焚き火に使う薪の種類はどれがいい?特徴の一覧や見分け方、購入先を紹介
焚き火をするときに、「そもそも薪って種類があるの?」「いつもなかなか火がつかないのは、薪の種類が関係あるのか」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。薪の種類について知識を持っておけば、キャンプなどで長く焚き火が楽しめます。今回は、「針葉樹」と「広葉樹」の薪で異なる特徴や焚き火での使い方、市販されている薪の種類を簡単に見分ける方法、購入先の例などを紹介します。
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薪の種類は「針葉樹」と「広葉樹」に分けられる
薪の種類は、大きく「針葉樹」と「広葉樹」に分けられます。それぞれ特徴が異なるため、焚き火では、上手く使い分けるのがポイントです。まずは、針葉樹と広葉樹の樹種(木の種類)ごとに、特徴を解説します。
以下、文中に出てくる木材の「比重」とは、水の比重を1.0として、それと比較したものを指します。木材の比重は樹種によって異なります。ここでは、一般的に建築材として用いられる「気乾(きかん)状態」、つまり乾燥した状態での比重を表記しています。目安として針葉樹の比重はおおよそ0.3~0.5程度、広葉樹の比重はおおよそ0.5~1.0(ほとんどが水に浮く)と考えておくとよいでしょう。
針葉樹の種類と特徴の一覧
「針葉樹」とは、葉が針のように細く尖っている木のこと。樹脂を多く含むため、火力が強く着火しやすいのが大きな特徴です。そのため、焚き火では「焚き付け」に使うのがおすすめ。ただし、燃焼時間は短いため、火持ちはしません。ここでは、よく焚き火に用いられている針葉樹の薪の例を紹介します。
杉(スギ)
杉は、木材や薪など広く用いられている木です。広葉樹より比重が小さく、柔らかい性質があるため、斧などで薪割りしやすいのが特徴。持ち運びが楽なことや、安価で買えるのもメリットです。
松(マツ)
松は油分を多く含んでいるため、火付きがとてもよく着火剤としての効果も得られるのが特徴です。パワフルな火力はメリットですが、燃えるときにススが発生しやすいので注意が必要です。
桧(ヒノキ)
桧は、桧風呂などでも知られる高級木材。乾燥が早く火付きがよいのが特徴です。あまり火持ちはしませんが、燃えるときの匂いがよいため、好んで焚き火に使う人もいます。
広葉樹の種類と特徴の一覧
広葉樹とは、葉が手のひらのように広がっている木のこと。針葉樹に比べて木の密度が高く比重が大きいため、火付きは悪いですが、一度燃えると火持ちがよいのが特徴です。針葉樹で焚き付けてから、広葉樹を投入すると長く焚き火が楽しめます。ここでは、広葉樹の薪の例を紹介します。
楢(ナラ)
楢は、いわゆる「どんぐりの木」。火力も強く燃焼時間が長いため、最もポピュラーな広葉樹の薪です。市販で手に入りやすいのも特徴のひとつです。
椚(クヌギ)
椚は非常に密度が高く硬い性質を持つため、とても火持ちがよい高級な薪です。ススや煙も少なく、燃えているときに、ほのかな木の匂いが楽しめます。
樫(カシ)
樫は広葉樹の中でも火持ちが抜群によく、煙も少ないことから「薪の王様」と呼ばれています。硬いので薪割りは大変ですが、長時間安定して燃えるので、継ぎ足しの回数をぐんと減らすことができます。
桜(サクラ)
桜は、楢や樫と比べると火持ちは劣りますが、燃やすと甘い匂いがするので、焚き火だけでなく調理にも使えます。「燻製材」として使えば、スモークチーズなどを作ることもできます。
欅(ケヤキ)
欅は広葉樹の中でも比重が大きいため、火持ちがよいのが特徴。薪ストーブや暖炉にもよく用いられています。燃やすとお香のような独特の匂いがします。乾燥すると非常に硬くなるため、薪割りにはコツや慣れが必要です。
薪の選び方のポイントは「種類」と「太さ」
焚き火に使う薪を選ぶときは、「種類」と「太さ」に注目してみましょう。上手に使い分ければ、なかなか火が付かずに苦労したり、無駄に多くの薪を使ってしまったりといった失敗が減ります。
「種類」については、焚き付けに針葉樹、火持ちさせるために広葉樹と、ミックスして使うのが効率的。焚き火初心者で、それぞれどの程度準備したらよいかバランスがわからないという場合は、1:1でよいでしょう。
