焚き火は違法?庭・海・山・公園などでの焚き火に関する法律や注意点を解説

焚き火は違法?庭・海・山・公園などでの焚き火に関する法律や注意点を解説

自宅の庭や山・海・公園などといった場所での焚き火が違法ではないか知りたい方もいますよね。法律でどのようなことが禁じられているのか事前に把握しておけば、安心して焚き火ができるでしょう。今回は、どのような焚き火が違法となるのか、関連する法律の一覧と地域の条例、違法でなくとも気をつけたい注意点を紹介します。

焚き火は違法ではない。ドラム缶などでの野焼きは違法

結論から言うと、自宅の庭やキャンプ場などでの軽微な焚き火やバーベキューは違法ではありません。しかし、自宅であっても基準を満たさない焼却炉での焼却を指す「野焼き」は、違法になるため注意が必要です。野焼きは、農家が畑で枯れ草等を燃やす場合にも使いますが、不適切な方法で家庭ゴミを焼却することも指します。

ドラム缶での焼却や穴を掘ってゴミを焼却する行為は、野焼きと見なされ法律違反となってしまうことを理解しておきましょう。場所ごとの焚き火に関する考え方は次の通りです。

自宅の庭・キャンプ場軽微な焚き火はOK
公園(都市公園・自然公園)法律により禁止されている場合が多い
山・海・河原自治体など土地所有者によるルールに従う 

上記のように、場所ごとに焚き火のルールは異なります。このあと、それぞれの場所での焚き火に関する法律や条例を詳しく説明します。

どんなことが違法になる?焚き火に関する法律

焚き火に関する法律には、どのようなものがあるのでしょうか。条文を交えて詳しく紹介します。

自宅の庭での焚き火に関する法律

焚き火の様子
image by Kevin Woblick on unsplash

まずは、自宅の庭での焚き火に関する法律を紹介します。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(略称:廃棄物処理法)は、産業廃棄物などの適切な処理の方法について定めています。第十六条には、廃棄物の焼却を禁止する記載があります。違反すると、第二十五条の「罰則」に沿って「五年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される」場合があるので注意が必要です。

(焼却禁止)
第十六条の二 何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。
一 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却
二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却
三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの

ただし、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」の第十四条では、例外として以下が定められています。

(焼却禁止の例外となる廃棄物の焼却)
第十四条 法第十六条の二第三号の政令で定める廃棄物の焼却は、次のとおりとする。
一 国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却
二 震災、風水害、火災、凍霜害その他の災害の予防、応急対策又は復旧のために必要な廃棄物の焼却
三 風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却
四 農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却五 たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なもの

つまり、キャンプなどで行う軽微な焚き火については違法となりません。違法性のない、火の取り扱いに関する具体的な例としては、以下が挙げられます。

●河川や海岸の管理者が行う、管理上必要な草木や漂着物の焼却
●「どんど焼き」などの地域の行事における不要になった門松、しめ縄の焼却
●畑の野焼き、麦わら、稲わら、雑草などの焼却
●焚き火、落ち葉たき、キャンプファイヤーを行う際の木くずの焼却

しかし、例外に該当する焚き火であっても、ビニール類やプラスチック類などの家庭ごみを混ぜて燃やした場合は、野焼きと見なされ違法となることを認識しておきましょう。

(参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | e-Gov法令検索
(参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 | e-Gov法令検索

軽犯罪法

軽犯罪法は、軽微な秩序違反の行為について定めた法律です。第一条の罰則対象者の中には、火の取り扱いに関するものがあります。

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
~中略~
九 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者
十 相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用し、又はもてあそんだ者

十分な準備や管理をせず、燃えやすいもののそばで火を焚いたり、みだりに火薬類を扱ったりすると違法になります。

(参考:軽犯罪法 | e-Gov法令検索

消防法

消防法は、火災を防止するための法律です。第三条には、消防署の方からの注意に関するものがあります。消防署員に注意されたら焚き火を止めるか、適切な消火対策をしなければなりません。

第二章 火災の予防
第三条 消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。第六章及び第三十五条の三の二を除き、以下同じ。)、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者若しくは占有者で権原を有する者に対して、次に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
一 火遊び、喫煙、たき火、火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為の禁止、停止若しくは制限又はこれらの行為を行う場合の消火準備
二 残火、取灰又は火粉の始末
三 危険物又は放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理四 放置され、又はみだりに存置された物件(前号の物件を除く。)の整理又は除去

周囲の方が通報し、消防車が出動するような事態となると多くの方に迷惑がかかってしまいます。そういった事態にならないよう、十分に配慮して行いましょう。

(参考:消防法 | e-Gov法令検索

公園での焚き火に関する法律

公園の様子
image by Srecko Skrobic on unsplash

次に、身近にある公園での焚き火に関する法律を紹介します。

都市公園法

都市公園法は、国や地方自治体が設置する公園に関する法律です。第十一条の禁止行為の中に、焚き火があります。

(国の設置に係る都市公園における行為の禁止等)
第十一条 国の設置に係る都市公園においては、何人も、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
一 都市公園を損傷し、又は汚損すること。
二 竹木を伐採し、又は植物を採取すること。
三 土石、竹木等の物件を堆たい積すること。
四 前三号に掲げるもののほか、公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの

この法律に関連する「都市公園法施行令」では、第十一条・四の政令で定める行為について以下のように記載しています。

(法第十一条第四号の政令で定める行為)
第十八条 法第十一条第四号の政令で定める行為は、次に掲げるものとする。
~中略~
三 公園管理者が指定した場所以外の場所でたき火をすること。

