カラマツの特徴や見分け方。木材としての活用例など

カラマツの特徴や見分け方。木材としての活用例など

カラマツは戦後の日本で最も多く植林された木の一つで、北海道や岩手県、長野県の山間部などにはカラマツ林が多くみられます。秋になると美しく紅葉し落葉する針葉樹として知られています。多くの土地で馴染みのある木である一方、その歴史や活用例についてはあまり知られていないのが現状です。今回は、カラマツの特徴や見分け方、木材としての活用例などについてご紹介します。

カラマツ(Larix kaempferi)とは

カラマツ(学名:Larix kaempferi)は、漢字で「落葉松」「唐松」とも明記される、マツ科カラマツ属の針葉樹です。日本に自生するマツ属としては、唯一の落葉樹として知られています。カラマツの特徴や分布、ほかの木との見分け方などについてみていきましょう。

カラマツの属性や特徴、似た木との見分け方は?

日本では、多くのマツ科の木を見ることができますが、カラマツは他のマツ科の木とどのような違いがあるのでしょうか。カラマツの特徴や、他のマツとの見分け方などについて解説します。

日本に自生するマツ科で唯一の落葉針葉樹

カラマツは、マツ科の中では珍しい落葉樹です。カラマツの葉は晩秋になると見事な黄金色に紅葉し、一斉にその葉を落とします。カラマツの紅葉は、ほかの紅葉する樹木と比べて時期が遅いことから、冬の到来を告げる風景としても知られています。

紅葉したカラマツ
image by makieni on photo AC

ツリー状の美しい高樹は10階建てビルに相当。強風地帯では風衝樹形を呈する

カラマツは樹高が約30mまで成長する、背の高い木として知られています。幹の直径は1mを越えるものもあり、樹形は環境によって左右されるものの、クリスマスツリー状からやや細長い円錐形と、整った樹冠を形成します。

標高が高い場所や風の強い海岸地では、背丈が低く、風の影響を受けて樹木の形態が変形する「風衝形」を呈したカラマツを見ることができます。樹皮は暗褐色で、赤みを帯びることがあり、鱗状に薄く裂けて剥がれ落ちます。

短い線状の葉が特徴

カラマツは春になると芽吹きの時期を迎えます。カラマツの葉は、直径2~3㎝ほどの線形で、中心を軸に複数が放射線状に伸びており、1本の枝に複数が連なっています。

カラマツの葉
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松ぼっくりはマツ属と似た形状、2~4センチで長期間枝に残る

カラマツの花は5月頃に見られ、同じ株の中に雄花と雌花の2種類の花を付ける「雌雄同株」です。新葉とともに、緑色の雌花は上向きに、雄花は下向きに花を咲かせます。

9月~10月頃になると果期を迎えます。カラマツの松ぼっくり(球果)は2~4㎝弱に成長し、多数の鱗片状の構造を持つ形状はマツ属の球果とよく似ています。マツ属の球果の鱗片には肥大部分があり、突起状に発達するのに対し、カラマツを含むカラマツ属の球果は、発達せずに平滑のままなのが特徴です。種子には翼があり、球果は種子を飛ばした後も枝に残り、冬になると枝ごと落ちているのをしばしば見ることができます。

カラマツの松ぼっくり
image by うさぎ屋写真 on photo AC

カラマツの分布・その歴史

北海道や長野県、岩手県を中心とした地域では、多くのカラマツ林を見ることができます。このような風景が見られるようになった背景やカラマツの歴史を紐解いていきましょう。

本州の中部山岳地帯に自然分布

カラマツは元々日本に自生しており、本来の生育地は亜高山帯からブナ帯上部であると考えられています。カラマツの自然林は、主に本州中央部の日本アルプスや、富士山、奥日光などの高地に分布しています。

戦後に北海道や長野で大規模な植林

カラマツは寒冷に強く、成長が早い上に火山灰地や溶岩地などの劣悪な土壌でも生育するため、第二次戦後の復興造林として、中部地方の高標高地や北海道、東北地方などに多く植林されました。育苗しやすく、根付きや成長の早いカラマツは大量生産に向いた樹木として重宝され、人工林の植林面積としては、スギ、ヒノキに次ぐ3番目の広さを誇ります。北海道では現在、総人工林面積の約3割にあたる46万haをカラマツ林が占めると言われています。

時代の変化とともに、活用の場が失われる

戦後の造林で脚光を浴びたカラマツですが、植林時点では、どのように利用するのか、十分な見通しはなかったとされています。というのも、カラマツの材は良い建築用材や土木資材になるものの、繊維が螺旋状に育つという特徴があったのです。若い材にはねじれが見られることから、板材に不向きでした。また、松ヤニを多く含むため、パルプ用材としても使いにくいという点でも用途が限られてしまっていたのです。

