焚き火の正しい消し方とは?絶対にNGな消火方法も紹介

焚き火の正しい消し方とは?絶対にNGな消火方法も紹介

焚き火を楽しんだ後には、正しい方法で焚き火を消火する必要があります。「焚き火の火をどのように消したらよいのか」「途中でその場を離れるときや、寝る前には火を消す必要があるのか」など知りたい方もいるでしょう。今回は、焚き火の正しい消し方や絶対にやってはいけない危険な消火方法、焚き火の消火にまつわるQ&Aなどを紹介します。

火を消すための条件

焚き火の消し方を解説する前に、まずは火を消すための条件を見ていきましょう。

そもそも火が燃え続けるためには、「燃料」「酸素」「熱」の3つが必要です。

火を消すための条件は、「火が燃え続ける条件」の裏返しとなっています。つまり、「燃料」「酸素」「熱」のうち、どれか1つでも欠ければ、火は消えます。火を消したい場合は、3つの条件のうちの、いずれかを断ちましょう。

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焚き火の正しい消し方

焚き火の正しい消し方について、見ていきましょう。「基本」の消し方と、「すぐに消したい場合」の消し方に分けて、紹介します。

【基本】灰になるまで薪を燃やし切る

基本の消し方は、「薪を燃やしきり、灰にする」という方法です。「燃料」である薪が完全燃焼して灰になれば、それ以上燃えることはないため、最も理想的な消し方とされています。

薪が灰になるまでの時間は、薪の種類や焚き火台の構造、当日の天候などに左右されますが、おおよそ「2時間程度」です。そのため、「撤収時間の2時間前」には薪の投入を終えるようにしましょう。

灰になった状態

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【すぐに消したい場合】 

焚き火の火をすぐに消したい場合には、薪を「火消し壺に薪を入れ、密封する」または「水に浸ける」方法で消火します。

火消し壺に薪を入れ、密封する

火消し壺を使えば、短時間で消火できます。火消し壺とは、燃え残った炭や薪と「酸素」を遮断できる容器のこと。「酸素」が遮断されるため、火が消えます。

なお、燃えている薪を入れた火消し壺は非常に高温になるため、安易に触ると火傷のリスクがあります。素手で触ったり子どもが近づいたりしないよう、十分に注意しましょう。

火消し壷

薪を水に浸ける

火がなかなか消えそうにない状態の薪をすぐに消火したい場合には、薪を水に浸けましょう。「熱」が断たれるため、火が消えます。バケツなどに水をたっぷり張り、1~2本ずつ薪を浸けて、消火しましょう。

なお、表面にサッと水に浸けただけでは、薪の芯はまだ「熱」を帯びています。湯気が出なくなるまで水に浸し続け、確実に消火しましょう。

絶対にやってはいけない危険な消火方法

絶対にやってはいけない危険な消火方法を紹介します。いずれも火傷や火事などのリスクが高いので、同行者や周囲の方にも危険な消火方法として周知するようにしましょう。

【NG】焚き火台に水をかける

「焚き火台に水をかければ、火が消えるのでは」と考える方もいるかもしれませんが、薪が燃えている状態で水をかけるのは厳禁です。

焚き火台に水を直接かけると、高温の水蒸気や煙が大量に発生し、大火傷する危険性があります。急な温度変化により焚き火台が変形する可能性もあるので、焚き火台に水をかけるのは絶対にやめましょう

なお、水を張ったバケツに、まとめて多くの薪を入れる場合も、同様の危険性が想定されます。薪を一度に何本も水に浸けることは避けましょう

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【NG】熱い薪や炭・灰を地面に埋める・砂や土をかける

「土に埋めたり、砂・土をかけたりすれば、熱い薪や炭・灰でも消火できるのでは」と考える方もいるかもしれませんが、とても危険です。

この方法では、なかなか熱が下がらないため、火事や火傷のリスクがあります。環境にもよくありませんし、場合によってはゴミの不法投棄とみなされることもあるでしょう。そのため絶対に、熱い薪や炭・灰は地面に埋めたり、砂・土をかけたりしてはいけません

