サーキュラーエコノミーとは?企業事例や概念図を用いて分かりやすく解説!

サーキュラーエコノミーとは?企業事例や概念図を用いて分かりやすく解説!

サーキュラーエコノミーは、資源をリサイクルや再利用など最大限活用し循環させる経済モデルのこと。これまでの経済モデルとどのような違いがあるのでしょうか。今回は、サーキュラーエコノミーの考え方について、概念図や3Rとの違い、身近なプラスチックとの関係に触れながらご紹介します。海外や国内の企業が取り組む事例やおすすめの書籍などもあわせて紹介しますので、ご参考ください。

サーキュラーエコノミーとは?

近年、新たな経済モデルとして注目を集めているサーキュラーエコノミー。まずはサーキュラーエコノミーとは何を指すのか、概念図などを用いて解説します。

サーキュラーエコノミーは、資源の無駄を減らす循環型の経済モデル

サーキュラーエコノミーとは、資源をリサイクルや再利用などでできる限り活用し循環させる新しい経済モデルのこと。日本語では「循環型経済」と訳され、資源や製品の価値を最大限利用し、廃棄物をできるだけ抑制する取り組みのことを指します。

リサイクルマーク
image by Volodymyr Hryshchenko on Unsplash

サーキュラーエコノミーは、SDGsと親和性が高く、SDGsが目指す持続可能な成長と重なる部分が数多くあります。

サーキュラーエコノミーに関連するSDGsの目標には、17目標のうち以下の4つが挙げられます。

12 つくる責任 つかう責任
再利用可能な物を使ったり、デザインや設計を長期利用できるよう配慮すること

13 気候変動に具体的な対策を
限りある資源を有効に使うことで気候変動を抑え、生態系を守ることに繋がる

14 海の豊かさを守ろう
始めから廃棄物を出さないようにしているため、海への廃棄物の流入が防げる

15 陸の豊かさも守ろう
資源を有効に使うことで資源の過剰利用を食い止め、今ある生態系を守る

また、サーキュラーエコノミーと混同されやすいシステムとして、3Rがあります。3Rとは、Reduce(リデュース・廃棄物の発生を抑制)・Reuse(リユース・同じものを再利用)・Recycle(リサイクル・廃棄物を再活用)の頭文字をとったもの。サーキュラーエコノミーと同様、廃棄物を抑える取り組みを指していますが、3Rの場合どうしても廃棄物が出てしまうのが現状です。

一方、サーキュラーエコノミーでは生産、消費、リサイクルが循環し極力廃棄物を生み出さないことを前提にしています。製品を作る際、最初から廃棄物を出さない設計やデザインが用いられ、循環するシステムなのです。

日本国内においては2020年5月、経済産業省が「循環経済ビジョン2020」を発表。一定の成果は上げている「3R」から更に一歩踏み込んだ動きとして、循環経済システムへの強化を図っています。

参考:経済産業省「循環経済ビジョン 2020」

サーキュラーエコノミーの概念図・3原則とは?

サーキュラーエコノミーの概念図は以下になります。ほかの経済の仕組みであるリニアエコノミー(直線型経済)・リユースエコノミー(リユース経済)と比べてみると、いかに廃棄物を出さない仕組みなのかわかるのではないでしょうか。

サーキュラーエコノミー

ちなみに、リニアエコノミー(直線型経済)とは、ひとことで言うと大量生産・大量消費型の経済モデルのことです。消費された資源をリサイクル・再利用することなく廃棄してしまう直線的にモノが流れる仕組みを指します。

また、リユースエコノミー(リユース経済)は、3Rをベースに、廃棄物の一部を再資源化はしていますが、少なからず廃棄物が出てしまいます。

国際的なサーキュラーエコノミー推進機関であるイギリスのエレン・マッカーサー財団は次のような3原則を掲げ、各国・各企業を巻き込んでサーキュラーエコノミーへの移行を推進しています。

1.廃棄物と汚染などを生み出さない設計を行う
2.製品と原料を使い続ける
3.自然システムを再生する

EUでは「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を2015年に採択

EUではサーキュラー・エコノミーへの移行を積極的に推進しています。2015年12月には欧州委員会が、サーキュラー・エコノミーについての新提案として「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を採用し、行動指針や具体的な目標を設定しました。 

<廃棄物に関する主な目標>

・2030年までに、EUの自治体の廃棄物の65%をリサイクル
・2030年までに、EUの包装廃棄物の65%をリサイクル
・2030年までに、埋め立てられる自治体の廃棄物を最大10%削減
・分別収集された廃棄物の埋め立ての禁止
・再利用を促し、産業の共生(ある産業の副産物を別産業の原料とする)を刺激するための方策を具体化

また、2020年3月には、欧州委員会が「サーキュラーエコノミー行動計画」を発表。持続可能で低炭素、さらには資源効率的な経済への転換を目指し、法規制を組み込んだ政策・行動計画として注目されています。

