カラマツ集成材ならではの魅力が詰まったサスティナブルなサウナ小屋「Vetää」。齋藤木材工業株式会社
長野県にある齋藤木材工業株式会社では、地元産のカラマツを使ったサスティナブルなサウナ小屋「Vetää」(ヴェター)を一貫製造しています。この記事では、カラマツならではの魅力と、集成材を活用して作ったサウナを通じた、森林循環へ貢献する取り組みについてご紹介します。サウナでととのいながら、長野県の豊かな森林を全身で感じてみてはいかがでしょうか。
Contents
いま、日本の山林は危機的状況にある
現在、国内には約1000万ヘクタールの人工林があり、森林資源はとても豊かな状況にあります。その一方で、人工林の中には管理放棄され、適切に手入れ(間伐や主伐)がされていないところも多くあります。伐採期を迎えている木が大量にあっても、林業従事者の数が足りていないことや森林資源が適切に使われていないことを背景として、日本の山林が危機的状況に陥っているのです。
そうした森林の課題を解決するためには、豊富な森林資源を国内の住宅や木工産業、製紙業などの市場に供給していくことが大切です。私たち消費者にも、持続的な森林循環を目指した、サスティナブルな製品を選んで買う・使う行動が求められています。
参考:林野庁『樹種別齢級別面積(令和4年3月31日現在)』
数ある樹種の一つ、カラマツとは。その特徴と魅力
齋藤木材工業株式会社では、「次の世代に緑の山を伝えていく」ことを理念に掲げ、長野県の豊富な資源でもあるカラマツの加工を行っています。数ある樹木の中で、カラマツにはどのような特性があるのでしょうか。木材としてのカラマツの魅力と合わせて、詳しくご紹介します。
カラマツの特性
カラマツは標高1000~2000mの地域に分布し、日本では主に北海道、岩手県、長野県などの寒冷地で積極的に植林されました。2022年時点で、全国の人工林のうち1割程度にあたる約96万ヘクタールをカラマツが占め、スギ、ヒノキに続いて3番目に多い樹種となっています。特に長野県は、造林面積の半分をカラマツが占めており、「信州カラマツ」のイメージが定着しているほど、材が豊富にあります。
カラマツは寒冷地系の針葉樹としては成長が速く、強度に優れているのが特徴。日本の代表的な建材であるスギ材よりも高い硬度を有しています。種類としてはマツ科に分類されますが、秋には黄金色に美しく紅葉し、落葉するため「落葉針葉樹」と呼ばれています。
木材としてのカラマツ
木材としてのカラマツは、建築用として多く用いられているスギ材よりも硬度が高く、粘りのある材質です。樹脂が多いため、耐水性や耐久性に優れ、建築材の中でも、土台や土木用材、杭木、枕木などに多く活用されています。また年輪や木目は赤みを帯びており、断面の美しさも特徴の一つ。
カラマツはねじれながら成長することから、木材にすると乾燥時に割れや狂いが生じやすいため、従来は主に杭木や枕木などに使われていました。しかし近年では、脱脂・乾燥技術の進歩によって木材としての活用例も増加。「曲がり・狂いが少ない」「割れにくい」「ヤニが出にくい」といった建築資材としての地位を得ています。
カラマツの有効活用により、齋藤木材工業株式会社が目指す森林循環
森林循環とは、「植える→育てる→使う→植える」という森林資源のサイクルを推進すること。先人たちが植えて育てた森林から木を収穫(伐採)し、建築用材などとして利用することによって、その収益を用いて次の森林を育てることができます。さらに将来の世代がその森林から木材を収穫し、利用することができるのです。
健全な森林は木材などの生産のほか、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)を吸収したり、生物多様性を守ったりとさまざまな役割を果たしています。「木を使う」ことと「森林を守る」ことは、矛盾しているようで、実は地球環境の保全につながっているのです。
森林資源のサイクルを推進していくためには、材を生産する林業や、木材製品の消費者・実需者だけでなく、木材を木材製品に加工し流通させる木材産業の存在が不可欠です。
齋藤木材工業株式会社では、森林循環のうち「使う」の部分に大きく貢献。カラマツを再生可能な資源と捉え、高品質なカラマツ集成材「唐松丸」の製造を中心に、集成材の端材を使った薪「信州産カラマツ薪」などの販売も行っています。また、長野県の豊富な資源であるカラマツを使ったサウナ・Vetääの製造を通して、人々に癒しを与えるとともにカラマツ材のさらなる活用を目指しています。
また、「植える」の部分にも関わり、毎年地元企業や森林組合、民間の方と協力し、数百名規模のカラマツ植林も実施。使うだけでなく、育てるところからも持続可能な森林循環に寄与しています。
参考:林野庁『森林資源の循環利用を担う木材産業』
カラマツ集成材を使ったサウナの強みとメリット
サウナにカラマツ集成材を使うことには、具体的にどのような強みがあるのでしょうか。海外産と国内産のサウナとの比較と合わせてご紹介します。
サウナにカラマツ集成材を使っていることの強み
一般的に、サウナ材としてはスギやヒノキが使われていることが多いです。しかしカラマツは他の針葉樹に比べて比重が高く強度があるため、サウナ材としても適しています。