【NG】着火剤を足し、薪を燃やしきる

「熾火(おき火)になってきたから、着火剤を足して薪を一気に燃やしきろう」と考える方もいるかもしれませんが、焚き火に着火剤を追加するのはとても危険です。

着火剤は非常に燃えやすく、火に近づけると一気に燃え上がるという性質があります。着火剤を足してしまうと、「着火剤を持っていた手を火傷する」「急激に発火し、火事になる」といったリスクがあるため、着火剤を足して薪を燃やしきることは絶対にやめましょう

焚き火の火を消す際の便利グッズ

焚き火の火を消す際に、あると便利なグッズを紹介します。

【関連記事】焚き火をした後の灰の処理は?安全な処理方法とリサイクル活用術を紹介

火消し壺

先ほど紹介した通り、火消し壺を使うことで、「酸素」を遮断でき、短時間での消火が可能になります。火消し壺には、ステンレス製や陶器タイプなどがあり、大きさもさまざまです。アウトドアショップやホームセンター、オンラインショップなどで手に入りますので、事前に用意しておくとよいでしょう。

なお、「菓子の缶」や「オイルポット」などで代用するのは危険です。代用品を使うと、高熱により穴が空いたり、密閉する熱によって空気膨張で爆発したりする危険性があるため、代用品ではなく必ず火消し壺を使いましょう。

アルミホイル

調理で使うことが多いアルミホイルですが、焚き火の消火にも役立ちます。火の出なくなった炭をアルミホイルに包むことで、「酸素」が遮断され、消火できます。具体的な消し方は、以下の通りです。

アルミホイルを用いた、焚き火の消し方

ステップ①:アルミホイル(アウトドア用の厚手のもの)を広げる
ステップ②:アルミホイルに火の出なくなった炭を載せ、包む
ステップ③:念のため、もう一枚アルミホイルを重ねて包み、冷めるまで放置する

炭を包んだアルミホイルは非常に高温になるため、火傷しないように注意しましょう。

なお、アルミホイルは本来、消火を目的としたものではありません。火消し壺がある場合にはそちらを使用し、火消し壺を持参し忘れた場合のみ、最終手段としてアルミホイルを使うようにしましょう。

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火消しスプレー

通常の消火では使うことはありませんが、万が一の火事に備えて用意しておくと安心なのが、火消しスプレーです。火消しスプレーとは、キッチンなどでの初期消火を目的としたスプレータイプの小型消火器のこと。スプレー缶の上の部分を押せば、消火液がスプレーになって出てきます。

なお、通常の消火で使うと焚き火台が劣化してしまう可能性があるため、あくまで緊急時の初期消火用として用いましょう。

耐熱手袋や薪用トング・火ばさみ

火傷のリスクを極力減らせるよう、耐熱手袋や薪用トング・火ばさみも用意しておくと安心です。

耐熱手袋については、「手のフィット感」や「耐熱温度」「素材」「丈の長さ」といった基準から、最適なものを選ぶことをおすすめします。消火の際だけでなく、薪割りや調理の際にも使えるので、1つ持っておくと便利ですよ。

耐熱手袋をはめていても、燃え尽きた薪などを直で触ると火傷のリスクがあります。そのため、耐熱手袋と併用したいのが、薪用トング・火ばさみです。ステンレス製の一般的な形のトング型や鉄製のはさみ型など、素材や形、サイズ、色はさまざま。自分にとって、使いやすい物を選ぶとよいでしょう。

