾

タオルや雑巾は、キャンプ道具を拭くだけでなく、テントに入るときに体や頭を拭くときなどに活用できます。「身体を拭く用」「道具を拭く用」など、用途によって使い分けられるよう多めに持って行くのがおすすめです。

大きめのビニール袋

大きめのビニール袋があると撤収時に便利です。テントやフライトシートなどの荷物をまとめてビニール袋に入れられれば、撤収時間の短縮になります。荷物もコンパクトになり、さらに車の中の汚れ防止にも役立つでしょう。

長靴・サンダル

長靴があると、雨の中での作業もスムーズです。レインシューズに関しては、スニーカーやショートブーツ、長靴タイプなど多彩な種類があるため、雨の程度に合わせて準備してもよいかもしれません。

また、テントの出入りなどで靴の着脱が多いタイミングは「サンダル」があると便利です。

濡れても拭けばすぐ乾くので役立ちます。ただし、サンダルは濡れた岩や泥などの上で滑ることもあるため、移動する際は注意しましょう。

着替え・防寒着

雨の日は、レインウェアを着用していても雨で服が濡れてしまうため、着替えや防寒着は必ず準備しておきましょう。また、雨天時のキャンプ場は気温が下がり、冷え込むことも考えられます。防寒着は、防水性や保温性の高い物を用意すると雨の日でも快適に過ごせるでしょう。

雨キャンプの楽しみ方

雨キャンプを快適に過ごす対策と楽しみ方。必需品や注意点も解説
image by Yoksel Zok on Unsplash

雨の日のキャンプ場は空いていることが多く、普段は味わえないようなゆったりとした時間を過ごせるのが魅力です。ここでは、雨キャンプならではの楽しみ方をご紹介します。

雨の森を散歩

小雨であれば、レインウェアや長靴、傘を準備して、キャンプ場周辺の森を散策してみるのはいかがでしょうか。雨の日は、木々や葉っぱが水滴をまとい、晴れの日とはひと味違った森の表情が見られます。

雨の音に耳を傾けてのんびり歩いたり、雨のときにしか出会えない生き物を見たりと、非日常の体験を楽しめるでしょう。

テント内で読書やゲーム

雨キャンプでは、テントの中で過ごす時間が増えるため、雨音を聞きながらゆったりとした時間を満喫するのもおすすめです。

家族や仲間など複数人で過ごす際は、トランプやボードゲームがあると盛り上がるでしょう。ソロキャンプであれば、のんびり音楽を流したり、時間を気にせず読書を楽しんだりするのもよいですね。

また、モバイルプロジェクターをテントに映すことで、手軽にアウトドアシアターやスライドショーも楽しめます。雨キャンプの過ごし方に悩んだ際は、取り入れてみてはいかがでしょうか。

時間をかけたキャンプ料理

時間をかけたキャンプ料理に挑戦できるのも、雨キャンプの醍醐味です。子連れであれば、野菜を切ったりちぎったり、じっくり時間をかけていっしょに作るといった楽しみ方もできるかもしれません。

一方で、雨の日は洗い場に出向いて洗い物をするのは一苦労です。ダッチオーブンやスキレットを使い、ひと鍋で完結するような使った煮込み料理などが作りやすいでしょう。

なお、焚き火で料理をしたい方は、事前に薪を準備しておくのがおすすめ。キャンプ場で販売する薪は湿気を含んでおり着火しにくい可能性があるため、よく乾燥している薪を通販で購入しておき、持参すると安心です。

長野県で木材加工業を営む齋藤木材工業株式会社が運営する「森の中ストア」では、キャンプでの焚き火に適したカラマツの薪を販売しています。カラマツの外側は密度が高く、他の針葉樹に比べ火持ちが優れているのもポイントです。この機会に、購入を検討してみてはいかがでしょうか。

雨の日の対策を万全にして雨の日もキャンプを楽しもう!

今回は、雨キャンプに向けた対策や必需品、楽しみ方をご紹介しました。「アウトドアに雨は大敵」といわれますが、キャンプ場が空いていたり、普段とは違った景色が見られたりと雨の日ならではの魅力もたくさんあります。対策を万全にして、雨キャンプを楽しんでみてはいかがでしょうか。