焚き火の癒やし効果。炎や音による焚き火の7つの効果を紹介
炎や音に癒やし効果があると言われている、焚き火。「焚き火には、どのような効果があるのか」「焚き火動画を見るだけでも、効果があるのか」など興味がある方もいるでしょう。今回は、焚き火によって得られる7つの効果や焚き火動画の効果を紹介します。焚き火をする際のポイントについても紹介していますので、併せてご参考にしてください。
Contents
焚き火人気と関係が深い、焚き火の癒やし効果
アウトドアブームの影響を受け、近年、焚き火の人気が高まっています。焚き火人気を下支えしていると言われているのが、焚き火の癒やし効果です。最初は、「流行っているから、焚き火をしてみよう」と思ったとしても、実際に焚き火をすることで癒やされ、「癒やされたいから、また焚き火をしよう」とリピーターになる方も少なくないでしょう。
焚き火の癒やし効果を示す論文・研究結果
さまざまな論文・研究結果において、焚き火の癒やし効果が証明されています。焚き火の癒やし効果に関連した研究結果を見ていきましょう。
「1/fゆらぎ」に関する研究結果
「1/fゆらぎ」とは、簡単に説明すると、光や音、振動などに含まれる特別なリズムのこと。「f」は「振動数」「周波数」を意味する「frequency」の頭文字を取ったもので、「1/f」は「周波数に反比例している」ことを指します。物理学者で東京工業大学名誉教授の武者利光氏が、最初に提唱しました。
「1/fゆらぎ」に関するさまざまな研究が行われた結果、「1/fゆらぎ」がある環境に身を置くと、人間の脳からα波が出され、脳がリラックス状態になり、本能的に癒やされることが証明されました。「1/fゆらぎ」は、木もれ日や水の流れる音、波の音、炎のゆらめき、風に揺れる木々、雲のながれ、雨の音、歌手の歌声などに現れるとされています。
この「1/fゆらぎ」は、焚き火にもあると言われているため、焚き火には「リラックス効果」や「癒やし効果」が期待できるのです。
エネルギー・文化研究所(CEL)の研究結果
大阪ガスのエネルギー・文化研究所(CEL)は、以下の仮説に基づき、検証を行いました。
CELの仮説
(略) 「火にはなんらかの心理的効果があり、コミュニケーションを促進する効用があるのではないだろうか?」という仮説を持つに至った。環境心理学の分野では、「自然の風景には癒しの効果があり、見ていると集中力が回復する」ことがよく知られており、「火にも同様の効果があるのでは」と考えたのである。 そこで、部屋に暖炉があって火が見える条件と暖炉がない条件を設定し、それぞれの条件において初対面の二人が会話をする実験をすることで、火にコミュニケーションの促進効果があるかどうかの検証を行った。 (略)
検証の結果、「暖炉があると部屋の雰囲気がよくなって会話がしやすくなるため、相手との距離が近くなるとともにうなずく回数が増えて、会話が途切れなくなり、その結果、コミュニケーションが密になって、相手により親近感を感じるようになる」と考えられることが分かったそうです。
(参考:CEL「火のある暮らしの効用研究 暖炉があると会話相手との親密度が増すか?」※抜粋版)
(参考:CEL「火のある暮らしの効用研究 暖炉があると会話相手との親密度が増すか?」※全文)
アメリカの人類学者Polly W. Wiessner氏の研究結果
アメリカの人類学者であるPolly W. Wiessner氏は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)において、以下の内容の研究報告を発表しています。
Polly W. Wiessner氏がPNASに投稿した研究報告
(略) ナミビア・ボツワナのジュホアン族に関する研究によると、夜のたき火の明かりには人々の想像力をかきたてる効果があり、また、たき火があることで夜の活動時間が延び、自給自足の生活を営むための時間以外の社会的な営む時間が確保されるため、物語を話しやすくなる。 火明かりのもとで伝えられた物語は、聴衆に語り手と同じ情緒的な波長を与える効果もある。人類の祖先のコミュニティにおいても同様に、炎が人々の心を拡張させて社会的関係の充足に貢献したと考えており、想像力を介して精神的理論を引き起こし、コミュニティにおいて協力や信頼関係の形成に重要な役割を果たしていた (略)
(参考:PNAS「Embers of society: Firelight talk among the Ju/’hoansi Bushmen」)
焚き火によって得られる7つの効果
実際、焚き火をすることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。焚き火によって得られるとされている7つの効果を紹介します。
効果1.焚き火の音や炎により、精神的に安定する