「太さ」については、細めの薪(直径2cm程度)、中くらいの薪(直径5cm程度)、太めの薪(直径10cm程度)の3種類を用意すると火力の調節がしやすくなります。着火剤の上に細めの薪を組んで焚き付け、徐々に中くらい~太めの薪を投入していくことで、燃焼時間を長くすることができます。
薪の見分け方|種類と乾燥度
次に、簡単に針葉樹と広葉樹の薪を見分ける方法と、乾燥度の見分け方を紹介します。
薪の種類の見分け方
薪を買いに行った際に、薪の種類が書いていない場合や、樹種は書いてあるが針葉樹か広葉樹かわからないといった場合もあるかもしれません。そのようなときでも、見た目の特徴から、針葉樹と広葉樹は簡単に見分けられます。
針葉樹:年輪が薄く、密度が低いため、広葉樹に比べて軽い。樹皮は手で引っ張ることで簡単に剥がすことができる。 広葉樹:年輪が濃く、密度が高いため、針葉樹に比べて重い。樹皮は素手で剥くのが困難なほどしっかりついている。
この特徴は、針葉樹は成長が早く、広葉樹はゆっくり育つことに由来しています。つまり、薪の断面を見たときの年輪の濃さや、触ったときの樹皮の剥がれやすさによって、ある程度見分けることができます。
薪の乾燥度の見分け方
薪を使うにあたっては、しっかりと乾燥しているかがとても重要なポイントになります。なぜなら、薪に含まれる水分の比率(含水率という)が高いと、火力が上がらず、煙が多く出る不完全燃焼の状態になりやすいからです。焚き火の薪として使うのに適しているのは、含水率が20%以下とされています。詳しい数値は「デジタル含水率計」などを用いることでわかります。
しかし、そういった専門器具が手元にない場合でも、以下のように見分ける方法があります。
●薪の色がくすんでいる ●薪にヒビが入っている ●薪同士を叩き合わせて、乾いた音がする
焚き火をする前に、このような方法で薪の乾燥度を確認しておけば、「いざ燃やしてみたら燃えにくかった」という事態も防げるでしょう。
薪の乾燥について詳しく知りたい方はこちら
【関連記事】薪の乾燥方法とは?最適な期間や保管の仕方、乾燥度の見分け方も解説
薪割りの方法
薪は、割り方によって火つきや火持ちがよくなることもあります。ここでは、火持ちをよくさせるための薪の割り方や、手元で薪割りするときにあると便利な道具を紹介します。
火持ちをよくさせるための薪の割り方
薪は、空気と触れる表面積を小さくするために大きく割りましょう。そうすることで、一気に燃え上がることを防ぎ、火持ちをよくすることができます。火持ちが悪いとされる針葉樹の薪しか手に入らなかった場合でも、大きく割ることで火持ちをよくさせることができます。
広葉樹の薪でも、小さく割ってしまうと、火持ちが悪くなるので注意が必要です。「火持ちさせたいときは、できるだけ大きく割る」ということを覚えておきましょう。
手元で薪を割るときにあると便利な道具
購入した薪を、自分で割りたいときに便利な道具を紹介します。薪と一緒に揃えておくと、アウトドアで役立つでしょう。
斧
薪割りの道具として代表的な刃物が斧(おの)です。刃のついた重いくさび形の鉄片を柄の先に装着したもので、刃の重さを利用して薪を割ります。一般的には柄が30〜40cmほどの斧が使いやすいとされていますが、片手で持てる小型のものから両手持ちできる大型のものまで、さまざまなサイズが展開されています。
薪割り台
薪割り台は、薪を割るときの土台となる台のことをいいます。薪割り台があることで、斧などを使うときに安定して薪を割ることができます。薪を割った際に、その下の地面や芝生を傷めることがないので安心です。持ち手がついた薪割り台だと、持ち運びしやすく便利でしょう。
ナイフ
ナイフで薪を割ることを、バトニングといいます。細い薪の木口にナイフの刃を当て、ナイフの背の部分を木で叩くことで、薪を細かく割ることが可能です。焚き付けには細い薪が適しているため、細い薪を作りたいときに利用できます。
また細く割った薪を薄く削り重ねて火付きをよくする「フェザースティック」を作るときも、ナイフが有効です。刃の厚いモデルや割りたい薪よりも余裕のあるブレードの長さがあると、幅広い薪に対応できるでしょう。
薪の購入先
薪はどこで手に入れられるのでしょうか。ここでは、購入先の例を紹介します。
ホームセンター
身近な場所にあるホームセンターでは薪を購入することができる場所の一つです。全国的に店舗数も多く、手軽に用意できるのがメリット。袋詰めか束にして販売されていることが多いため、薪の状態を目視で確認してから購入できるので便利です。
【関連記事】ホームセンター販売の薪。広葉樹や針葉樹などの選び方、値段以外の注意点は?
