【木の種類】木材として使われる木の主な特徴・用途一覧。針葉樹と広葉樹の見分け方
木の種類はさまざまあり、例えば国内、同じ県内でも地域や標高によって植生が異なるほどです。この記事では、木を針葉樹と広葉樹に分類して、見分け方・木の主な特徴・木材としての用途を解説します。あわせて知っておきたい分類も紹介しますので、DIYの材料や家具選びの参考にしてみてください。
Contents
木の種類は、大きく「針葉樹」と「広葉樹」の2つに分けられる
木は大きく分けて、針葉樹と広葉樹の2種類があります。世界的には、針葉樹は寒冷地域に、広葉樹は温暖地域に分布しています。日本は地方によって気候が異なるため木の種類にも地域差があり、亜寒帯気候の北海道および標高が高く寒冷な地域では針葉樹が分布し、気候の温暖な南の方では広葉樹が広がる傾向にあります。
針葉樹とは
針葉樹の多くは、針のように細長い葉を持っています。例えば、クリスマスツリーに使われるモミ(樅)や、人工林に多いスギ(杉)などは、葉の形状をイメージしやすいでしょう。日本にある針葉樹のほとんどは常緑樹(常緑針葉樹)で、落葉するのはカラマツ・イチョウなど限られた数種のみです。
広葉樹とは
広葉樹とは、葉が平らに広がっている木のことを呼びます。木の種類は針葉樹よりも多く、一年通して葉をつけている「常緑広葉樹」と、カエデ(楓)のように秋に葉を落とす「落葉広葉樹」に分かれます。
温暖な地域である沖縄を象徴する「フクギ」「ガジュマル」は、亜熱帯~熱帯気候の地域に分布する常緑広葉樹です。
針葉樹と広葉樹の見分け方
針葉樹と広葉樹は、主に次のような違いがあります。
針葉樹 | 広葉樹 | |
葉の形 | 針のように細長い | 平たく広がっている |
樹皮 | 繊維が縦方向または鱗状で、比較的剥がれやすい | ゴツゴツしたものや滑らかなものなど多彩で、剝がれにくい |
樹形 | 真っ直ぐ上に向かって伸びる | 枝分かれして横に広がりながら育つ |
落葉 | ほとんどが常緑樹、落葉する種類は非常に少ない | 落葉広葉樹と常緑広葉樹があり、種類は落葉広葉樹の方が多い |
針葉樹と広葉樹の具体的な違いは、以下の記事をご覧ください。
針葉樹の主な種類と特徴・用途一覧
針葉樹は縦方向に真っすぐ成長し、柔らかくて加工しやすいため、建築の柱や梁といった構造材で多用されています。代表的な針葉樹として、次の木が挙げられます。
ヒノキ(檜、桧)
ヒノキは水や湿気に強く、シロアリのような害虫にも強いため、古くから建築の柱や土台に多用されてきました。世界最古の木造建築物である法隆寺五重塔(奈良県)や、20年ごとに式年遷宮が行われる伊勢神宮(三重県)に使われているのもヒノキです。
加工性が高く、彫刻・風呂桶・弁当箱など曲物の材料となるほか、抗菌性にも優れていることから、まな板など調理器具材にも使用されます。
スギ(杉)
積極的に植林されてきた樹種のため、日本の人工林で最も面積が大きいのがスギです。成長が早く真っすぐ上に伸びる樹種のため、建築用材・造船用材として重宝されてきました。神社仏閣に植えられていることも多く、環境条件によっては、「御神木」と呼ばれるような巨樹となっていることもあります。
屋久島(鹿児島県)にある「縄文杉」は、日本で確認されている最大のスギで、高さ25.3m、胸高周囲16.4mあり、樹齢は2170~7200年と推定されています。
ヒノキと比較するとスギは安価かつ軽量で、構造材や建具のほか、家具や樽材など幅広い場面で使用されています。杉林を加工した際の端材や間伐材が、割り箸の材料として有効活用されることもあります。
マツ(松)
「マツ」という樹種はなく、アカマツ・クロマツ・カラマツなどの総称です。門松のような日本の風景を構成する樹種でもあり、「美保の松原(静岡県)」「天橋立(京都府)」などの景勝地では、松林の保全活動が行われています。