自然の中での焚き火は、忙しい日々ではなかなか味わうことができない、「非日常的な体験」です。自然の中という「非日常的な環境」に身を置くことで、「心が開放される」「気持ちが落ち着く」といった感覚を味わったことがある方もいるでしょう。こうした効果は「転地効果」と呼ばれており、焚き火にもその効果が期待できるとされています。
また、焚き火の場合には、暗闇の中に灯る明かりや、炎のじんわりとした暖かさ、炎のゆらめき、薪のはぜる音なども感じることができます。焚き火の音や炎により、ただ自然の中で過ごした場合よりも、精神的に安定することができるでしょう。
効果2.五感が研ぎ澄まされる
焚き火には、五感を研ぎ澄ます効果もあるとされています。五感とは、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」の5つの感覚のことで、外界の状態を認識するときに必要なものです。忙しい日々の中、五感をフルに使う機会が滅多にない方もいるでしょう。しかし、焚き火をすることで、五感が一気に研ぎ澄まされると言われています。
例えば、以下のようなシーンで、五感を研ぎ澄ますことができるでしょう。
五感 | 具体例 | 五感が研ぎ澄まされる理由 |
視覚 | 焚き火の炎を見るとき⇒「炎は、こんな形になるんだ」と実感 | 絶えず形を変え、一度として同じ形にはならない焚き火の炎を見つめることで、視覚が研ぎ澄まされる。 |
聴覚 | 薪がはぜる音を聴くとき⇒「薪がはぜるときって、こんな音がするんだ」と実感 | 薪のはぜる音には独特の空気感があるため、その音に集中することで聴覚が研ぎ澄まされる。 |
嗅覚 | 焚き火の香りをかぐとき⇒「この薪は、こんな香りがするんだ」と実感 | 薪の種類によって焚き火の香りが異なるため、嗅覚が研ぎ澄まされる。 |
味覚 | 焚き火で作った料理を味わうとき⇒「この食材は、こんなにも美味しかったんだ」と実感 | いつもの野菜や肉を焚き火で調理し味わうことで、味覚が研ぎ澄まされる。 |
触覚 | 薪を拾ったり、薪をくべたりといった動作をするとき⇒「薪は、こんな質感なんだ」と実感 | 何気ない動作ではあるが、素手や軍手で薪に触れることで、触覚が研ぎ澄まされる。 |
効果3.自分自身とじっくり向き合える
焚き火をじっと見つめるうちに、だんだんと頭の中が空っぽになっていった経験がある方もいるでしょう。焚き火には、頭の中をリセットし、自分自身とじっくり向き合う「内省」を促す効果があるとされています。焚き火を眺めることで、「自分は、どうありたいのか」「今、本当に自分がしたいことは何か」「今の自分は何を求めているのか」など、自分自身について深く考えることができるでしょう。
効果4.子どもの頃を思い出し、童心に戻れる
焚き火には独特の香りや音がありますが、それらに懐かしさを覚え、「遠い昔の記憶」が呼び覚まされることもあると言われています。科学的な根拠こそないものの、「ずっと昔に、祖父母の家で入った五右衛門風呂を思い出した」「子どもの頃、家族みんなでキャンプしたときの記憶を思い出した」といった経験がある方もいるようです。焚き火を通じて、子どもの頃の体験を思い出すことにより、自然と童心に戻り、純粋で穏やかな気持ちになることができるでしょう。
効果5.集中とリラックスを、自然な形で一度に得られる
焚き火には、「集中」と「リラックス」を、自然な形で一度に得られる効果もあるとされています。例えば、「薪を組む」「薪に火をつける」といった作業では、自然と集中力が高まると考えられます。一方で、「焚き火をじっくり眺める」「焚き火を見ながら、温かいコーヒーを飲む」といった場面では、心の底からリラックスできるでしょう。
効果6.自然体でコミュニケーションできる
焚き火が始まると、その炎や音を感じようと、自然に人が集まってくるでしょう。焚き火をみんなで見つめることにより、自然な会話が生まれる効果が期待できるとされています。日常生活のように「相手の顔を見ながら」話すのではなく、「炎を見つめながら」話すため、たとえ相手との関係性が深くなくても、緊張することなく、自然体でコミュニケーションできるでしょう。
また、話したいことがないときは、無理して話さなくても構いません。みんなが焚き火に夢中なので、「自分から話す」「話を聴く」「無言でじっくり考える」など、自分の好きなように過ごすことができます。そのように過ごすことで、素の自分を出せたり、会話をしなくてもお互いの感覚を共有できたりするようになるでしょう。
効果7.チームの心理的安全性が高まる
チームメンバーで焚き火を囲むことにより、チームとしての心理的安全性が高まる効果も期待できるとされています。焚き火を前にして、素の自分を出したり、自然体で対話したりすることで、チームメンバー一人ひとりの個性を認め合えるようになるでしょう。互いに認め合う気持ちが醸成されることにより、「この場では、どんなことを言っても大丈夫なんだ」「このメンバーであれば、自分の本音を安心して出せるんだ」といった心理的安全性が高まっていくと考えられます。チームの心理的安全性が高まることにより、チームビルディングにも効果を発揮するでしょう。
