焚き火のための簡単な火起こし方法。道具や焚き付けのコツもくわしく解説

焚き火のための簡単な火起こし方法。道具や焚き付けのコツもくわしく解説

焚き火初心者の方にとって、最初のハードルとなる火起こし。どのような道具を準備し、どういった手順を踏めば効率よく火をつけられるのか詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。今回は、焚き火の火おこしに必要な道具の一覧や手順とコツ、事前に知っておきたい注意点について紹介します。

焚き火の火起こしに必要な道具

まずは、焚き火の基礎となる道具の一覧を紹介します。

●焚き火台
●薪 
●耐熱グローブ
●火ばさみ
●着火剤または着火剤の代わりとなるもの
●着火道具
●火消し壺
●バケツと水
火起こしに必要な道具

焚き火をするときには、上記のような道具を揃えておけばスムーズに楽しめます。さらに焚き火台の下に敷く「焚き火シート」があれば、地面に火のついた薪のくずや火の粉が飛んでも燃え広がりにくくなるので、用意するとなおよいでしょう。各アイテムは、主にアウトドアショップやホームセンター、通販などで手に入ります。それぞれの詳しい説明や商品例は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】焚き火に必要なもの13選!必需品&あると便利な道具、焚き火の際の注意点などをご紹介

薪は目的に応じて種類や太さを選ぼう

焚き火の燃料となる薪は、「針葉樹」と「広葉樹」の2種類に大別でき、それぞれ特徴が異なります。

針葉樹:広葉樹に比べて柔らかい性質を持ち油分が多いため、燃えやすい。焚き付けに適している(例:マツ・スギ・ヒノキなど)
広葉樹:木の密度が高く硬い性質を持つため、燃えにくい。火を長持ちさせたいときに適している(例:ナラ・サクラ・ケヤキなど)

この特徴を活かし、「焚き付け用の針葉樹の薪」と「火持ちさせるための広葉樹の薪」の両方を用意しておくと、焚き火の際に火力や燃焼時間の調整がしやすくなります。それぞれどれくらい用意すればよいか悩む場合は、1:1でよいでしょう。

また、太さの違う薪を用意しておくと火起こしがスムーズになります。どのように使い分けるかは後ほど説明しますが、できれば細めの薪(直径2cm程度)、中くらいの薪(直径5cm程度)、太めの薪(直径10cm程度)の3つを用意しておきましょう。ただし、ホームセンターなどで販売されている薪は、同じ太さのものしかない場合があります。そのようなときは、手元に小さめの斧(手斧)やナイフを用意し、自分で細く割るのもひとつの方法です。

薪の調達方法は、キャンプ場やホームセンター、薪を専門に扱う事業者などさまざまですが、薪を扱うオンラインショップも増えています。

長野県の齋藤木材工業株式会社が運営する「森の中ストア」は、信州産カラマツ100%を使った薪のオンラインショップです。森の中ストアでは、さまざまなシーンでの利用に対応できるよう、25cm・35cmの2種類の長さの薪を扱っています。オンラインショップを利用すれば、重い薪を運ぶ手間がいらず、少量から大容量まで、活用シーンに合わせた量の薪を購入できるので便利です。

この機会にぜひ、ご利用ください。

【関連記事】針葉樹と広葉樹の薪の違いや見分け方。焚き火やストーブで上手に活用するには 

市販の着火剤と着火剤の代わりに使えるもの

着火剤には、市販品と身近なアイテムで代用できるものがあります。

市販の着火剤

市販の着火剤は、ホームセンターやアウトドアショップ、100均などで手に入ります。主に固形タイプ・ジェルタイプの2つに分けられます。

●固形タイプ:着火に少し時間がかかるものの、着火後は嫌な匂いも少なく火が安定します。必要な分だけ使える小分けタイプは、初心者でも扱いやすく便利です。

●ジェルパックタイプ:パウチが燃えやすい素材でできているため、着火しやすいのが特徴。固形タイプと同じように置いて火をつけるだけなので初心者でも扱いやすいでしょう。

●ジェルチューブタイプ:チューブから必要量を練り出し、薪や炭に直接つけて着火するタイプ。焚き火に慣れている方におすすめです。火力が強いため、取り扱いには十分注意しましょう。

着火剤の代わりに使えるもの

着火剤が手元にない場合は、身近なアイテムで代用できます。

●松ぼっくり:キャンプ場など周辺の自然にある松ぼっくりは、油分を多く含むため着火剤として使えます。湿気を含んでいると燃えにくいため、乾いたもの(傘が開いた状態)を選びましょう。

●杉の枯葉:水分がしっかり抜けた杉の枯れ葉は、簡単に着火できます。時期によっては、杉の木の周りに大量に落ちているので、その中から、触るとパリパリと砕けるほど乾燥しているものを選びましょう。

●麻紐:100均などで買える麻紐は、ほぐして火をつけることで着火剤の代わりになります。片端を手で押さえ、こそぐようにナイフを滑らせると繊維がほぐれるので、手のひらサイズ程度の量できたら完成です。ナイフがなければ、手で麻ひもをほぐすこともできます。

●牛乳パック:牛乳パックの表面は、「パラフィンワックス」という石油原料でコーティングされているので、簡単に火が付いて長く燃えます。生活の中で出た牛乳パックを、着火剤として持っていくのもよいでしょう。

●フェザースティック:細く割った薪の表面をナイフで薄く削り、羽毛(フェザー)のようにしたものをフェザースティックといいます。フェザースティックは、薄く削れば削るほど自然と表面がくるくる巻かれ、火がつきやすくなります。コツを掴むには少々時間がかかるかもしれませんが、アウトドアのひとつの楽しみとしてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

