ベストな薪の長さとは?一般的なサイズや長さを考えるポイント
キャンプやアウトドア人気の高まりとともに、ホームセンターなどで市販される薪が増えています。焚き火や薪ストーブなどで使う薪を用意する場合、樹種や量とともにどのくらいの長さがよいのか考えることもあるのではないでしょうか。そこで今回は、一般的な市販品の薪の長さや、薪割りの際に長さを考えるポイントなどをお伝えします。薪を準備する際にお役立てください。
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薪の長さに規格はある?ホームセンターなど市販の薪のサイズは?
キャンプなどのアウトドアシーンや自宅で薪ストーブを使うなどで薪を用意する際は、どのくらいの長さを選ぶとよいのでしょうか。日本では、販売する薪に規格が定められていません。そのため、長さや直径などのサイズはそれぞれのようです。ただ、一般的には30cm~40cmのものが使い勝手がよく、比較的多く販売されています。一方、50cm以上の長さの薪は利用できるシーンが限られるため、一部の専門店でしか手に入らないと考えたほうがよいでしょう。
薪の長さを決める4つのポイント
自然からの恵みである薪は、サイズが同じではないのが醍醐味だという場合もありますが、長さが揃っていると持ち運びに便利で、並べたり積んだりしたときの見た目も美しくなります。
では、キャンプや自宅の薪ストーブ等で使う薪は、どのくらいの長さのものを用意したらよいのでしょうか。薪の長さを決める際のポイントは、主に以下の4点です。
・薪ストーブや焚き火台のサイズに合わせる
・普段薪を扱う人に合わせる
・薪棚のサイズを確認しておく
・薪割り機に合った長さに切る
それぞれ、詳しくみていきましょう。
長さを決めるポイント1:薪ストーブや焚き火台のサイズに合わせる
最も重要なのは、焚き火台や薪ストーブなど、使用する道具に合った長さにすることです。
小型の薪ストーブでは30cm~35cm程度、中型や大型の薪ストーブでは35cm~45cm程度が目安です。薪ストーブの場合、炉のサイズに対してギリギリの長さで用意すると、ガラスに接触して劣化の原因となるほか、薪同士がぶつかりストーブに収まらないこともあります。それぞれの製品で、炉のサイズに対して5~10cm程度のゆとりをもって用意するとよいでしょう。
焚き火に使う場合は焚き火台のサイズから選びましょう。焚き火台は、ファミリーなどで使う大人数用のものからソロキャンプ用のものまでさまざまあり、それぞれサイズも異なります。一般的には、大きなサイズでは30~40cm以内の薪が、ソロ用では一回り短めの25~30cm程度の薪が収まりがよいでしょう。
焚き火台の直径より長すぎる薪は、焚き火中に火の付いた状態でこぼれ落ちるといったトラブルも想定されます。薪ストーブと同様に、焚き火台の直径に対して5~10cm程度のゆとりをもつのがおすすめです。
長さを決めるポイント2:普段薪を扱う人に合わせる
薪の長さは扱う人に合わせて選択すると、取り扱いがラクで楽しめるでしょう。長い薪ほど重みもあるため、扱いづらくなります。重すぎることが原因で「扱うのが面倒」とならないよう、注意しましょう。
長さを決めるポイント3:薪棚のサイズを確認しておく
薪棚のサイズも、薪の長さを考えるポイントのひとつです。
薪ストーブユーザーは、一度にある程度の薪を用意することから、自宅に薪棚(ラック)を用意していることが多いでしょう。市販の薪棚のサイズは、薪の直径が35cm程度あることを想定して作られた物が多いようです。そのため、35cm~45cm程度を目安に長さを選ぶと薪棚に上手に積むことができます。30cm以下と短すぎると薪棚から落ちてしまうなど、うまく積めないこともあるので注意が必要です。
また、薪の長さを揃えておかないと、積んだときにバランスが悪く崩れやすくなるほか、薪棚の容量いっぱいに積むことができません。薪棚のサイズも踏まえつつ、長さを選びましょう。
長さを決めるポイント4:薪割り機に合った長さに切る
自宅で薪割り機を使う場合、薪割り機に合った長さで玉切りを行うこともポイントです。薪割り機を使って薪を作る場合、まずは原木を玉切りにします。その際、玉切りの長さが長すぎると、薪割り機に入らず、使うことができません。玉切り作業をする前に、薪割り機の対応サイズを確認しておきましょう。
「長すぎる薪」を自分で切るためのギアは?