焚き火動画には睡眠を促す効果がある
「焚き火には興味があるけれど、焚き火をする機会がない」という方におすすめなのが、焚き火動画です。焚き火動画を見て、炎のゆらめきや音を感じることにより、気持ちが落ち着くでしょう。また、焚き火動画の多くは、焚き火の炎のみを映しているため、目に優しい適度な明るさとなっています。こうした理由から、焚き火動画には、入眠を促す効果が期待できるそうです。さらに入眠効果を高めたい場合には、間接照明のみの薄暗い部屋で、焚き火動画を見るようにするとよいでしょう。
焚き火をする際のポイント
焚き火の効果について紹介してきましたが、実際に焚き火をして、その効果を早く実感したいという方も多いのではないでしょうか。焚き火をする際のポイントを、簡単に紹介します。
薪を使い分ける
薪の種類は、スギやマツなどを始めとする「針葉樹」と、カシやケヤキなどの「広葉樹」に分けられます。「針葉樹」の薪は、「火付きがよく、燃えやすい」のが特徴です。一方、「広葉樹」の薪には、「火持ちがよい」という特徴があります。焚き付けや火力を上げたい焚き火料理をする際には、「針葉樹」の薪がおすすめです。火が安定したときや火持ちさせたいときには、「広葉樹」の薪を使用するとよいでしょう。
【関連記事】針葉樹と広葉樹の薪の違いや見分け方。焚き火やストーブで上手に活用するには
焚き付けの方法を覚えておく
焚き付けの基本的な方法についても、覚えておきましょう。具体的には、「着火剤の上に木屑と焚き付け用薪、中太薪を組む」「火を付ける」「火が安定してきたら熾火(おきび)をつくる」「火の始末をする」という4つのステップがあります。
【関連記事】キャンプで焚き火や薪ストーブを楽しむには?薪の種類と選び方や焚き付けのコツなど
【関連記事】【初心者向け】焚き火のやり方をステップで紹介。準備するものや薪の選び方
【関連記事】焚き火はどう後始末する?後始末の基本や注意したいことを紹介
薪の量を考える
薪の量についても考えておくことが、重要です。薪の量は、種類や利用時間、利用する道具などによって適切な量が異なります。一泊のキャンプで焚き火をするのに必要な薪の量は「5~10kg」程度と言われているので、それを目安にどのくらいの薪を用意するかを考えるとよいでしょう。
【関連記事】キャンプで焚き火や薪ストーブを楽しむには?薪の種類と選び方や焚き付けのコツなど
薪の購入には、オンラインショップがおすすめ
焚き火をするためには、まずは薪を準備する必要があります。
薪は、ホームセンターやオンラインショップ、アウトドアショップ、キャンプ場などで購入できます。「キャンプ場で焚き火をするので、キャンプ場で薪を購入しよう」という方もいるかもしれませんが、タイミングによっては売り切れていることもあるでしょう。また、重たい薪を、ホームセンターやアウトドアショップから自宅まで運ぶのは大変です。そのため、焚き火で使う薪を事前に確保しておきたい場合には、自宅まで配送してくれるオンラインショップを利用すると楽でしょう。
【関連記事】薪はどこで買う?販売店一覧と安く手に入れる方法。薪の種類や特徴も解説
薪の購入でおすすめのオンラインショップのひとつが、信州産カラマツ100%の薪を販売するECサイト「森の中ストア」です。森の中ストアで販売されている薪は、長さが25cmと35cmから選択可能で、焚き火を始めとするさまざまなシーンで利用できます。
森の中ストアの薪の特長
森の中ストアの薪は、次のような特長があります。
●脱脂乾燥を6日間実施して、安定的に含水率10%前後をキープ
●カラマツの外側にある、高密度部分を利用しているため、一般的な針葉樹の薪よりも火持ちがよい
●きちんと乾燥させているため、着火が容易で火付けに失敗しにくい
●専用の施設で乾燥させているため、自然乾燥の薪と違って保管時に虫が出ない
●建材加工技術を応用しているため、松特有のヤニがつきにくい
また、森の中ストアが取り扱う薪は、建築用の材木の製造過程で、建材として利用できずに通常は廃棄されてしまう部分を使って作られた、環境にも配慮された薪です。森の中ストアの薪を、この機会に是非お試しください。
焚き火の効果を理解し、焚き火をより楽しもう
焚き火には、「音や炎により、精神的に安定する」「自分自身とじっくり向き合える」「集中とリラックスを、自然な形で一度に得られる」など、さまざまな効果が期待できるとされています。焚き火動画で炎のゆらめきや音を感じるだけでも、気持ちが落ち着き、睡眠が促されるでしょう。焚き火の効果を知っておくと、これまで以上に焚き火を楽しめるようになるのではないでしょうか。