焚き火の臭いを防ぐ&消す方法について。髪やアウター、テントなどへの対処法も解説

焚き火の臭いを防ぐ&消す方法について。髪やアウター、テントなどへの対処法も解説

焚き火をしていると、「髪やアウターなどに臭いが付いてしまい気になる」という方も多いのではないでしょうか。今回は、焚き火が臭う原因をはじめ、臭いを抑える薪の選び方や焚き火の仕方、服装選びのポイントなどを紹介します。あわせて、髪やアウター、テント、車などに付いてしまった焚き火の臭いを取る方法も紹介するので参考にしてください。

焚き火が臭う原因は「煙」

焚き火で気になる臭いの原因は「煙」です。焚き火をした時に燃えているのは、薪そのものではなく薪から出る可燃性ガス。モノは有機物・無機物に関わらず、熱されることで可燃性ガスを排出します。排出された可燃性ガスに引火することで、モノが燃えているように見えるのです。

焚き火の場合、高温で熱した薪から発生した可燃性ガスに引火することで火が起こりますが、一部燃え切らない未燃焼ガス等が発生し、これが煙になるのです。焚き火でバーベキューを楽しむ方も多いと思いますが、バーベキューだと焼いた食材や油の臭いも発生します。

【関連記事】焚き火で煙が出る理由とは。5つの対策と周囲に迷惑をかけないためのマナー

煙を少なくする3つのポイント

焚き火で煙を少なくするためにはどうしたらよいのでしょうか。そのポイントを3つ紹介します。

【ポイント1】薪は水分量の少ないものを使用する

煙に関係するのが薪の水分量です。薪に水分が多く含まれていると、焚き火をした際にしっかり燃焼させることができず、不完全燃焼が起きてしまいます。薪に含まれた水分が飛ぶまで火が安定してつかず、煙がモクモク出てしまうのです。

置かれた薪

薪の水分量は、含水率で表されます。含水率とは、物質に含まれる水分の割合を示した比率のこと。1kg(1,000g)の薪を例にみてみましょう。

●含水率15% → 木850g・水分150g
●含水率50% → 木500g・水分500g

理想的な薪の含水率は20%以下とされています。薪選びをする際の参考にしてください。

しっかり乾燥した薪を調達する

薪は、自分で拾ったりホームセンターなどで買ったりすることができますが、しっかり乾燥した薪を調達するなら、薪の通販サイト「森の中ストア」がおすすめです。長野県で木材加工業を営む齋藤木材工業株式会社が運営しており、確かな品質の薪が揃っています。脱脂乾燥を6日間行い、含水率は10%前後をキープ。また、専用の施設で乾燥させているため、自然乾燥薪と違って保管時に虫が出ないのもうれしい特徴です。

薪の購入はこちらからどうぞ。

薪を地面に置かない

薪を置く場所も大切です。せっかく乾燥した薪を調達しても、保管場所が不適切だと湿気を帯びてしまいます。

保管に関しては、日当たり・風通しのよい場所を選びましょう。その際、地面に直接置くのはNGです。特に土の上に直置きしておくと、湿気がたまるだけでなく、カビや虫、腐食の原因になります。また薪の積み方は、乾燥を促す井桁組みがおすすめです。

井桁組みで保管された薪

さらに、焚き火をする際、くべる薪を置く場所にも注意を。地面に直に置くことは避けたいですね。机の上に置いたり、コンテナやカゴを使ったりする方法があります。スタンドとログキャリーを組み合わせて底上げするのもよいでしょう。

【関連記事】薪の保管方法。適切な保管場所やおすすめ薪棚、ベランダでの保管は?

【ポイント2】ある程度の高温(450℃以上)を保つ

煙には燃焼温度も大切で、薪をしっかり燃焼させるためには、ある程度高温(450℃以上)にする必要があります。燃焼温度が低いと、薪の成分がガスや化学物質に分解されても燃焼せず、黒い煙となって立ち昇ってしまいます。上手な焚き火のやり方は以下の記事をご覧ください。

【関連記事】【初心者向け】焚き火のやり方をステップで紹介。準備するものや薪の選び方

【ポイント3】二次燃焼構造の焚き火台を使う

煙を少なくするためには、二次燃焼構造の焚き火台を使うのも有効です。一般的な焚き火台では、高温で熱した薪から発生した可燃性ガスに引火する「一次燃焼」が起こります。この時、一部燃え切らない未燃焼ガス等が発生し煙になりますが、ここで発生した未燃焼ガスに、焚き火台で温められた高温の空気を送り、再度燃やすのが「二次燃焼」です。

二次燃焼を促すためには、二次燃焼構造の焚き火台を使用するのがおすすめです。一般的な焚き火台に層構造はありませんが、二次燃焼に対応した焚き火台は、壁が2層構造になっています。二次燃焼構造の焚き火台は、アウトドアメーカーなどから発売されており、自作もできるため検討してみてはいかがでしょうか。

【関連記事】二次燃焼構造のおすすめ焚き火台9選。仕組みやメリット・デメリットとは?