つまり、身近に多くある都市公園での焚き火は、原則的に禁止となります。公園の管理者が許可していない場所で焚き火をするのはやめましょう。

(参考:都市公園法 | e-Gov法令検索
(参考:都市公園法施行令 | e-Gov法令検索

自然公園法

自然公園とは、「優れた自然の風景地」として国や自治体が指定し、保護・管理している区域のことを指し、以下の3つが該当します。

●国立公園
●国定公園
●都道府県立自然公園

自然公園法では、自然公園の中でも「特別保護地区」としている区域での焚き火を禁止しています。

(特別保護地区)
第二十一条3 特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。
~中略~
六 火入れ又はたき火をすること。

ただし、「特別保護地区」以外であっても、土地所有者が禁止している場合があるため注意が必要です。どちらにせよ、焚き火が自然環境に影響を及ぼす可能性を考えると、自然公園内での焚き火は控えたほうがよいでしょう。

(参考:自然公園法 | e-Gov法令検索

地方自治体が制定する条例

焚き火は、自治体による条例などで規制・禁止されている場合があります。自治体が管轄している土地では、その条例に従いましょう。主要都市の条例を、いくつか紹介します。

東京都

東京都が定める「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の第百二十六条では、「廃棄物焼却炉を用いずに、廃棄物等を焼却してはならない。ただし、規則で定める焼却および伝統的行事等の焼却行為については、この限りでない。」としています。東京都内において廃棄物の焼却行為となるような焚き火は、原則禁止です。都内の各自治体のHPで具体的な禁止行為を記載している場合もあるので、事前に確認しましょう。

(参考:都民の健康と安全を確保する環境に関する条例

名古屋市

名古屋市の「市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例」(環境保全条例)の第八十三条では、「規則で定める廃棄物焼却炉を用いないで、廃棄物等を焼却してはならない。例外の焼却であっても、できる限り周辺の生活環境に支障を及ぼすことのないよう配慮しなければならない。」と定められています。都市部など住宅が密集しているところでは、近所の迷惑にならないよう配慮が必要です。

(参考:市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例(環境保全条例)

福岡市

福岡市では、「福岡市火災予防条例」の第45条により、火災とまぎらわしい煙等を発するおそれのある行為については事前の届け出が必要です。届出が必要な主な行為には、焚き火やどんど焼き、雑草・雑木の焼却などが含まれます。焚き火を行う際は、事前に消防署へ連絡しましょう。また、廃棄物の焼却は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で原則禁止されています。

(参考:「火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為」の届出について|福岡市消防局

山・海・河原での焚き火は、自治体など所有者によるルールに従う

海での焚き火
image by Jason Leung on unsplash

山や海、河原での焚き火やバーベキューに関して定められた法律はありません。しかし、それらの場所は必ず国や自治体、民間事業者、個人といった「土地所有者」が管理しています。そのため、土地所有者が焚き火を許可している場所以外では、禁止となります。

例えば、河川でも上流は国が、下流は地方自治体が管理しているケースもあります。まずはその場所は誰が所有しているのかを把握しましょう。また、焚き火が禁止されていない場所であっても、自然環境への影響や火災へつながる恐れもあるため、細心の注意が必要です。

違法な焚き火でなくとも、迷惑にならないためのマナー

違法な焚き火でなくとも、近所の方や他の利用者への配慮が必要になります。ここでは、焚き火に関するマナーを紹介します。

煙を出さない工夫をする

焚き火やバーベキューをすると、煙が発生します。煙には特有の臭いや、燃やすものによっては有害物質が含まれる場合もあるので、近所迷惑になることがあります。庭から上がっている煙を見て近所の方が火災と勘違いして、警察や消防に通報してしまうケースも考えられるでしょう。焚き火をするときは、煙対策を行うことが大切なポイントです。燃やし方によっては煙を抑えることもできるので、その方法を知っておくとよいでしょう。

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臭いに気をつける

煙とともに迷惑の原因となるのが臭いです。焚き火やバーベキューの臭いは、髪の毛や衣類に付くとなかなか取れません。「窓を開けていたら家の中に煙の臭いがこもった」「洗濯物を外に干していたら臭くなった」など、トラブルに発展するケースもあります。それを防ぐためにも、焚き火をする前に近所の方々へ一声かけるなど、迷惑がかからないように配慮するのがマナーのひとつです。

灰の処理を適切に行う

庭やキャンプ場などでバーベーキューや焚き火をしたあと、灰や炭をそのままにしてその場を去るのはやめましょう。灰が風に舞うことで、火災の原因となったり、周囲の方の迷惑になったりすることがあります。また、バーベキューで燃え切らなかった炭は、そのまま地面に置いても自然には返らないため環境にも影響します。灰や炭は適切な方法で処理し、持ち帰るなどしてその場に残さないようにすることが大切です。

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煙を抑えるには、通販でしっかりと乾燥した薪を買うのがおすすめ

乾燥が進んでいない薪を使うことで、煙が多く出てしまう可能性があります。煙を抑えるには、しっかりと乾燥した薪を使うことがポイントです。

森の中ストア」では、長野県産のカラマツ100%で作った薪を扱っています。森の中ストアの薪は、人工乾燥させているため、含水率(薪に含まれる水分量)が15%以下と十分に乾燥しています。さらに建材加工技術を応用し、松特有のヤニを抑えているため、燃焼時の臭いが少ないのもメリットのひとつです。

シーンや焚き火台の大きさに合わせて、25cmと35cmの2種類から薪のサイズが選べます。この機会にぜひご利用ください。

法律違反・迷惑行為にならない配慮をして焚き火を楽しもう 

キャンプなどで楽しむ軽微な焚き火は違法とはなりません。ただし、その土地の条例や所有者が定めたルールに沿う必要があります。また、違法ではないとしても周囲の方や環境に配慮することが大切なマナーです。法律違反や迷惑行為とならないよう十分に注意しながら、焚き火を楽しみましょう。