キャンプなどのアウトドアシーンで、「用意した薪が長すぎて使いづらい」という経験がある方もいるのではないでしょうか。初心者でも安全に薪を切れる道具としておすすめなのは、ノコギリです。選ぶ際は、目の細かさや重量、グリップのしやすさなどをポイントにするとよいでしょう。なお、刃は粗めが切りやすくおすすめです。折りたたみ式の小型のノコギリも販売されていますので、ひとつ用意しておくと何かと便利でしょう。
また、太い薪を細くしたいときは、手斧(ハンドアックス)やナイフがおすすめです。それぞれさまざまな種類が販売されていますので、選ぶ楽しみも含めてお気に入りをみつけてみてはいかがでしょうか。
薪を切るときに、長さを揃える工夫
玉切りから手作業で薪づくりを行う場合、長さを揃えるにはどのような方法があるのでしょうか。
ガイドを用意する
あらかじめ切りたい長さでカットされた薪や板を用意して、玉切りの際のガイドにするという方法があります。原木の端にガイドとなる薪などを置き、その長さに揃えてチェーンソーで切っていきましょう。
チョークで印を付ける
さらに正確に長さを統一したいときは、チョークで目印をつけてから切るという方法もおすすめです。原木を同じ長さで等分したいときなどに利用すると、全ての長さを揃えることができます。
焚き火や薪ストーブを楽しむための薪の種類・特徴
長さもさることながら、焚き火や薪ストーブ用の薪はどのように選ぶとよいのでしょうか。主な薪の種類や選びたいシーンをみていきましょう。
広葉樹(ナラ・クヌギ・サクラ・カシなど)
薪の代名詞とも言えるのが、ナラ・クヌギ・カシなどの広葉樹です。針葉樹と比べてゆっくりと成長する広葉樹は、密度が濃く硬いため火持ちがよいという特徴があります。
一方で、しっかりと燃焼させるにはある程度の時間がかかるため、焚付けには向きません。ある程度炉内が温まったタイミングや焚き火の炎が安定してからくべると、長く楽しむことができます。なお、広葉樹の薪は、針葉樹に比べて数割高く取引されるのが一般的です。
針葉樹(マツ・ヒノキ・スギなど)
カラマツやアカマツなどのマツ科の樹木や、ヒノキ、スギなどの針葉樹も薪としての地位を確立しています。針葉樹の最大の特徴は、火付きの良さと火力の強さです。冬の荒天候の日などは、点火に時間がかかるという場合も多いでしょう。針葉樹の薪は、焚き付け用にするなど炉の温度を上げるときにも活躍します。
針葉樹は樹脂が多いことから、ストーブを痛めてしまうとして利用に慎重なユーザーもいるでしょう。しかし、しっかりと乾燥させた針葉樹の薪は、ススや煙の量も広葉樹と大差ないことがわかっています。針葉樹の薪は広葉樹に比べて安価で手に入るため、コストパフォーマンスよく焚き火や薪ストーブを楽しむことができるでしょう。
針葉樹と広葉樹の特徴を踏まえてバランスよく使うことで、焚き火や薪ストーブがよりスムーズに楽しめます。
薪の主な購入先
近年、ホームセンターやキャンプ場、通販サイトでの薪の取り扱いが増えています。それぞれの特徴などをご紹介します。
ホームセンター
キャンプなどで利用する薪を「少量だけその都度用意したい」というニーズに合っているのが、ホームセンターの薪です。多くのホームセンターでは、一束や一箱で700円~1,000円程度の薪を取り扱っています。
ホームセンターで購入できる薪は、以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】ホームセンター販売の薪。広葉樹や針葉樹などの選び方、値段以外の注意点は?
キャンプ場や道の駅など
昔に比べて、薪を販売しているキャンプ場は増えています。現地調達できれば荷物が減り、使いたい分を購入できるのもメリットです。薪の種類の豊富さを売りにしているキャンプ場も多くあるため、事前に確認してみてはいかがでしょうか。
また、道の駅では一般的な薪に比べて格安で薪が販売されていることもあります。ただし、道の駅で販売されている薪はいつもあるとは限りません。そのため、見つけたタイミングが購入のタイミングかもしれません。道の駅に行く際は、チェックしてみてはいかがでしょうか。
薪の通販
昨今の焚き火需要の高まりから、オンラインで薪が気軽に買えるECサイトも増えています。ECサイトは、自宅まで配送してくれるため、重い薪を運ぶ手間も省けます。少量から大容量まで、シーンやニーズに合わせて利用できるのがメリットです。
長野県で木材加工業を営む齋藤木材工業株式会社では、信州産カラマツ100%の薪を販売するECサイト「森の中ストア」を運営しています。
森の中ストアで販売されている薪は、長さが25cmと35cmから選択可能で、さまざまなギアやシーンで便利に利用できます。
森の中ストアの薪の特長
●脱脂乾燥を6日間実施して、安定的に含水率10%前後をキープ
●カラマツの外側の高密度部分を利用しているため、一般的な針葉樹薪よりも火持ちがよい
●きちんと乾燥させているため、着火が容易で火付けに失敗しにくい
●専用の施設で乾燥させているため、自然乾燥薪と違って保管時に虫が出ない
●建材加工技術を応用しているため、松特有のヤニがつきにくい
また、森の中ストアが取り扱う薪は、建築用の材木の製造過程で、建材として利用できずに通常は廃棄されてしまう部分を使って作られた、環境にも配慮された薪です。森の中ストアの薪を、この機会に是非お試しください。
薪の長さはギアに合わせて。自分なりの工夫で楽しもう
日本では薪の長さに規格がなく、さまざまな長さの薪が販売されています。薪の長さを決めるには、ストーブや焚き火台のサイズなど、今回ご紹介した選び方を踏まえておくことがポイントです。扱う人に配慮して選ぶことも薪を扱う上でのコツでしょう。
さまざまに工夫をこらして失敗を重ねながらベストな薪の長さを探るのも、自然の産物である薪を楽しむひとつのポイントではないでしょうか。