森林浴とは?効果や関東・関西などのおすすめ森林浴スポットを紹介!

森林浴とは?効果や関東・関西などのおすすめ森林浴スポットを紹介!

森林浴とは、森林の中で樹木に接することで身体や心への癒しを求めること。森林セラピーとの違いや効果、森林浴と深い関わりのあるフィトンチッド、森林浴の楽しみ方などをご紹介します。関東や関西などにあるおすすめ森林浴スポットも紹介しますので、お出かけの参考にしてみてください。

森林浴とは?意味や森林セラピーとの違い

まずは、森林浴とはどのような行為を指すのか、その意味をご紹介します。

「森林浴」とは、森林に入り心身の癒しを図る健康法

森林浴とは、森林の中で樹木に接することで身体や心への癒しを求める行為のことです。この森林浴という言葉は、1982年に林野庁の長官が提唱し、広まりました。明確なルールがあるわけでなく、森林を散歩したり深呼吸するだけでも森林浴と言えます。森の中で香りや音、風、太陽などを感じリラックスできる健康法として、今では世界中の人々が楽しんでいます。

「森林セラピー」とは、医学的な裏付けのもと行う森林浴のこと

一方、森林セラピーとは、医学的・科学的な証拠に裏付けされた森林浴のことです。森林浴が知られるようになったのち、2004年頃に提唱されはじめました。森には、心身ともにさまざまな効果があると実証されており、森林セラピーは、森と触れ合いながら心と身体の健康維持や増進、リハビリテーション、さらには病気の予防を行うことを目的としています。
(※森林セラピーは特定非営利活動法人森林セラピーソサエティの登録商標です)

森林浴で期待できる効果

つづいて、森林浴で期待できる効果について見ていきましょう。代表的な4つの効果をご紹介します。

葉
image by Rémi Walle on Unsplash

リラックス効果を得られる

最も代表的なものとして、リラックス効果が得られることが挙げられます。森林浴をし、森のパワーを全身を使って五感で感じることで、交感神経が鎮まり、副交感神経の活性化が期待できます。

ストレスを軽減できる

森林浴を行うと、ストレスを司るコルチゾールというホルモン分泌量が減ると言われています。コルチゾールはストレスを起こすだけにとどまらず、糖尿病や高血圧などの一因になることも。森林浴を行うことで、精神的にリラックスできるうえ、身体への負担も軽減できるのではないでしょうか。

緊張が緩和する

森林浴は、前頭葉の働きが落ち着き、脳や神経を緊張から緩めてくれる効果も期待できます。森林浴で緊張が緩和すれば、高ぶる感情を整え、心を安定させることでき、脳だけでなく身体の強張りも軽減されることでしょう。

免疫力が回復する

免疫力にも強く働きかけると言われているのが森林浴です。樹木の香りによる殺菌効果、森林浴により精神が安定することでナチュラルキラー細胞の活性化にもつながるとされています。ナチュラルキラー細胞とは、自然免疫細胞のひとつで、体内の病原菌やウイルスを見つけ、攻撃する細胞のこと。分かりやすく言うと、体の安全を守る「見回り隊」です。ナチュラルキラー細胞が活性化することで、病気になりにくい状態が期待できると言われています。

(参考:国立研究開発法人森林研究・整備機構『森林浴習慣は労働者のストレス対処力を高める可能性がある』)
(参考:国立研究開発法人森林研究・整備機構『特集 森の香りを科学する』

森林浴で癒し効果を得られる理由

ではなぜ、森林浴をすると癒しや免疫力アップなどの効果が期待できるのでしょうか。その理由の1つに「フィトンチッド」という物質が挙げられます。

フィトンチッドとは樹木の幹や葉などから発散される揮発性の芳香物質、つまり「木の香り」のことです。1930年頃にロシアの生物学者、ボリス・P・トーキン氏が発見したもので、「植物成分における抗菌作用」のことを指した造語だといいます。フィットンチッドは、抗菌、防虫、消臭などの働きに加え、リラックス作用も持ちあわせた物質であると言われています。森の中に入ると多くの人が清々しさを感じるのは、フィトンチッドで満たされた森の新鮮な空気に包まれているから、と言えるのではないでしょうか。