用途は種類によって異なり、防砂林・防風林、公園樹・街路樹、庭木・盆栽などでよく見られるほか、水に強く強度があるため、杭など土木用材や、構造材にも用いられます。また、高級キノコの松茸は、アカマツの林で採れるものです。
マツの樹脂である「マツヤニ(ロジン)」は、弦楽器の弓に使用する塗布剤・野球のロジンバッグ・バレエシューズの滑り止めに利用されるほか、化学物質の原料にもなります。松ぼっくりにも樹脂が多く含まれ、キャンプなどで焚き火を行う際に、乾燥した松ぼっくりを着火剤として使うことも可能です。
ツガ(栂)
ツガは材質が硬く、柱や土台などに用いられており、関西圏での住宅建築ではヒノキよりもツガの方が高級材とされる場合があります。硬いため耐久性に優れている反面、加工が難しい樹種でもあります。
木目が美しいため、床柱・長押・敷居・鴨居などのほか、箸・仏具・楽器・おもちゃなどにも使われます。
広葉樹の主な種類と特徴・用途一覧
広葉樹はゆっくり時間をかけて育つため、高密度で硬い木に育つのが特徴です。硬めで重い材質となり、家具や床材としてよく使われます。代表的なものとして、次の木が挙げられます。
ケヤキ(欅)
ケヤキは北海道以外の各地で広く生育している、手に入りやすい木材です。木の成長が遅いため材質は硬くかつ重く、住宅の梁・大黒柱などの構造材によく使われます。耐用年数が長く、古くから神社仏閣の主要な柱に使用されており、京都の「清水寺」を支えているのもケヤキの柱です。街路樹としても広く植えられている樹種で、府中や仙台など、長いケヤキ並木を保全している地域もあります。
材質は硬いものの、加工は困難ではありません。耐水性・耐久性に優れ、木目が美しいこともあり、家具・食器・餅つきの臼と杵・楽器など幅広く用いられています。
ナラ(楢)
「ナラ」は、ミズナラ・コナラ・クヌギ・カシワ・ナラガシワなどの総称で、「ナラ材」と呼ばれるものは「ミズナラ」を指しているのが一般的です。北米産のナラ材を「オーク」と呼び、産地で区別することもあります。北海道から九州まで広く分布し、どんぐりの実がなる木の一つでもあります。
加工・着色が容易で、硬く変形しにくい性質もあることから、家具、内装材、建具や床材など幅広い用途に使われています。またウイスキー樽の用材としても有名です。
カシ(樫)
「カシ」はブナ科の常緑樹の総称で、シラカシ・アカガシ・アラカシなどさまざまな種類があります。木材でカシといえば、シラカシを指すのが一般的です。ナラと同様、どんぐりが生る木でもあります。
非常に重く硬い木に成長するため、加工は困難で、建築材料にはあまり使われません。頑丈さが求められるものに向いており、伝統的な大工道具や、スコップ・ツルハシなどの土木・農業用工具の柄に使われます。また、高級な炭として知られる「備長炭」は、ウバメガシ(姥目樫、馬目樫)を原木としてつくられたものです。
キリ(桐)
「キリ」は成長が早く、短期間で木材として使用できる木です。北海道から九州まで広く分布していますが、寒冷地の桐材は、木目が密な良品として知られています。
桐は、製品に変形・歪みが生じにくく、防虫効果もあり、加えて断熱性・調湿性が高いことから、古くからタンスや刀剣・美術工芸品の箱に使われてきました。材質が柔らかく加工しやすいため、琴・琵琶などの楽器材から下駄のような日用品の素材まで、幅広く使用されています。
タモ(櫤)
タモは、ヤチダモ・アオダモ・シオジ・オオバトネリコなど、モクセイ科トネリコ属に分類される広葉樹の総称です。日本では北海道から本州北部にかけて分布しており、アメリカ産やヨーロッパ産のものは「アッシュ」と呼ばれることもあります。材質は硬く頑丈で、構造材や建具、家具、合板、スポーツ用品など、さまざまな物に使われます。
家具に用いられるタモ材の多くはヤチダモです。色が白くて木目が美しく、大径に育つため幅広い板を採ることが可能で、テーブルの天板として活用されることもあります。また、アオダモは小さく育つため、家具や建築材料には向いていませんが、弾力性に富み衝撃を吸収しやすいという特長を生かして、テニスやバドミントンのラケット・スキー板・野球のバットなどに使用されています。