下の図を見ても、針葉樹の中では特にカラマツの強度が優れていることがわかります。なお、一般的に構造部材は曲げヤング係数、曲げ強度などで強度を表しますが、ここでは木材の硬度を強度として考えています。
さらに齋藤木材工業株式会社では、カラマツに集成材加工技術を施しています。従来型のバレルサウナの壁厚は3cm前後ですが、Vetääは床と壁に6cmの構造用集成材を使用しており、断熱効果や強度がより向上しています。つまり、一度あたたまると冷めにくく、長時間楽しめるサウナなのです。
海外産のサウナとの比較
海外では日本よりも長いサウナの歴史を持ち、日常生活に文化が根付いているため、サウナの製造技術や材料の加工技術などに長けています。特に、フィンランドやカナダなどから輸入されたアウトドアサウナは一定数販売されており、代理店も国内に多くあります。
しかし近年では、海外産と国内産には外観や構造に大きな違いがないことから、予算や品質にこだわるお客様は国産品を選ぶ傾向にあります。
また海外産の場合、使用による経年劣化や割れ、ひびなどが発生した際の修理に海外から部品を取り寄せる場合、高額な輸送費と修理費が発生します。一方、国産品であるVetääは、建材に使用するカラマツの90%以上を長野県の東信エリアから仕入れており、製造加工も全て自社工場内で完結。これによりスピーディーで低価格なアフターサービスも可能です。現時点では、設置場所へ齋藤木材工業株式会社のスタッフ、またはVetää特約店が出向いて修理を行っています。
定期的なメンテナンス費用を含め、Vetääはコストの面でも海外産より優位といえます。
Vetääの特徴と完成までの道のり
Vetääが完成するまでには、ネーミングやデザインなど、さまざまな試行錯誤がありました。
Vetääのネーミングに込められた想い
Vetää(ヴェター)とは、「引く」「引っ張る」という意味のフィンランド語です。人を惹きつける魅力的なプロダクトでありたいという願いとともに、サウナとしての性能を追求する意味も込められています。またU字磁石のようなフォルムや、デザインコンセプトであった「可搬性」を表現したネーミングとなっています。
完成までの試行錯誤
このサウナは、国産木材の活用を進めることを目的とした、林野庁の「ウッド・チェンジ普及促進支援事業」の補助金を使って開発をしています。そのため、信州カラマツの構造用集成材を使うことがマストでした。しかしその特性を活かすとなると一般的なバレルサウナの形である樽型では加工技術を活かせず、従来型との差別化が課題となったのです。
そこで、松本市を拠点に活動されている木工職人の atelierm4(アトリエ・エムフォオ株式会社)の前田大作氏に依頼し、床をフラットにしたドーム型デザインを考案。さらにVetää総代理店でもあり、軽井沢でサウナ施設kaveri(カヴェリ)を運営している株式会社レリバントにも協力を仰ぎ、知見を最大限に取り入れました。
従来の樽型では床の丸みの部分も板材を組んでいるため、下からの冷気が弱点でしたが、Vetääは床に強度・密度の高い集成材を使うことで隙間をなくし、冷気が入りにくい仕様にしました。そのため、足元まであたたかく、広い床でストレスなくサウナを楽しめるのが特徴です。
また、安定感のある広いスペースをサウナ以外で利用できるのもメリットの一つ。ストーブ無しでの本体のみの購入も可能で、内装のベンチや窓などもオプションによってお客様が自由にカスタムできるようにしています。サウナでととのうだけでなく、コテージのようにして使ったり、個室として活用したりするのも良いですね。
さまざまな試行錯誤を経て完成した純国産サウナブランド・Vetää。こだわり抜いた独自の形状は、熱循環を効率良くしており、気密性も高く足元まで極上の熱波で包まれます。さらに外の景色が眺められるピクチャーウィンドウもオプションで付いているため、森林の緑を眺めながらのサウナタイムも楽しめます。完成品が届くため、設置後すぐに使用できるのも魅力です。
Vetääを導入したお客様からの声
実際にVetääを導入したお客様からは、以下のような声が寄せられています。
●今まで見たことがないデザインなので、他のサウナと差別化できますね。 ●フラットな床がとても快適。 ●無垢なカラマツの香りを楽しめるのもVetääならではの特徴だと思います。 ●完成品を届けてくれるのが大変ありがたいです!
こうした声も参考にしながら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
森林循環につながるサウナ「Vetää」の設置を検討しよう
齋藤木材工業株式会社では、長野県の豊富な資源であるカラマツを使ったサウナを製造しています。このサウナを導入することで、日本の森林資源を使うこと、そして植えることにつながり、サスティナブルな森林循環にも貢献できます。サウナでととのいながら、全身で森林の恵みを感じてみてはいかがでしょうか。
カラマツ集成材ならではの強みを活かしたVetääは、広々とした空間の中で極上のサウナ体験ができます。手触りや香りとともに、至福の時間をお楽しみください。
Vetääの詳細については、以下のブランドロゴマークをクリックして製品ページをご覧ください。「ご相談窓口」もしくはお電話より、お気軽にお問い合わせくださいね。
【Vetääサウナ 公式ページ】 https://vetaa.jp/