焚き火の臭いが付くのを防ぐための工夫

臭いの原因となる煙対策をみてきましたが、煙を少なくすることはできても、完全になくすことはできません。ここでは、焚き火の臭いが付くのを防ぐための工夫を紹介します。

風下にいかない

ご存知の通り、煙は風によって流れます。風下にいれば、どうしても煙をかぶってしまいます。焚き火をしている時の風向きを読んで、風下にいることは避けましょう

臭いの付きにくい服を着る

一般的に、コットン、シルク、ウールなど天然素材を使った服は臭いが付きにくいと言われています。これは、天然素材は通気性がよく、吸湿性が高いためです。反対に、臭いが付きやすい服は、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、アクリルなど化学繊維の素材からできている服です。化学繊維の服は通気性が悪く、吸湿性が低いため、臭いが付きやすいのです。

焚き火をする際は、できるだけ天然素材を使った服をまとうのがよいでしょう。また、アウトドアメーカーから発売されている焚き火用ジャケットやワークパンツもおすすめです。

髪の臭い防止対策は帽子の着用&スタイリング剤の使用

焚き火の臭いが髪の毛に付いてしまい困るという方も多いでしょう。髪の毛の臭い防止対策としては、帽子をかぶりましょう。煙が髪に直接触れないだけでも、臭いがつくことを軽減できます。また消臭効果のあるスタイリング剤の使用も効果があります。

衣類などに付いてしまった焚き火の臭いを取る方法

焚き火の臭いは、いくら防御しても全く付かないようにするのは難しいもの。ここでは、衣類などに焚き火の臭いが付いてしまった時の対処法を紹介します。

臭いを取る前に大切なのが、ほかの物へ臭いを移さないこと。例えば、洋服に付いてしまったら、まずは着替えましょう。その際、脱いだ衣類はビニール袋や閉口できるランドリーバッグなどに入れて封をしておけば、テントや自動車などに臭いを移す心配がありません。

風を当てる

手軽に臭いを消す方法として挙げられるのが、風を当てることです。具体的には以下の方法があります。

衣類を振る

最も手軽にできるのが、衣類を振って風を当てる方法です。臭いが付いてしまった衣類などは脱いだら両手で持って大きくバタバタと振りましょう。

ドライヤーやサーキュレーター・扇風機の風を当てる

風を当てるために、ドライヤーを使うのも良いでしょう。まずは「温風」を当て、次に「冷風」を当てるのが効果的です。サーキュレーターや扇風機で送風するのもおすすめです。

扇風機
image by Call Me Fred on Unsplash

乾燥機にかける

乾燥機にかけるのも効果があります。15分ほど臭いの付いた衣類を回すとよいでしょう。ただし、アクリル、カシミヤ、ダウン、革製品など熱に弱い製品や、タンブル乾燥(乾燥機による乾燥)が不可との乾燥洗濯表示が付いたものは、乾燥機の使用はやめましょう。溶けたり変形したり、製品を痛めたりする可能性があります。

洗う

焚き火の臭いを取る方法としては、洗うことも有効です。その際は以下の方法で行うと、より効果的です。

酸素系漂白剤に浸す

洗濯機や手洗いする際、通常の洗剤に酸素系漂白剤をプラスするだけでもよいですが、さらに効果を高めるためには、酸素系漂白剤を溶かした液に浸すとよいでしょう。漂白剤を使う際に気をつけたいのが、必ず「酸素系漂白剤」を使うこと。「塩素系漂白剤」は効き目は強力ですが、色柄も白くなってしまうので注意が必要です。

食器用洗剤で洗う

バーベキューをした際に出る煙は、油分がたくさん含まれています。そのため、通常の洗濯洗剤だけでは落としきれない場合もあります。その際に有効なのが、食器用洗剤です。食器用洗剤は、衣類にも効果があります。洗面器などにお湯を張り、食器用洗剤を入れて洗剤液を作ったら、30分ほどつけ置きし、その後いつも通りに洗濯すればOKです。

