薪と炭の違いとは?特徴や種類などキャンプで使い分けるための基礎知識

薪と炭の違いとは?特徴や種類などキャンプで使い分けるための基礎知識

キャンプで使う「薪」と「炭」の違いがわからず、「どちらを買えばよいのか」「両方用意する必要はあるのか」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。簡単に説明すると、薪は木をそのまま切り出したもので、主に焚き火に使います。一方、炭は木を蒸し焼きにして炭化させたもので、主に調理に使います。この記事では、用途も含めた「炭と薪の特徴の違い」と、それぞれの火のつけ方、種類などについてくわしく説明します。

「薪」と「炭」の違い|用途によって使い分ける

キャンプなどのアウトドア時に直火の熱源として使う「薪」と「炭」。簡単に説明すると、双方の違いは次の通りです。

【薪】木をそのまま切り出したもの
【炭(木炭)】木を長時間蒸し焼きにして炭化したもの

薪と炭は見た目の違いだけでなく、それぞれ違う性質があります。用途によって使い分ける必要があることを覚えておきましょう。

薪の特徴と用途:焚き火向け

薪を使った焚き火
image by gabiontheroad on unsplash

薪は、主に焚き火での暖取りに使用されます。焚きつけた後の火力が一定でないため、調理にはあまり適しません。調理用の火として使う場合は、火があがってない「熾火(おきび)」の状態でするとよいでしょう。

炭の特徴と用途:BBQ向け

炭を使ったBBQ
image by kowalikuson unsplash

炭は、主にBBQなどの調理に使用します。一度火がつくと火力が安定しやすく、炭の量で火力調整が可能です。炭火には赤外線効果もあるため、表面が焼けると同時に中まで素早く火が通り、食材が美味しく仕上がるメリットもあります。

「薪」の着火方法や必要量

薪と炭とでは、着火方法や必要量も異なります。まずは、焚き火に使う薪の着火方法や必要量を紹介します。

薪の着火の仕方

1.針葉樹の細めの薪(割り箸の2倍程度)と広葉樹の中~太めの薪(幅7~10cm程度)を用意します
2.焚き火台に着火剤や火種となる松ぼっくり等を置きます
3.着火剤の上に小枝や細めの薪を起き、そこに立てかけるように中くらいの太さの薪を置きます
4.着火剤に火をつけ、細い薪に着火させます
5.焚きついたら、徐々に太い薪をくべて引火させていきます

後ほどくわしく説明しますが、「針葉樹の薪」と「広葉樹の薪」とで特徴が異なるため、両方用意しておくとベストです。

焚き付けには針葉樹、火が安定したら広葉樹の薪を使います。最初に薪を組むときは、着火剤の近くほど細い薪を置き、空気の通り道を塞がないよう意識して組みましょう。着火した後は、うちわなどで煽がずに火が強くなるのを待ちます。

必要な薪の目安量

針葉樹の薪1束(3kg前後)と広葉樹の薪1束(7kg前後)を購入した場合、およそ3〜4時間の焚き火が楽しめます。ただし、季節や風の強さ、薪のくべ方などで変わります。例として、春や秋のキャンプでは2束、冬のキャンプでは3~4束程度用意しておくとよいでしょう。

「炭」の着火方法や必要量

次に、BBQに使う炭の着火方法と必要量を紹介します。

炭の着火の仕方

1.BBQコンロ等の目皿に着火剤を置きます
2.空気が通るよう、煙突状または井桁状(いげたじょう)に炭を組みます
3.着火剤が燃え尽き、炭に火が回るまでそっとしておきます
4.火がついた炭の上に、炭を積んで足していきます

着火剤に火がつくと、周りの空気の温度が上がるために上昇気流が起こり、空気の流れが上に向かいます。そのため、うちわで煽いで火力を上げたいときは、下から上に向かって風が通るように煽ぐと効果的です。

必要な炭の目安量

4~5人のグループで3時間程度BBQをする場合、炭は2.5~3kg程度用意しておけば十分足ります。ただし、天候や食材の量によって異なるので、目安よりも多めに用意すると安心です。

薪や炭の種類。選ぶときのポイントは?

薪と炭の種類も把握しておくと、より効率的に焚き火や料理が楽しめるでしょう。ここでは、薪と炭の詳細な種類について紹介します。

薪の種類

先述したように、薪は大きく「針葉樹」と「広葉樹」に分けられます。それぞれの特徴を活かすことで、長く焚き火が楽しめます。

針葉樹の薪|焚き付けにおすすめ

針葉樹は、密度が低く油分が多いため、燃えやすい特徴があります。そのため、焚き火の際は焚き付けとして使うと効率的です。樹種の例として、ヒノキ、マツ、スギなどが挙げられます。

長野県で木材加工業を営む齋藤木材工業株式会社は、自社工場で生産した薪を販売するECサイト「森の中ストア」を運営しています。そこで販売しているのが、着火が容易で火力が強いのが特徴の「信州産カラマツの薪」。十分に乾燥した薪と着火剤が同梱されているので、届いたらそのままキャンプなどへ持っていき、焚き火を楽しむことができます。

是非この機会にお試しください。

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広葉樹の薪|火持ちさせたいときにおすすめ

広葉樹の薪は、密度が高く油分が少ないため、燃えにくい特徴があります。そのため、火を長持ちさせたいときに役立ちます。樹種の例として、カシ、クヌギ、ナラなどが挙げられます。

薪の種類についてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【関連記事】焚き火に使う薪の種類はどれがいい?特徴の一覧や見分け方、購入先を紹介

炭の種類

BBQなどの調理に使う炭(木炭)は、黒炭・白炭・オガ炭が代表的です。それぞれ、特徴が異なります。

黒炭|初心者でも扱いやすい

炭質が柔らかい黒炭は、ナラやクヌギなどの木材を材料にしている国内産と、マングローブが使われている外国産があります。国内産の黒炭は、火がつきやすく煙が少ないのでBBQにおすすめ。外国産は燃焼時間が短く煙が多いものの、初心者にも扱いやすくホームセンターなどで手軽に入手できます。

白炭|燃焼時間が長い

白炭は、炭質が硬く着火しにくい反面、着火すれば均一で安定した火力を長時間得られるのが特徴です。表面に灰がついていて、白っぽいことから白炭と呼ばれています。代表的なのは高級料亭でも使用されている「備長炭」。黒炭に比べると着火するのに少し手間がかかることがあるため、炭の扱いに慣れている人に向いています。

オガ炭|備長炭に似た性質を持つ

オガ炭は、おがくずを炭にした後に、粉砕して固めて加工した炭です。形状は四角形や六角形がほとんどで、“ちくわ”のように中央に穴が空いています。やや着火しにくいですが、火が長持ちしやすく、頻繁な炭の継ぎ足しが不要なのが特徴です。比較的リーズナブルながら備長炭に似た性質を持ち、飲食店では焼肉や焼き鳥、うなぎの蒲焼きなどに用いられています。

参考:林野庁「木炭の種類

薪と炭の違いを知って、アウトドアでのBBQや焚き火を楽しもう

薪は焚き火、炭はBBQに向いているため、キャンプに行くときは両方用意し、用途に合わせて使い分けるのがポイントです。種類によって特徴もさまざまで、初心者の場合はわかりにくいことも多いかもしれませんが、徐々に感覚で調整できるようになるでしょう。それぞれを適切に使い分けて、アウトドアを楽しんでくださいね。