アップサイクル食品で食品ロスを削減。日本でも購入できる食品10選

アップサイクル食品で食品ロスを削減。日本でも購入できる食品10選

本来であれば捨てられるはずだった食材・食品廃棄物から、新たに作った食品である「アップサイクル食品」。近年、食品ロスの削減につながるとして、アップサイクル食品が注目されています。「そもそも、アップサイクルとはどういう意味か」「どのようなアップサイクル食品があるのか」など知りたい方も多いでしょう。今回は、アップサイクルの概要や、日本でも購入できるアップサイクル食品10選などを紹介します。

SDGsとも関連が深いアップサイクルとは?

アップサイクルとは、本来であれば捨てられるはずだったものを、より価値の高いものへと生まれ変わらせることです。アップサイクルすることで、もとのアイテムを活かしたり、生まれ変わったアイテムの寿命を伸ばしたりすることができるため、「資源の有効活用」につながります。

また、アップサイクルは、2015年9月の国連サミットで採択された国際目標である「SDGs(持続可能な開発目標)」とも関連が深いとされています。SDGsには「17」の目標がありますが、特にアップサイクルと関連性が高いのが「目標12:つくる責任つかう責任」です。この目標では、持続可能な消費生産形態を確保することを目的に、ゴミや食品ロスの削減が求められています。そのため、ゴミや食品ロスの削減に直結する取り組みである「アップサイクル」の注目が高まっているのです。

関連記事:アップサイクルとは?意味や商品例、アイデアなどを紹介。 服やバッグなど
関連記事:SDGsとは?わかりやすくSDGsの意味や17の目標などを紹介

アップサイクルの照明
image by Jagoda Kondratiuk on Unsplash

食品ロスの削減につながる、アップサイクル食品

近年、SDGsの観点から重要性が高まっているのが、「食品ロスの削減」です。食品ロスが商品の流通工程で生じる背景には、「食材の形・色が悪い」「食材に傷がある」といった理由があります。

しかし、たとえ食材の形がいびつだったり、傷がついていたりしても、「アップサイクル商品」として生まれ変わらせることができれば、無駄なく食材を使い切れます。製造工程における食品廃棄物が大幅に減るため、食品ロスの削減に直結するのです。

農林水産省の発表によると、日本の国民一人当たりの食品ロス量は、1日約113グラム(お茶碗一杯分のご飯の量相当)、年間約41キログラム(年間一人当たりの米消費量に近い量)にも達しています。このうち、家庭以外から出る「事業系食品ロス」は53%と半数近くを占めていることから、規格外の食材をアップサイクル食品にする動きが今後さらに高まっていけば、日本の国民一人当たりの食品ロス量は、自ずと減っていくでしょう。

(参考:農林水産省「食品ロスとは」)

おすすめのアップサイクル食品10選

日本でも購入できる、おすすめのアップサイクル食品を紹介します。

【チップス・ジャムなど】Upcycle by Oisix

Oisixから生まれたフードロス解決型の食ブランド「Upcycle by Oisix」では、見栄えや食感の悪さなどから捨てられていた食材を使ったアップサイクル食品を販売しています。ブロッコリーの茎や大根の皮、なすのヘタから作ったチップスや、バナナの皮を使ったジャムなどの商品があります。

(参考:Upcycle by Oisix

【ジェラート】YASASHIKU Gelato

老舗の醤油メーカー「日本丸天醤油株式会社」は、薄口醤油を作る際に使用する「甘酒」や、パートナー農家で生産される「不揃い・規格外の果物」をアップサイクルしたジェラート「YASASHIKU Gelato」を販売。ミルクや抹茶、チョコレートといった定番フレーバーの他、いちご、マンゴー、西洋梨(ルレクチェ)、ネーブルオレンジなど、季節限定・数量限定フレーバーも多数ラインナップしています。

(参考:YASASHIKU Gelato

【チョコレート】Re:You Chocolate

食品ロス削減事業を展開している「株式会社ロスゼロ」では、「Re:You Chocolate」と題し、廃棄予定の製菓材料やナッツ、ドライフルーツなどをアップサイクルしたチョコレートを販売。また、「Re:You Chocolate」の一環として、東日本大震災で甚大な被害を受けた気仙沼のいちご農家の復活を助けるため、気仙沼市の規格外いちごと未利用のチョコレートを使ったアップサイクルのチョコレート「気仙沼みなといちご」も販売しています。