(参考:農林水産省『フィトンチッドについておしえてください。』
(参考:国立研究開発法人森林研究・整備機構『特集 森の香りを科学する』

森林浴のやり方・楽しみ方5選

心身ともに私たちを癒してくれる森林浴ですが、どのような方法で行えばよいのでしょうか。厳密なルールがあるわけではありませんが、楽しみ方をいくつかご紹介します。

1.散歩をする

まず、手軽にできるのが散歩です。ゆっくりと歩き、時々立ち止まって深呼吸してみてはいかがでしょうか。木の香りを感じ、太陽の光を浴び、風景を眺め、風の音に耳をすませば、全身で森林浴を楽しめます。ひと休みする際は、自然の中で目を閉じてみてください。いつも以上に五感が研ぎ澄まされ、森の恵みを感じられることでしょう。

散歩
image by Einar Storsul on Unsplash

2.動植物を観察する

森には樹木や草花、キノコといった植物や、さまざまな動物が生息しているので、そういった動植物を観察するのもおすすめです。植物は、季節によって咲く花や熟する実の種類が異なり、葉の様子もさまざま。その時ならではの森の表情を楽しめるでしょう。街中では見られない動物も多く、バードウオッチングや昆虫観察も人気です。

3.風景をスケッチする

森林の風景を心に留めるだけでなく、実際にスケッチしてみてはいかがでしょうか。小さなスケッチブックと鉛筆や色鉛筆を持っていけば、気軽に描くことができます。森の中で自分が見た風景を心に感じるままに筆を動かせば、それだけで充実した気分を味わえることでしょう。

4.森の清掃をする

ゴミ拾いをするなどの清掃活動も森林浴のひとつです。その場を少しずつきれいにしていくことは、充実感につながります。森の清掃は一人でもできますが、ボランティア活動に申し込むのもひとつの方法です。仲間と行えば、清掃が交流の場となり、コミニュケーションも図れるので、さらに充実感が増すことでしょう。

5.スポーツを楽しむ

積極的に身体を動かすのも良いですね。ウォーキングやヨガ、フリスビーなど軽めの運動がおすすめです。新鮮な空気の中で身体を動かせば、いつもとは違うリラックス効果が得られそう。ただし、体力を消耗するような激しいスポーツは、森林浴が求める効果を望むことが難しいので、気軽にできるスポーツを選びましょう。

森林浴をする場所の選び方

森林浴は、森の中に行けばできますが、森といってもさまざまな環境があります。森林浴におすすめの森とは、以下のような場所が挙げられます。

  • 騒音がなく静か
  • 排気ガスや汚水で環境が悪化してなく全体がきれい
  • 木漏れ日があり明るい
  • 自分がその場所にいて、安心できる

自分の感覚に頼る以外にも、セラピーロード森林セラピー基地を選ぶのもおすすめです。
セラピーロードとは、さまざまな生理・心理実験の結果、癒しの効果が実証され、森林セラピーに適していると認定された道のことです。森で過ごすことを重要視し、広場やベンチ、トイレ、休憩施設などにも配慮しているので、ゆっくりと森での時間を楽しめます。

森林セラピー基地とは、セラピーロードが2本以上あり、健康増進やリラックスすることを目的とした包括的なプログラムを提供している地域のことを指します。滞在・宿泊施設も認定の条件となっています。

セラピーロードや森林セラピー基地は、森林セラピー活動を支援するNPO法人「森林セラピーソサエティ」によって認定された場所です。現在、認定を受けたスポットは北海道から沖縄まで全国各地に60カ所以上あります。

