針葉樹と広葉樹の違いとは?それぞれの種類や適した用途などを詳しく解説

針葉樹と広葉樹の違いとは?それぞれの種類や適した用途などを詳しく解説

木材を選ぶ際に、「針葉樹と広葉樹の違いって何だろう?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。この記事では「針葉樹」と「広葉樹」の違いについて、木材として使う際の観点から詳しく解説します。それぞれの特徴や適した用途などをご紹介しまていますので、建築などの材料選びや、焚き火の薪を購入する際の参考にしてみてください。

木は「針葉樹」と「広葉樹」に大別できる

木の種類を考えるときに、「針葉樹」と「広葉樹」の2つに分類することがあります。わかりやすいのは葉や樹形の違いですが、見た目で分類しているわけではなく、木の構造(細胞)の違いによるものです。それぞれの特徴として、以下のことが挙げられます。

針葉樹とは

針葉樹とは、針のように細長い葉を持ち、真っすぐ上へと伸びて生長する木です。庭木によく見られるマツや、建築材のスギ・ヒノキ、クリスマスツリーで知られるモミの木などがイメージしやすいでしょう。針葉樹はおよそ540種類あり、葉の形のみで分類しているわけではなく、中にはイチョウのように葉が平らに広がっている針葉樹もあります。

針葉樹はほとんどが常緑樹で、日本原産の樹種で落葉するのはカラマツのみのため、「常緑樹」と「落葉樹」に分けずに考えることもあります。材質が柔らかく、「軟木(やわき、なんぼく)」「ソフトウッド」と呼ばれることもあります。

代表的な木材:スギ、ヒノキ、マツ、ツガ、モミ、ヒバなど

広葉樹とは

広葉樹とは、一般的に葉・樹形が横に広がっている木のこと。種類は針葉樹よりも多く、数万種あるといわれています。年間を通して葉をつけている「常緑広葉樹」と、葉を落として季節を越す「落葉広葉樹」の2つに分けられ、日本の四季を感じられるサクラやカエデ(モミジ)は、代表的な落葉広葉樹です。

広葉樹は種類が多く、同じ広葉樹でも木によって性質が異なりますが、針葉樹よりも広葉樹の方が硬いとされています。特に材質が硬いものは「堅木・硬木(かたぎ)」「ハードウッド」と呼ぶ場合があります。

代表的な木材:ケヤキ、ナラ、キリ、ブナ、タモ、クスノキなど

【木材比較】針葉樹と広葉樹の違い

針葉樹・広葉樹の違いは、木目や硬さなど、木材の特長にも表れます。主な違いとして、次のようなことが挙げられます。

針葉樹広葉樹
年輪・木目年輪の濃淡がはっきりしており、木目が真っすぐ年輪がはっきりしないものもあり、木目(模様)が複雑
重さ・硬さ 軽い、柔らかい重い、硬い
主な用途構造材、造作材、おもちゃ、子ども用家具床、部屋の内装、家具、食器、野球のバット
価格広葉樹よりも安価針葉樹よりも高価

※木の種類は多いため、それぞれ例外もあります

年輪・木目の違い

木の構成(細胞)の違いが、年輪の違いとなって表れます。針葉樹は構造が単純で、水を吸い上げる細胞である「仮道管(かどうかん)」が整列して、濃淡のある年輪をつくります。そのため針葉樹は、木目がはっきりと出ます。

一方の広葉樹は、水分を通す細胞は「仮道管」だけでなく「道管」もあり、道管の種類も数パターンあります。木の構造が複雑なため年輪も変化に富んでおり、個性のある美しい木目になるものが多いのは広葉樹です。

重さ・硬さの違い

針葉樹は、材質が軽くて柔らかいといわれています。木の生長が早く、空気を多く含むためです。広葉樹は、生長に時間がかかり細胞の密度が高く、重い・硬い木になるものが多いです。

ただし広葉樹の種類は非常に多く、樹種による違いにも幅があります。代表例として挙げられるのは、世界一軽く柔らかい木である「バルサ」と、世界一堅い木として知られる「リグナムバイタ」で、どちらも広葉樹です。