キャンプ場・道の駅
キャンプ場によっては、焚き火用の薪を販売していることがあります。現地で調達できれば事前の準備が不要なため、荷物が少なく済むのがメリットです。
また、山やキャンプ場の近隣の道の駅でも、薪が買えることがあります。道の駅は、その地域産の薪を比較的安価で販売しているケースがあるため、市販品より安く手に入れられるでしょう。ただし、タイミングによってはキャンプ場にも道の駅にも薪が売っていない場合があるため、事前に販売されているか確認しておくことをおすすめします。
通販
通販は、薪の樹種や長さを指定して買えるのがメリット。さらに、乾燥度についても記載されていることもあり、乾燥不足の心配も少ないでしょう。
長野県で木材加工業を営む齋藤木材工業株式会社は、信州産カラマツ100%の薪を販売するECサイト「森の中ストア」を運営しています。
販売している薪には、以下のような特徴があります。
●広葉樹と比較して火力が強く、一般的な針葉樹の薪よりも火持ちがよい ●きちんと乾燥させているため、着火が容易で火付けに失敗しにくい ●専用の施設で乾燥させているため、自然乾燥薪と違って保管時に虫が出ない ●建材加工技術を応用しているため、松特有のヤニがつきにくい
薪の購入に際しては配達日時の指定が可能なほか、荷物の事前受付を行っているキャンプ場であれば、直接送付することもできます。是非この機会にお試しください。
薪の購入はこちら
【関連記事】薪はどこで買う?販売店一覧と安く手に入れる方法。薪の種類や特徴も解説
薪に関するよくある質問
薪の種類のほか、「保管方法はどうすればいいの?」「どれくらい用意すればいいの?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。薪に関するよくある質問にお答えします。
薪の保管方法は?
Q.キャンプに行く前に薪を用意しましたが、どうやって保管しておけばよいですか?
A.自宅で保管する場合は、ベランダ等の軒下にすのこ板などを敷いてその上に薪を積み、地面から浮かせて保管しておきましょう。直に置いてしまうと、風通しが悪くなり薪が湿ってしまったり、虫がついてしまったりする原因となります。
保管方法についてくわしく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
【関連記事】薪の保管方法。適切な保管場所やおすすめ薪棚、ベランダでの保管は?
焚き火に必要な薪の量は?
Q.キャンプで数時間だけ焚き火を楽しみたいのですが、どれくらいの薪を用意すればよいですか?
A.ホームセンターなどで針葉樹の薪1箱(3kg前後)、広葉樹の薪1束(7kg前後)を購入した場合、3〜4時間持つと想定してよいでしょう。ただし、燃焼時間は薪の種類や太さ、そのときの季節や気候によっても異なります。たとえば、冬に暖をとるために長時間焚き火をするなら、さらにプラスして3束ほど用意するなど、どれくらいの時間焚き火を楽しみたいかによって必要量を準備しましょう。
種類ごとに異なる薪の特徴を活かして、焚き火を楽しもう
針葉樹と広葉樹の薪では特徴が異なり、さらに樹種によっても細かな違いがあります。薪の準備をする際の参考にしながら、それぞれの薪の燃え方の違いや匂いを比べてみたり、自分好みの薪を見つけたりしてもよいでしょう。種類ごとの特徴を活かし、アウトドアでの焚き火を楽しんでくださいね。