薪の乾燥方法とは?最適な期間や保管の仕方、乾燥度の見分け方も解説

薪の乾燥方法とは?最適な期間や保管の仕方、乾燥度の見分け方も解説

焚き火や薪ストーブで使う薪はどのように乾燥させるとよいのか、手順やかかる期間などを知りたいという方もいるのではないでしょうか。今回の記事では、薪を乾燥させる方法や、雨ざらしにしておくとよい理由、ベランダなど乾燥後の保管場所についてわかりやすく紹介します。自分で生木から薪を作る方法も解説しますので、是非ご参考ください。

なぜ薪は乾燥させる必要がある?最適な薪の乾燥期間とは

キャンプなどのアウトドアシーンや薪ストーブなどで活用される薪は、十分に乾いていることが燃焼効率を上げる共通ポイントです。そもそも薪はなぜ乾燥させる必要があるのでしょうか。また、どれくらいの期間で乾燥させることができるのでしょうか。

薪を乾燥させる理由|燃焼効率を良くするため

薪の乾燥度は、燃焼効率に大きく影響します。薪が湿っていると、火力が上がりません。その理由は、薪に残っている水分が蒸発した後に薪が燃えるためです。水分の蒸発にエネルギーが奪われると、その分の熱が火力や暖房効果につながりません。

薪ストーブの場合、火力が上がらないと煙突内にススが付着し、詰まりの原因にもなります。煙突の詰まりは、煙突火災の原因にもなり得るため、注意が必要です。

また、焚き火の場合は、薪の中の水分が蒸発する際に大量の煙が出るため、火に近寄れない、暖を取れないという問題も起きます。

薪が十分に乾燥していることで、木の水分が蒸発するのにエネルギーが奪われず燃焼効率が良くなるため、煙が出にくく、暖かい火を作ることができるのです。

最適な薪の乾燥期間|1年~2年

自作した薪を自然乾燥する場合は、1年~2年の期間を要すると言われています。例えば、11月~3月までの間に伐採した木であれば、木が水を吸わない時期であるため元々水分が少なく、1年で十分に乾燥します。湿気の少ない地域や季節であれば、最短6ヵ月程度で乾くこともあるようです。

一方で、4月下旬~10月までの間に伐採された木だと、木が水を吸っているため、乾燥させるのに2年を要します。

薪の乾燥基準|含水率20%以下

薪の乾燥度を測る目安として、「含水率」というものがあります。薪の含水率とは、薪の中に残っている水分の割合を示します。伐採されたばかりの生木の含水率は約50%であるのに対し、焚き火や薪ストーブに使う薪は、含水率20%以下が最適です。

ホームセンターや通販などにおいて焚き火用に販売されている薪は、あらかじめ人工乾燥機などによって含水率を20%以下に抑えたものが多いため、そのまま使えます。含水率の正確な数値を自分で測りたい場合は、市販のデジタル含水率計を使うと便利です。通販等で、およそ3,000円前後で購入できます。

乾燥した薪の見分け方

デジタル含水率計が手元にない場合にも、乾燥した薪を見分ける方法があります。その例をいくつか紹介します。

<乾燥した薪の見分け方>
●薪同士を叩き合わせると、乾いた高い音がする
●見た目の割に軽い
●色がくすんでいる
●手に持ったとき、ひんやりした感じがしない

デジタル含水率計がない場合は、実際にさまざまな薪を見たり触ったりして、乾燥度をチェックしてみましょう。

薪の乾燥方法|よく燃える薪の作り方

ここからは、生木から薪にする方法、薪の乾燥方法について、手順ごとに詳しく紹介します。

1.生木を玉切りにする

まずは、生木を玉切りにします。玉切りとは、立木を伐倒して枝払い等が済んだ後に、用途に応じた長さに切断して、丸太の状態にすることを言います。森林組合などが建築用材や薪等の用材として提供する場合、3m~4mほどの長さの玉切りにしてから販売・譲渡していることがあります。長さのある玉切りの木を薪にする場合、チェーンソーでさらに30〜40cmほどに細かく切り分け、薪割りの準備をします。

2.玉切りの幹や枝を斧で割る

薪割をする様子

30cm~40cmの玉切りにしたら、それを斧や薪割り機で割って薪にします。薪は、切った断面から乾燥するため、玉切りの状態では乾燥しにくくなります。ある程度太さのある木であれば、半分または4分割にした方が、より早く乾燥します。木は乾くと硬くなり強度が増すので、乾いていないうちに薪割りを行うのがポイントです。

3.割った薪を2ヵ月程度雨ざらしにする

薪を割ったら、雨ざらしの状態で2ヵ月ほど放置します。雨に濡れると乾燥しにくいイメージがあるかもしれませんが、雨に濡れることで薪の中を通る管の中から、樹液が流れ落ちて乾燥が早くなります。ただし、スペースや見映えの問題でそのまま置いておくのは避けたいという場合は、雨ざらしにせず薪棚等に移動させてもよいでしょう。