【関東・関西など】おすすめ森林浴スポット6選

ここでは、先に紹介したセラピーロード・森林セラピー基地の中からおすすめの6スポットをご紹介します。

(参考:特定非営利活動法人森林セラピーソサエティ

【東京都奥多摩町】奥多摩森林セラピー

町内全域が秩父多摩甲斐国立公園に含まれ、広い森林と多くの渓谷に恵まれた自然豊かな奥多摩町にあります。セラピーロードは全5コースあり、そのうちの2コースはバリアフリーロードです。全国初のセラピー専用コースとして設計された「香りの道 登計トレイル」をはじめ、湖畔沿いのフラットなコース、渓谷沿いのコースなどバリエーションに富んだコースが揃っているのも魅力。距離も初心者でも楽しめる1.3kmから本格的な12kmのものまであります。

https://www.okutama-therapy.com/

【神奈川県厚木市】七沢森林公園

厚木市の市街地から8kmほど、丹沢大山国定公園の東山麓に位置し、県立丹沢大山自然公園に含まれる奥行きのある自然の中にあります。広さ約1,500万平方メートルの基地には、3本のセラピーロードがあり、ハイキングコースもあります。また基地の周辺には七沢温泉、広沢寺温泉、かぶと湯温泉などを含む東丹沢七沢温泉郷や飯山温泉があるので、温泉&森林セラピーをセットで楽しむこともできます。

http://www.kanagawa-park.or.jp/nanasawa/index.html

【埼玉県北本市】きたもと森林セラピー

埼玉県初の森林セラピーフィールドです。東京ドーム7個分の敷地内に多種多様な動植物が生息する北本自然観察公園内があり、その中に2本のセラピーロードがあります。北本自然観察公園内にはビジターセンターがあり、自然学習指導員が常駐しているので、初心者でも安心です。拠点施設であるサンアメニティ北本キャンプフィールドでは、キャンプやBBQも楽しむことができます。

http://kitamoto-forest-therapy.com/

【長野県佐久市】癒しの森~healing~

群馬県と接する長野県の東の玄関口で、浅間山や八ヶ岳連峰などを望む佐久市にあります。森林セラピーの基地は市の北東部にある平尾の森と、南西部にある春日の森の2か所に分かれています。上信越白動車道佐久PAと接続するスマートICを出るとすぐの場所に位置する平尾の森には3本のロードが、春日の森には4本のロードがあります。毎年、5月から10月にかけて、バードウオッチングやお弁当と珈琲を楽しむツアー、昆虫講座など森林セラピーとコラボレーションした催しを行っています。

http://www.city.saku.nagano.jp/kenko/kenkozoshin/iyasinomori/index.html

【滋賀県高島市】びわこ水源の森 たかしま

琵琶湖の北西に広がる3つのセラピー基地・施設で構成され、3本のロードがあります。第1の基地である朽木森林公園・くつきの森には、びわ湖に流れ込む安曇川の支流にあたる麻生川のそのまた支流をたどる周回コースがあり、1周約3.8kmの距離で起伏が少なく歩きやすいコースです。第2の基地・家族旅行村ビラデイスト今津は、標高550mの山頂にコースを備えおり、びわ湖を望むことができます。第3の基地・マキノ高原は、落差13mの調子が滝まで周遊するコースがあります。

https://shinrin-therapy-takashimacity.com/

【福岡県八女市】くつろぎの森グリーンピア八女

矢部川が中央部を貫流し、全国でも有名な八女茶の生産地である福岡県南部の八女市にあります。ロードは3本あり、森林セラピーの拠点にもなっているくつろぎの森グリーンピア八女を中心に設定されています。標高約400mの丘陵地にあるコースはそれぞれ1.7kmから2.2kmほどあり、各コースを組み合わせることで健脚向きのロングコースの設定も可能です。

https://www.city.yame.fukuoka.jp/soshiki/6/k1/2/1455882130752.html

森林浴で心と身体を癒そう

森林浴について、その意味や効果、実際に森林浴が楽しめる場所などを紹介しました。森林浴は、誰でも手軽に行うことができます。関東や関西など全国各地の森林セラピー基地に出掛けるのももちろん良いですし、それが難しければ、身近な緑あふれる場所に足を運ぶのも良いでしょう。森林の中に身を委ね、フィトンチッドなどがもたらす効果で、ぜひあなたもリフレッシュしませんか。