消臭スプレーを使う

消臭スプレーを持参し、気になったらスプレーをかけるのもよいです。通常の衣類用の消臭スプレーより、アウトドア専用の除菌・消臭スプレーの方が効果が高くおすすめです。焚き火直前に気になる箇所にスプレーしておくのもよいでしょう。消臭スプレーは手軽に対処できるので、1本持っていくと便利です。

ただし皮革製品・和装・毛皮など、水の霧吹きだけで縮んだり色落ちしたりするモノへの使用は避けましょう。また水に弱い繊維(絹・レーヨン・アセテート・キュプラなど)や水洗い不可の表示のあるもの、防水加工など特殊加工されたものには、あらかじめ目立たない部分で試し、縮み・しみ・色落ちなどを起こさないか確認してから使用しましょう。

重曹を使う

煙の臭いを消すために重曹を使うこともできます。袋の中に重曹と衣類などを一緒に入れておけば、2時間ほどで臭いが軽減します。脱いだ衣類はビニール袋や閉口できるランドリーバッグなどに入れて封をしておく際、重曹も入れておくとよいでしょう。

また、洗濯をする前に、重曹を水に溶かしてスプレーで吹きかけておくことも効果があります。

蒸気で飛ばす

蒸気も消臭に役立ちます。細かい水の粒子が臭い成分を取り込み蒸発するとき一緒に蒸発させてくれます。以下の方法で試してみてください。

1)入浴後の湯気のたった浴室に、消臭スプレーや重曹スプレーを全体にかけた衣類をつるす。
2)そのまま換気扇をかけて15分ほど放置する。
3)風通しの良い場所で陰干しをして湿気を飛ばす。

アウター・テント・車内の臭いを取るためには?

衣類などは手軽に洗ったり、つけ置きしたりできますが、アウターやテント、車内など簡単に洗えない場合はどうしたらよいでしょうか。一つずつ見ていきましょう。

アウター(ダウン、コート、ジャケットなど)の消臭

なかなか洗濯が難しいダウン、コート、ジャケットなどのアウターの消臭は、前述した「蒸気で飛ばす」方法が有効です。湯気の立った浴室で15分ほどつるし、その後、風通しの良い場所で陰干しをしましょう。浴室でつるした後、屋外の軒下につるし「夜干し」をすれば夜露にさらされ、一層効果があがります。臭いが残ったりカビが生えたりしないよう、湿気は残さないことが肝心です。

ダウンコート
image by Madalyn Cox on Unsplash

テントの消臭

テントも意外と臭いが付くもの。大きいので扱いが難しいと思われがちですが、以下の手順を踏めばかなり軽減できます。

1)風を当てる/両手で持って大きくバタバタと振る。ドライヤーやサーキュレーター・扇風機の風を当てる。
2)布で水拭きする/水だけでも、中性洗剤を混ぜたものでも可。ただし、防水コーディング保護のため、こすりすぎないように注意。
3)陰干しする/生地の劣化を防ぐため、なるべく日陰に干す。途中、裏返して両面干すようにする。
4)消臭スプレーをかける。
5)消臭効果のある活性炭や市販の消臭剤と一緒にしまう。
テント
image by everett mcintire on Unsplash

テント用の消臭スプレーもあります。衣類用のようにスプレーで吹きかけるタイプと、閉めきったテント内で噴射してしばらく待つという使い切りタイプがあります。

テントに臭いを付けないためには、風向きを考慮することも重要です。特に、テントの入口が風下になってしまうと、テント内に臭いが流れていくため注意が必要です。

車の消臭

キャンプ場などでは、近くに車を停めておくこともあるでしょう。車内に臭いが付いてしまった場合は、前述した重曹が使えます。重曹を車内に撒き、一晩放置した後、掃除機で吸い取ってください。

また、小型の空気清浄機を置いておくのもよいでしょう。USB電源対応のドリンクホルダーに入れるタイプや、アームレストに設置するタイプなどがあります。

焚き火の臭い対策を知り、臭いに悩むことなく焚き火を楽しもう

焚き火をすると髪やアウターなどにどうしても付いてしまう臭いですが、薪や服装、場所取りなど準備の段階から対策をとれば、臭いが付くことをずいぶん軽減できます。また付いてしまった臭いも、風や蒸気に当てたり、消臭グッズなどを使ったりすれば消臭効果が期待できます。焚き火の臭いを防ぐ対策や消す方法を知り、臭いを気にすることなく、焚き火を存分に楽しみましょう。