4.雨に当たらない場所に薪を積んで乾燥させる

薪を使用する前に、風通しのよい場所に積んでよく乾燥させます。場所は、雨に当たらない、屋根付きの薪棚がベストです。薪を積む際には、井桁状に組むと薪全体に風が当たりやすくなり、乾燥が早くなります。このとき、薪の皮を下にすることで、より乾きやすくなります。薪棚を管理するときは、薪を切った日がわかるよう、期間ごとにスペースを分けるのもよいでしょう。

積み上げた薪

専用の薪棚がない場合は、左右を井桁に組んでその間に薪を平行に積んでいく「野積み」という積み方が一般的です(「井桁積み」とも言う)。丸木でも安定して積めて崩れないのが特徴です。薪を野積みにし、上にトタンなどを載せて雨に濡れないよう工夫する保管方法もあります。

また、薪を円形に置き、ドーム状に積んでいく「スイス積み」という方法もあります。薪の太さ・長さ・大きさがバラバラでも積めるのが特徴です。薪に均一に風が当たるため、乾燥が早いというメリットもあります。積み方のコツさえ覚えれば、ドームの大きさも高さも自由にアレンジできます。

薪の量やスペースによってどの方法が適切か選び、各家庭に合った作り方・保管の仕方で薪の乾燥を進められるとよいですね。

薪を乾燥させるときのポイント

薪だなに積まれた薪

薪を効率よく乾燥させるには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

風通しのよい場所と積み方を意識する

薪の乾燥には、「風通しの良さ」が必要不可欠な要素です。薪棚がない場合でも、地面に直接積むと風通しが悪くなり乾燥しにくくなるため、薪の下にパレットや石ブロックなどを挟み、地面から浮かせることを意識しましょう。

また、屋根があるからといって軒下に積む人もいるようですが、あまり好ましくありません。家の壁と薪が密接していると風通しが悪くなる上に、虫がついてしまったり、通気口を塞いでしまったりすることもあり、住居機能を低下させる原因にもなります。家の近くの物置やビニールハウスで乾燥させる場合でも、その中でしっかり風が通るよう、地面から離して積むことが大切なポイントです。

薪を細かく割るなど早く乾燥させる方法も知っておく

薪を早く乾燥させるポイントとして、できるだけ細かく割ることも挙げられます。細かくすることで表面積が増えるため、その分早く乾きます。また、一度凍らせて、早く乾燥させる方法もあります。寒い地域では、冬に数ヵ月雨ざらしにし、あえて薪を凍らせてから屋根付きの薪棚に積むこともあるようです。できるだけ短い期間で薪を乾かしたい場合は、割り方を工夫したり、気候を利用したりする方法も試してみるとよいでしょう。

薪の乾燥や保管についてよくある疑問

薪の保管について、よくある疑問にお答えします。

薪を乾燥させすぎるのは良くない?

Q.薪を乾燥させすぎると良くないのでしょうか。

A.乾燥させすぎても問題はないです。乾燥が進んでいるほど、薪は硬くなり、含水率も低くなるので燃焼効率が上がります。強い火力が出ることがあるので、薪ストーブなどで燃やす際は空気調整が重要になります。

ただし、腐った薪や虫食いの薪は火力が弱くなる場合があるので、長期保管には注意が必要です。

乾燥させた薪をベランダで保管したい。その方法は?

Q.キャンプや焚き火で余った薪を、ベランダに一時的に積んでおきたいです。どのように保管すればよいのでしょうか。

A.ベランダの床に直置きすると風通しが良くないので、簡単なラックなどをDIYすることをおすすめします。市販の薪は30〜40cmほどなので、それが置けるサイズのラックを用意してみましょう。

DIYが苦手という人は、小さなステンレスラックを購入してそこに積んだり、石ブロックやすのこ板を薪の下に置き、その上に野積みしたりする方法でも構いません。

乾燥した薪をすぐ入手したい人は通販がおすすめ

「キャンプ用にすぐ使える薪を用意したい」「用意した薪の乾燥が進んでいないため、今シーズンの薪ストーブには購入した薪を使いたい」など、乾燥した薪をすぐに手に入れたいという人もいるでしょう。そういった人は、通販での購入がおすすめです。

長野県で木材加工業を営む齋藤木材工業株式会社は、信州産カラマツ100%の薪を販売するECサイト「森の中ストア」を運営しています。

販売している薪は、脱脂乾燥を6日間実施し、安定的に含水率10%前後をキープしたもの。専用の施設で乾燥させているため、自然乾燥薪と違って保管時に虫が出ません。また、きちんと乾燥させているため、着火が容易で火付けに失敗しにくいことも特徴です。是非この機会にお試しください。

薪の購入はこちら
https://store.mori-naka.jp/pages/category-firewood

しっかり乾燥させた薪を、焚き火やストーブに使おう  

薪ストーブや焚き火で燃料として使う薪は、しっかりと乾燥させることが重要なポイントです。自分で用意するには手間と時間がかかりますが、きちんと手順を踏んで乾燥させれば、燃焼効率のよい薪を作ることができます。すぐに用意したい場合は、通販などで乾燥済みの薪を購入することも視野に入れながら、良質な薪で焚き火やストーブの炎を楽しめるとよいですね。