(参考:「Re:You Chocolate」)
(参考:「Re:You Chocolate 気仙沼みなといちご」)

【チョコレート風スイーツ】COLEHA

発酵食品の開発を手掛けている「有限会社ソーイ」では、これまでは廃棄されていた「コーヒーベース(コーヒーカスのこと)」をアップサイクルした、チョコレート風スイーツ「COLEHA」を販売。砂糖の含有量別に、3種類の「COLEHA」があります。また、有限会社ソーイでは、「コーヒーベース」をペースト化して発酵させたアップサイクルコーヒー原料「NEO COFFEE」も製造しています。

(参考:ソーイ「アップサイクル」)

【お酒・クッキー】壱岐リトリート海里村上

長崎県壱岐島にある宿泊施設「壱岐リトリート海里村上」では、地元の酒造会社やパティスリーとコラボし、オリジナルのアップサイクル食品を販売。地元の酒造会社「壱岐の蔵酒造」とは、壱岐で廃棄予定だった食材を使ったクラフトジン「神楽」を共同開発しました。また、壱岐の「パティスリー遊・菓」と共同開発を行い、日本酒造りで出た酒粕を活用した「壱岐の酒粕くっきー」を販売しています。

(参考:壱岐リトリート海里村上「オリジナル商品」)

【乾燥野菜】OYAOYA

「OYAOYA」は、京都産の規格外野菜にこだわった乾燥野菜ブランドです。本来であれば廃棄されてしまう形の悪い規格外野菜を、乾燥野菜にアップサイクルしています。また、添加物不使用で、素材の味をそのまま楽しめるのも、「OYAOYA」の特徴です。「ドライトマト」や「乾燥きゅうり」「乾燥にんじん」など、10種類以上の乾燥野菜をラインナップしています。

(参考:OYAOYA
(参考:OYAOYA「OYAOYA乾燥野菜」)

【瓶詰めソース・ペースト】FARM CANNING

「FARM CANNING」では、本来であれば市場に出されずに廃棄予定だった規格外の野菜を生産者から直接仕入れ、瓶詰めソース・ペーストにアップサイクルしています。無農薬栽培や有機栽培、自然栽培などで育てられた野菜を、化学調味料や保存料を一切使わず一つひとつ手作りしているのが、「FARM CANNING」の特徴です。ニンジンやケール、ビーツなどの瓶詰めをラインナップしています。

(参考:FARM CANNING
(参考:FARM CANNING「びん詰め」)

【スープ】つま正

神奈川県で業務用野菜の製造・販売を行っている「株式会社つま正」では、業務用のカット野菜を作る際に出る野菜の切れ端を、スープにアップサイクル。時間をかけてゆっくりと煮出しているため、野菜の栄養分たっぷりのスープに仕上がっています。味は、「はちみつジンジャー」「ストレート(マイルドテイスト)」「ストレート(リッチテイスト)」の3種類があります。

(参考:株式会社つま正「八百屋さんの煮出しスープ 飲む野菜ファースト」)

【グラノーラ・ラテなど】ORYZAE JOY

「ORYZAE JOY」では、日本酒、みりんの製造過程で発生する醸造粕を、グラノーラやラテなどにアップサイクルしています。安心して食べてもらえるよう、添加物を極力使用しないのが、「ORYZAE JOY」のこだわりです。国産豆を使った「お豆グラノーラ」や「サラダラテ」「ジンジャーラテ」「ショコラクランチ」を販売しています。

(参考:ORYZAE JOY

【ビール】CRUST Group(CRUST Japan​)

食糧問題の解決に取り組んでいる「CRUST Group」では、廃棄予定のパンを、クラフトビールにアップサイクルしています。地球に優しいだけでなく、味もよいと好評です。ビールは、「CRUST Japan​」のHPから、購入できます。

(参考:CRUST Japan
(参考:CRUST Japan「ショップ」)

アップサイクル食品を日常の食卓に取り入れよう

アップサイクル食品の活用が進めば、食品ロスが削減され、SDGsの実現につながります。アップサイクル食品は、スイーツやスープ、お酒など多種多様です。自分好みのアップサイクル食品を探し、日常の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。