リニアエコノミーに代わり「サーキュラーエコノミー」が求められる背景

今なぜ、リニアエコノミーに代わりサーキュラーエコノミーが注目されているのでしょうか。ここでは、その背景にスポットを当てて見ていきましょう。

従来モデル「リニアエコノミー」の課題

先述したように、リニアエコノミーとは大量生産・大量消費・大量廃棄の経済モデルです。自然界から取り出された資源やエネルギーをリサイクルや再利用することなく廃棄してしまうため、資源やエネルギーの不足を招くだけでなく、地球温暖化、廃棄物処理などの環境問題を引き起こす要因ともなっています。

こうした諸問題を解決するための方法として提唱されはじめたのが、今回のテーマである「サーキュラーエコノミー」です。この経済モデルを推進することで、脱炭素社会を実現できるとされているのです

ここで言う「脱酸素」とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること。その手段として、排出される量と森林などに吸収される量を均衡させる「カーボンニュートラル」が社会全体での目標となっています。

また、サーキュラーエコノミーの実現により多大な経済効果がもたらされるとも言われています。ストラテジー & コンサルティングなどを手掛けるアクセンチュアは、サーキュラーエコノミーの市場規模として、2030年までに全世界で4兆5000億ドルもの経済価値を生み出すと試算しています。

プラスチックの取り扱いも重要なテーマのひとつ

サーキュラーエコノミーでは重要なテーマのひとつとして、プラスチックの取り扱いが挙げられます。2020年7月1日から開始されたプラスチック製買物袋(レジ袋)有料化をきっかけに、プラスチックに関心が高まっています。

プラスチック製品の削減や再資源化の動きが活発になってはいますが、プラスチックは同様の質でのリサイクルは2%に留まると言われています。身近なプラスチックこそ、削減できるものは削減し、サーキュラーできるものへの転換や徹底した再利用などを実現していくべきではないでしょうか。

プラスチックSTOP
image by Sigmund on Unsplash

サーキュラーエコノミー実現に向けた企業の取り組み事例

サーキュラーエコノミーの実現に向けて企業はどのように取り組んでいるのでしょうか?実際に行っている取り組み事例を紹介します。

海外企業の事例

まずは、海外企業5社の取り組みを見ていきましょう。

事例①ミシュラン

フランスの大手タイヤメーカーのミシュランは、タイヤを製品として売るのではなく、リースをして走行距離に応じたリース料を請求する販売方式を展開しています。タイヤのメンテナンスも料金に含み、製造から廃棄まで全体に関わることで、利用済みタイヤの再生と再資源化に取り組んでいます。

また、廃タイヤから新品タイヤを製造するプロセスの開発に着手しているほか、タイヤリサイクルプラントを建設し、廃タイヤからカーボンブラック、熱分解油、スチールなどの高品質の再生材料を回収する技術の開発も進めています。

事例②キャタピラー

アメリカ合衆国が本拠地の、建設機械や鉱山機械などを製造する大手製造会社であるキャタピラーは、摩耗や破損した部品の再生に取り組んでいます。使えなくなった部品を回収し、高い再生産技術で新たな部品として再生しています。このサーキュラーエコノミーにより、廃棄物やCO2排出はもちろん、生産コストの削減もしています。

事例③アルグラモ

2013年チリで創業されたアルグラモは、家庭用洗剤や洗浄剤、日用品などを、廃棄物を排出しない形かつリーズナブルな価格で購入できる分配型システムを展開しています。容器削減を目標に、再利用可能なプラスチック容器に必要量だけ購入できる仕組みとなっており、そのパッケージには、RFIDシステムが施されています。

RFIDシステムは、日本でも電子マネーに使われている情報の入力・消去・書き換えができるシステムです。この技術により、流通や人件費を抑えることも可能となりました。また、少量ほしい時、小さい容器ほど容器包装代に占める割合が多いという課題の解決にも繋がっています。

事例④アディダス

ドイツに本拠地を置くアディタスは、2021年中にサッカー用のジャージやスニーカーなどすべての同社製品において、60%以上を持続可能な素材で作られたものにすると発表しており、2024年以降は100%を目指すとしています。さらに、綿については、フィンランドのスタートアップ企業と協力し、古着を綿のような素材に変換するプロセスの開発にも携わっています。

事例⑤パタゴニア

アメリカのアウトドア用品の製造販売メーカーパタゴニアは、リサイクル素材の使用を最優先しています。例えば、レスポンシビリティーというTシャツは、4.8本のペットボトルと136グラムのコットンの端切れを含むリサイクル素材を100%使用しています。さらにはフェアトレード・サーティファイドの縫製を採用し、一般的な綿製Tシャツと比べて、水の使用量を96%、二酸化炭素の排出量を45%削減しています。また、同社の衣類の修理サービスも行っています。