クスノキ(楠)
クスノキは、「樟脳(しょうのう)」と呼ばれる独特の香り成分に防虫効果があり、防虫剤や収納家具に使われてきました。耐水性も高く、「厳島神社(広島県)」を象徴する大鳥居の主柱に使われているのはクスノキです。
材質は硬くて腐りにくく、建築、仏像・欄間の彫刻、木魚などにも使用されています。病虫害に強く大木となるため、公共の場所や企業のシンボルツリーとして、あるいは街路樹・公園樹で植えられることが多い樹種でもあります。
あわせて知っておきたい針葉樹/広葉樹以外の分類
木の種類による分類とは別に、針葉樹/広葉樹以外で分けることがあります。DIYや家具選びなどで役立つので、どのような分類があるのか、あわせて知っておきましょう。
無垢材と集成材
木の種類を「無垢材」と「集成材」の、木材加工の仕方で分けることがあります。
無垢材とは、丸太から切り出した、自然のままの角材や板のことです。加工した木材と異なり自然な木目で、耐用年数が長く、経年による色味の変化を楽しめるという特徴もあります。「一枚板」と呼ばれる、大径の木から採り出される継ぎ目のない大きな板も、無垢材の一種です。
一方の集成材は、一定の大きさにカットした板を接着剤で組み合わせた、人工の木材です。よく乾燥させて製造するため、割れや反りなどが出にくくなっています。「構造用集成材」と「造作用集成材」に大別され、構造用は建築材料として、造作用は建築の内装や家具材として使われます。
国産材と外国産材
「国産材」と「外国産材」の、産地で木の種類を分けることもあります。国産材は、日本の森林で育った木で、品質と耐久性が高いというメリットがあります。外国産材とは、海外の森林で育ち、日本に運ばれてきた木材で、「輸入材」「外材」と呼ぶこともあります。国産材に比べ比較的コストが低いのがメリットです。
生育環境による違いはありますが大きな優劣の差はなく、それぞれにメリット・デメリットがあるため、適材適所で使い分けると良いでしょう。
国産材をお探しの方には、長野県にある齋藤木材工業株式会社の、地元産のカラマツ材を厳選使用したハイグレード集成材「信州唐松丸」をおすすめします。カラマツは成長段階でねじれる習性がありますが、集成材にすることにより木の強度を生かしつつ、ねじれを抑えられるようになりました。現在では、カラマツの集成材は強度が求められる建築物に多く用いられるようになっています。
(参考:長野県SDGs推進企業情報サイト『事例紹介|齋藤木材工業株式会社|地元の木材をもっと身近に、持続可能な地域づくりへの貢献』)
あわせて同社では、集成材の製材工程で発生した端材やおがくずを、薪・着火剤に加工してECサイトで販売しています。この機会に、購入を検討してみてはいかがでしょうか。
芯材と辺材
同じ丸太の中で、「芯材(心材、しんざい)」と「辺材(へんざい)」に分けることもあります。芯材とは、伐採した木の切り口を見たときに、中心にある色の濃い部分を指します。辺材よりも耐朽性(腐って形が崩れることに対する抵抗性)が高く、強度もあるため、構造材に適しています。一方の辺材は、樹皮に近い、色が薄い部分です。木目が美しいため、造作材に向いています。
色の違いから、芯材を「赤身」、辺材を「白身」と呼ぶこともあります。ただし、芯材と辺材の色味があまり変わらず、人の眼では区別できない樹種もあります。
木の種類を覚えて、DIYや家具選びに役立てよう
木の種類は非常に多く、針葉樹と広葉樹の2つに分類するほか、特徴によってもさまざまな分け方があります。同じ木工品をつくる場合でも、使用する木の種類が違うと、色や風合いなどの外見だけでなく、調湿性や耐久性なども異なります。木の種類を把握して、それぞれの特長を生かしたDIYや家具選びができると良いですね。