着火道具として使えるもの

着火剤に火をつける際に使う着火道具にも、いくつか種類があります。

マッチ棒やライター

着火道具の中で最も手軽に手に入り、初心者でも扱いやすいのがマッチ棒やライターです。ライターは、首の長いものを選ぶと火に手を近づけることなく着火できます。

ガスバーナー

ガスバーナーで炙って薪に直接火をつけます。着火するまで炙ることができるので、火がつかないという心配はまずありません。料理で焦げ目をつけたいときにも使えるため、1つ持っておけばアウトドアシーンで活躍するでしょう。

ファイヤースターター

ファイヤースターターは、いわゆる「火打ち石」の役割を果たします。火花を散らすパーツのマグネシウム棒である「ロッド」と、それを削るためのパーツである「ストライカー」で構成されています。ストライカーでロッドを削り、その鉄粉を種火となる木くずや麻ひもの上にふりかけます。次にストライカーとマグネシウム棒を使って火花を作り、木くずに着火させることで火起こしが可能です。

焚き火の火起こし方法とコツ

火起こしの道具が揃ったら、いよいよ焚き火の実践です。ここでは、具体的な火起こし方法とコツを紹介します。

<ステップ1>薪を組む

細い薪~太い薪を用意できている場合は、事前に太さごとに分けておきます。焚き火台を設置したら、その上に薪を組んでいきます。薪を組む際は、太い薪1本に細い薪数本を立てかけるようにすると簡単です。内側に燃えやすい着火剤や細い薪を組み、その上に中くらいの薪を置きます。

薪を組む際は、あえて隙間を作ることも大切なポイント。空気の通り道があれば、炎が広がりやすくなります。

薪を組んでいるところ

<ステップ2>着火剤を置き火をつける

組んだ薪の内側に着火剤を置き、着火道具で火をつけます。

薪に火をつけたところ

<ステップ3>薪を追加する

着火剤が燃え始めたら、中央に細い薪を差し込み、立てかけます。細い枝に着火したら、徐々に中くらいの薪を足していきます。

薪の火が安定してきたところ

<ステップ4>様子を見ながら焚き火を楽しむ

太い薪に火がついたら、ある程度火力は安定します。新しく薪を足したときや、少し火が弱くなった際にはファイヤーブラスター(火吹き棒)などを使用し、空気を送り込むと火が復活します。

大きな炎が収まり、薪が真っ赤になるのは「熾火(おきび)」という状態。この状態になると、あとは中くらい~太めの薪を足していくだけでOKです。火力が安定することで、調理もしやすくなります。

薪を少しずつ足しながら、炎の揺らぎを眺めたり、火を囲んで暖を取ったりと、焚き火に癒されるひとときを楽しみましょう。

焚き火が落ち着いたところ

焚き火を楽しむために知っておきたい注意点

焚き火を楽しむ前に知っておきたい、基本的な注意点を紹介します。

焚き火が許可された場所で行う

大前提として、焚き火は「許可されている場所」で行なう必要があります。許可されていない場所での焚き火は、法律違反となったり、多くの人に迷惑をかける行為となったりするため、必ず確認しておきましょう。

キャンプ場であれば、ルールが記載された看板等が設置されているはずなので、事前に確認することをおすすめします。

【関連記事】焚き火は違法?庭・海・山・公園などでの焚き火に関する法律や注意点を解説

風が強い日は避ける

風は焚き火の大敵です。強い風の中で焚き火をすると、引火による火災の原因になり得ます。焚き火から山火事へとつながってしまうケースもあるため、風が強いときの焚き火はやめましょう。

周辺に燃えやすいものがないか確認する

焚き火をする前に、焚き火台の周りに燃えやすいものがないか確認しておくのも重要なポイントです。落ち葉や化学繊維の製品、ガス缶などは焚き火台から遠ざけ、安全なスペースを確保しましょう。

緊急用の水を手元に用意しておく

周囲の物や地面の枯れ草等に火が燃え移るなど、万が一の事態にも対応できるように、常に消化用の水を用意しておくと安心です。すぐに消化活動ができるよう、バケツに多めの水を汲んでおくと、いざというときに役立ちます。

ただし、焚き火台の素材によっては、水をかけると急激な温度変化に対応できず、変形する可能性があります。また、油を使った調理をしている場合、水をかけると予期せぬ爆発の恐れもあります。緊急時以外は、水をかけないようにしましょう。

後始末までしっかりと行う

焚き火を終えた後の始末も、しっかりと行なうことがマナーです。着火剤や燃え残った薪などのゴミは、家に持ち帰りましょう。

また、後始末の方法は施設ごとに異なるため、ルールを事前に確認しておくことも大切です。キャンプ場を予約するときに、後始末の方法まで聞いておくとスムーズに片付けを進められるでしょう。

キャンプ場には、多くの利用者が訪れます。全ての利用者が心地よく過ごせる環境を保つためにも、後始末まで気を抜かないことが大切です。

【関連記事】焚き火をした後の灰の処理は?安全な処理方法とリサイクル活用術を紹介

火起こしのコツを知って、焚き火を楽しもう

焚き火の火起こしには、いくつかのコツがあります。燃えやすい薪の準備や火のつけ方を知り、実践することで徐々に火起こしがスムーズにできるようになるでしょう。自分なりにやりやすい方法を探りながら、焚き火を楽しんでくださいね。