日本企業の事例

続いて、日本企業5社の取り組みを紹介します。

事例⑥トヨタ自動車

国内最大手の自動車メーカーであるトヨタ自動車では、2015年10月に「トヨタ環境チャレンジ2050」を公表し、「CO2ゼロ」と「プラスの社会」を目指すと発表しました。また、2030年までに電池回収から再資源化までのグローバルな仕組みを構築し、廃車適正処理のモデル施設を30か所に設置するとしています。電気自動車のさらなる推進、リサイクル・リユースに適した設計の積極的な採用も行っています。

事例⑦ファーストリテイリング

ファストファッションとして全世界に展開しているファーストリテイリングのユニクロでは、RE.UNIQLOを展開しています。これは、ユニクロの全商品をリサイクル・リユースする取り組みで、難民への衣料支援や、CO2削減に役立つ代替燃料への再生などの成果を上げています。また、服から服へのリサイクルとして、ダウン製品を回収し、最新アイテムへと生まれ変わらせる展開もしています。

事例⑧セブン&アイホールディングス

大手流通持株会社のセブン&アイホールディングスは、2019年5月に「GREEN CHALLENGE 2050」を公表しました。4つのテーマ「CO2 排出量削減」「プラスチック対策」「食品ロス・食品リサイクル対策」「持続可能な調達」を掲げ、取り組んでいます。また、環境省推奨の「CEチャレンジ(サーキュラーエコノミーチャレンジ)」への参加企業にも選定されています。店頭にペットボトル自動回収機を設置したり、環境に優しいバイオマスポリエチレンを使用したレジ袋を推奨したりするなど活動を行っています。

事例⑨tototo

富山県氷見市にある魚のレザーブランドtototoでは、廃棄される魚の皮を、丈夫でしなやかなフィッシュレザーへと加工・製品化しています。「生命の恵みを無駄にしない持続可能なものづくり」をコンセプトとして、財布やカードケース、スマホケース、キーホルダーを作り、百貨店やホームページで販売しています。

事例⑩イワタ

寝具メーカーのイワタは、無漂白・無染色を掲げる新ブランド「unbleached」を開発しました。植物や動物の生まれ持った色をそのまま活かし、素材を漂白や染色しないことで、水資源や大気汚染への影響を抑えています。家庭で日干しや水洗いできるので長く使うことができ、使い続けた商品は、仕立て直しすることにより保温性や吸湿性を取り戻し、さらに長く使うことができます。また不用になった寝具の引き取りと再利用、再資源化しやすい素材や再生可能エネルギー100%の電力の導入などにも取り組んでいます。

サーキュラーエコノミーを学ぶ本

サーキュラーエコノミーを題材とした書籍も数多くあります。ここでは、サーキュラーエコノミーをさらに詳しくしりたい人におすすめの本を3冊ご紹介します。

新装版 サーキュラー・エコノミー デジタル時代の成長戦略

ピーター・レイシー、ヤコブ・ルトクヴィスト(著)
牧岡宏、石川雅崇、アクセンチュア・ストラテジー(翻訳)

「無駄」を「富」へと変える、今世紀最大の資本主義革命と謳い、サーキュラー・エコノミーの5つのビジネスモデルを紹介しています。サーキュラー型のサプライチェーンとしてIKEAなど、回収とリサイクルを徹底しているメーカーとしてP&G、シャアリング・プラットフォームの事例として配車アプリを展開するUberなどについても記しています。

サーキュラー・エコノミー:企業がやるべきSDGs実践の書

中石和良(著)。サーキュラーエコノミーを選ばれる会社の成長戦略と位置づけた一冊。ミシュランやグッチ、アディダス、アップルなど各業界で名を馳せる最先端企業による「SDGs実践の方法」「サーキュラー・エコノミーの取り組み」を紹介しています。環境と経済をつなげ、新しい発想で商品やサービスを生み出す会社の実態に迫っています。 

サーキュラーエコノミー実践: オランダに探るビジネスモデル

安居昭博(著)。官民一体で先進的サーキュラーエコノミーへ移行するオランダでは、デジタルテクノロジー、インフラ、建築、フード、アパレルなどで、その実践が展開されています。廃棄物を出さない仕組みづくりは、経済効果・環境負荷軽減・リスク管理等を同時に達成する手法として注目されています。そんなオランダと日本を現地調査して見えてきた17事例を紹介。今後の大きなビジネスチャンスとして捉えています。

サーキュラーエコノミーは今求められている新たな経済成長モデル

サーキュラーエコノミーとは何か、事例や概念図などを用いてご紹介しました。限りある資源を未来へ繋げていくには、サーキュラーエコノミーこそが今求められている新たな経済モデルなのです。リサイクルや再利用など資源をできる限り活用し循環させるサーキュラーエコノミーは、プラスチックの取り扱いなど一人ひとりが身近なところから始められます。ほんの小さな一歩でも、それを確実に進めていけば大きな流れとなるはずです。まずはできることから、サーキュラーエコノミーを取り入れてみませんか。