用途の違い

木の堅さ・重さの違いが、加工のしやすさや、用途の違いにつながります。

針葉樹は軽くて柔らかいため、加工しやすいのが特徴です。生長が早く樹形が真っすぐで、反りやねじれなども発生しにくいことから、梁や柱など建築材としてよく使われます。柔らかい反面、傷がつきやすいことから、フローリングに使う際は注意が必要でしょう。

広葉樹は重くて硬いため、強度を求められる床材や、耐久性が不可欠な家具材として使われることが多いです。木目模様が美しく、内装の仕上げや食器など小物の材料としても好まれます。木が横に広がって生長するため大径木になり、一枚板に向いているのも広葉樹です。

木質繊維を板状に成型した「MDF(medium density fiberboard)」は、JIS(日本産業規格)では樹種を区別していませんが、木によって板の特性が異なります。針葉樹を主材料とするものは色が淡いため表面の塗装に影響しない一方、広葉樹を主材料とするものは耐水性に優れているとされています。ホームセンターなどで、「合板」「ベニヤ板」の商品名で販売されている板は、フタバガキ科広葉樹の総称である「ラワン」が使われているものが多いです。

価格の違い

一般的には、針葉樹の方が安価で、広葉樹の方が高価だといわれています。日本にあるほとんどの森林(人工林)はスギ・ヒノキの針葉樹林で、流通量が多いことから、針葉樹は価格が抑えられています。特に安価で加工しやすく、DIYや建材などさまざまなものに使われている「パイン材」は、マツ科の針葉樹を加工したものです。

一方の広葉樹は、針葉樹よりも生長が遅いため伐採できるものが少なく、手に入れるのが難しいため高額です。「世界三大銘木」と呼ばれるマホガニー・チーク・ウォールナットは、希少性の高い、高級木材として知られています。また、広葉樹は枝分かれが多く材質が硬いという点で、製材にかかる手間とコストが価格に反映されているとも考えられます。

ただし、木材は産地や希少性などが価格に影響を与えるため、一概に針葉樹・広葉樹というだけでは比較できません。例えば「○○杉」「○○桧」のような、産地を冠する針葉樹はブランド化しており、広葉樹よりも高額な場合があります。

針葉樹と広葉樹は薪の性能も違う

image by Sarah Brown on Unsplash

針葉樹と広葉樹は、薪の性能にも違いが表れます。薪の使い分けができるように、両方の薪を販売しているキャンプ場もあります。主な違いは、以下の表のとおりです。

針葉樹広葉樹
火付けのしやすさ 火が付きやすい火が付きにくい
割りやすさ割りやすい。ナイフで割る「バトニング」が可能割れにくい。硬いため手斧または斧が必要
燃焼時間短い長い
燃焼温度高い低い

この表からもわかるように、焚き火でも針葉樹と広葉樹を使い分けると、より効率よく燃やすことができます。火付けには針葉樹、火持ちさせるには広葉樹と覚えておきましょう。

長野県にある齋藤木材工業株式会社では、製材工程で発生する端材を「信州産カラマツ薪」に加工して、通信販売を行っています。集成材と同様の人工乾燥を行っているため、煙が少なく、着火が容易で、虫が出にくいのが特徴です。

アウトドアを安心して楽しむには、薪を事前に購入しておくことをおすすめします。薪を販売しているキャンプ場などでも、数量制限がある場合や、品切れで買えないことがあるためです。特に初めて行くキャンプ場のような、周辺情報をよく知らない場合は、現地で薪を探すのが時間のロスにつながる恐れもあるため、あらかじめ準備しておくと良いでしょう。

針葉樹と広葉樹の違いを知って使い分けよう

建築やDIYは、作業の途中で材料を変更するのが難しいため、最初の木材選びが大切です。用途に適した木材を使うことで、加工しやすい・長く使えるなどのメリットもあります。ものづくりや家づくりをするときは、針葉樹と広葉樹の違いを知って、適材適所で使い分けましょう。