日本初『エシカル白書2022-2023』出版記念イベントを開催。ココリコ田中直樹氏、気候変動の専門家たちが登壇し、対談とパネルディスカッションを実施

日本初『エシカル白書2022-2023』出版記念イベントを開催。ココリコ田中直樹氏、気候変動の専門家たちが登壇し、対談とパネルディスカッションを実施

一般社団法人エシカル協会は2022年6月8日、同年6月7日に、『エシカル白書2022-2023』(出版社:山川出版社 編集:エシカル協会)の出版記念イベントを開催したと報告しました。エシカルとは、「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」のこと。同イベントの開催にあたり、ジャーナリスト国谷裕子氏、衆議院議員小泉進次郎氏より『エシカル白書2022-2023』発刊への祝辞とエシカル協会への激励メッセージが届いたということです。

第1部:「エシカルな社会を創る」をテーマに対談

『エシカル白書2022-2023』は、幅広い読者のニーズに応えることを目指しまとめた日本初の「エシカル白書」です。本書の前半では、客観的に情報を整理する白書として、サステナビリティが必要とされるようになった「社会的背景」の解説や、国際機関発行のSDGsに係る統計データなどの読み解き、エシカル消費についての認識・意向がわかる調査など、幅広い知見を提供。後半にかけては、エシカルを取り巻く日本国内外の動向についてまとめ、海外の先進事例の紹介やサステナビリティ関連の著名な識者の論考を通じ、日本のエシカルな取り組みの未来に対する示唆の提供を試みました。

田中直樹氏と末吉里花氏の対談の様子

同書の出版記念イベント第1部では、ココリコ田中直樹氏と、エシカル協会代表理事の末吉里花氏が「エシカルな社会を創る」をテーマに対談。末吉氏は、エシカルについて「活動をはじめた頃に比べるとだいぶ認知度が広がってきたが、正直やっとスタート地点に立ったという気持ち。『エシカル白書2022-2023』は”はじめの一歩”だと思っている」と話しました。一方、田中氏は「最近は環境について子供たちからの意見を聞くことが多くなり、子供たちも意識をしていると感じる。自身の”はじめの一歩”として、子供たちと一緒に何かアクションを起こしたい」とコメントしました。

また、危機感を持ってもらうことが難しいという課題がある中、コミュニケーションの工夫例として、田中氏は「誰が何に興味を持つか分からないので、極端な例え話をしたり、いかにして自分に関係があると感じてもらえるかを意識して話すようにしている。そして、自分の行動が人の喜びや変化に繋がると感じられることが大事だと思う」と発言しました。

最後に「エシカルな社会を創るために、興味のあることから一緒にやっていきましょう!」と締めくくり、対談を終えました。

第2部:執筆者によるパネルディスカッションを実施

出版記念イベントの第2部では、執筆者によるパネルディスカッションが実施されました。パネリストに迎えられたのは、江守正多氏、岡田千尋氏、斎藤幸平氏。ファシリテーターは、執筆者でもあるエシカル協会理事の大久保明日奈氏が務めました。

江守氏は、気候変動の現状と世界の動き、岡田氏は、アニマルウェルフェアと気候変動の関連性、斎藤氏は、著書『人新世の「資本論」』や『エシカル白書2022-2023』の中でも述べられている「脱成長」の必要性について、気候変動やアニマルウェルフェアと絡めて話しました。

また、それぞれの専門分野の視点からの討論も。今の社会の在り方が抱える課題とそれに対する向き合い方についてなどが取り上げられました。岡田氏は「日本は新しい物を作ることには積極的だが、悪いものをなくしていくことには消極的。社会のシステムを変えるために、身近な人に伝えることから始め、その次に企業や政治家に声を届けることができれば、はじめの一歩がより効果的になると思う」と発言しました。

パネルディスカッションの様子

エシカルな社会の実現に向けて生活者は何ができるのかという点については、江守氏は「今まで環境問題は無視されてきたが、市民が動くことで政治も動く時代になってきたと感じる。今、環境問題に取り組むのはやりがいがあると思う。常識は変わっていくので、少しでも多くの人に興味を持ってもらいたい」、斎藤氏は「今までの価値観や規範を考え直し、新しい声に耳を傾け、そこから生まれる気づきや対話を大切にすること。一緒に社会を変える仲間を見つけることから始めてみては」とコメントしました。

「エシカルな社会を創る」にはどうしたら良いのか、さまざまな視点から迫った本イベント。何か一つの課題に取り組んだら終わりではなく、経済、環境、社会など様々な観点から物事を捉えることの重要性を説き、エシカルの本質に迫るディスカッションが展開されました。