その後、国産材の需要は安価な外材の登場で冷え込み、戦後に植林されたカラマツ林が収穫期を迎える中、多くのカラマツ林が放置林として活用されないままとなっていました。

加工技術の向上で、再び脚光を浴びる

時代の変化と共に、その役割を失っていたカラマツですが、木材の利用や加工技術の進展によって、現在カラマツを活用する動きが活発化しています。合板や集成材などとして加工され建築に使われたり、その形や木目を生かしてインテリアや家具として活用されたりする例もあります。以下では、木材としてのカラマツの活用例について詳しく説明しています。

木材としてのカラマツ

カラマツ材の断面
image by カッパリーナ on photo AC

木材としてのカラマツは、どのような特徴を持つのでしょうか。カラマツ材は、建築用として多く用いられているスギ材よりも硬度が高く、粘りのある材質です。年輪や木目は赤みを帯びているのが特徴です。カラマツは樹脂が多いため、耐水性や耐久性に優れ、建築材の中でも、土台や土木用材、杭木、枕木などに多く活用されています。近年では、脱脂・乾燥技術の進歩により、「割れにくい」「ヤニが出にくい」「曲がり・狂いが少ない」といった建築資材としての地位を得ています。

フローリング材・外壁材など、カラマツの活用事例

カラマツは暮らしの中でどのように活用されているのでしょうか。

集成材

集成材とは、複数の板を結合させた人工の木材です。製材された板あるいは小角材などを乾燥させ、節や割れなどを取り除き、繊維方向をそろえて接着剤で接着して作られます。無垢材に比べて、強度や寸法安定性、耐久性に優れ、湾曲した材料も製造できるなどの特徴があります。

集成材には「建造用集成材」と「造作用集成材」があり、建造用の集成材は厳格な規格と検査基準をもとに品質管理されています。強度と安定性に優れているため、住宅を支えるための柱や梁(はり)などに使われています。

一方、造作用の集成材は安価かつ安定した品質が特徴で、テーブルの天板や棚板など、幅広い用途で使われており、近年人気の高まるDIY用材にもカラマツの集成材が使われています。

フローリング材

カラマツのフローリング
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カラマツは、フローリング材としても用いられています。耐水性に富んだカラマツは、住宅の床に敷くフローリング材としても重宝されています。また、針葉樹の中でもトップクラスの硬度を持つカラマツは、傷がつきにくいという点でも、フローリングに適した材質を持っています。

カラマツのフローリング材は無塗装では赤味を帯びており、黄金色と表現されることもあります。自然が形づくった節や木目も、カラマツの材の特徴です。

外壁材

カラマツは、建物の外壁材としての利用も進んでいます。外壁に特化したカラマツ製のパネルも開発されており、その人気が高まっています。カラマツは前述したように強度が高いため、外壁としての耐久性に優れていることに加え、サイディングなどの外壁材とは異なり、徐々に変化していく木の表情を楽しめることも魅力です。

家具

建築用材としてだけでなく、カラマツは家具材としても用いられています。その強度や美しい木目を生かし、食器棚や箪笥、テーブル、ベッドなど多用な製品が作られています。

薪やペレットなどの燃料や、再生可能エネルギー

カラマツを間伐する過程で生まれる間伐材は、ストーブ用の木質ペレットとしても活用されています。カラマツから作るペレットは、スギやヒノキのものと比べて発熱量が高く、10kgの木質ペレットから灰として残るのは20gほどと、燃料効率も高いのが特徴です。

また、カラマツの間伐材は森林バイオマスエネルギーの燃料としても利用されています。森林バイオマスエネルギーとは、木材生産時に生まれる樹木の未利用部を、再生可能エネルギーとして活用したもの。温室効果ガスの発生量が少なく、苗木を育てることで再生できるため環境負荷の小さいエネルギーとして期待されています。

四季折々の表情や、暮らしに活用されるカラマツを楽しもう

カラマツ林
image by makieni on photo AC

針葉樹としては珍しく秋に紅葉して葉を落とすカラマツは、戦後の日本で数多く植林された木の一つです。時代の変化とともに、一時は活躍の場を失ったカラマツですが、木材加工技術の向上や外材の価格高騰などを背景に、その価値が見直されています。四季折々に変わった表情を見せるカラマツ林の様子や、暮らしに活用される家具や建材を楽しみながら、カラマツの歴史や先人たちの思いを感じてみてはいかがでしょうか。

令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成