耐熱手袋

焚き火で残った炭・灰の処理方法

焚き火が終わり、残った灰・炭は、「キャンプ場の灰・炭捨て場に捨てる」または「自宅に持ち帰る」のいずれかの方法で処理します。

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キャンプ場の灰・炭捨て場に捨てる

キャンプ場によっては、灰・炭捨て場を設けているところがあります。灰・炭捨て場がある場合は、そこに残った灰・炭を捨てましょう。環境に負荷がかかるため、土に埋めるのは厳禁です。自宅に灰・炭を持ち帰ることに抵抗がある場合には、灰・炭捨て場のあるキャンプ場を事前に調べ、そちらで焚き火をするとよいでしょう。

なお、灰捨て場がある場合には、キャンプ場のどのあたりに位置しているのか事前確認しておくことをおすすめします。灰・炭捨て場から近い場所で焚き火ができれば、灰や炭を運ぶのに苦労せず、片付けがスムーズに進むでしょう。

灰・炭捨て場
image by ゆきだるま on photoAC

自宅に持ち帰る

「灰捨て場がないキャンプ場」や「持ち帰りのルールがあるキャンプ場」「キャンプ場以外の場所」で焚き火をした場合には、必ず自宅に持ち帰りましょう。

残った灰・炭を安全に持ち帰るには、「火消し壺・火消し袋に入れて持ち帰る」「アルミホイル(アウトドア用の厚手のもの)に包んで持ち帰る」といった方法をとることをおすすめします。

自宅に持ち帰った後は、お住まいの自治体のゴミ出しルールに従い処分するのが一般的です。なお、炭は完全に消火していても、火を点ければ、また燃えます。直近で焚き火をする予定がある場合には、灰と炭を別々の袋に入れて持ち帰り、炭は後日再利用するとよいでしょう。また、灰は家庭菜園の肥料や虫除けといった用途にリサイクルすることもできます。

焚き火の消火にまつわるQ&A

ここからは、焚き火の消火に関するよくある質問とその答えを紹介します。

焚き火途中にその場から離れるときは消火する?

焚き火中に、トイレや炊事などでその場から離れなければならなくなることもあるかもしれません。そうした際には、火や風の強さ、周囲の状況などをもとに、消火する必要があるかを都度判断しましょう。

火を消さない場合には、その場から離れる前に、「熾火(おき火)になるまで待つ」「薪を調整し、火力を落とす」「周囲の枯れ葉を片付け、火の粉が燃え移らないようにする」「同行者(ソロキャンプの場合には、周囲の人)に火の番を頼む」などの対策をとることが大切です。

翌日に焚き火をする場合、寝る前に消火する?

「翌日に焚き火をするから、火をつけたまま寝よう」と考える方もいるかもしれません。しかし、火を消さずに寝てしまうと、火の粉が舞ったり、誰かが焚き火台で転んだりといった事態にすぐ気付けず、火事が発生するリスクがあります。

火事を引き起こさないよう、就寝前には必ず焚き火を消火しましょう。

燃やしきれるよう、薪は必要量だけ用意しよう

先ほど紹介した通り、「灰になるまで薪を燃やし切る」というのが焚き火の基本的な消し方です。薪が灰になるまでは約2時間ほどかかるため、薪は必要量だけ用意・使用することをおすすめします。

薪は、ホームセンターやオンラインショップなどで購入できます。薪の重さが気になる場合は、自宅まで配送してくれるオンラインショップを利用すると楽でしょう。少量から大容量まで、季節やニーズに合わせて薪の購入量を調節できるというメリットもあります。

薪の購入でおすすめのオンラインショップのひとつが、信州産カラマツ100%の薪を販売するECサイト「森の中ストア」です。森の中ストアで販売されている薪は、長さが25cmと35cmから選択可能で、さまざまなギアやシーンで便利に利用できます。

森の中ストアの薪の特長

森の中ストアの薪は、次のような特長があります。

●脱脂乾燥を6日間実施して、安定的に含水率10%前後をキープ
●カラマツの外側にある、高密度部分を利用しているため、一般的な針葉樹の薪よりも火持ちがよい
●きちんと乾燥させているため、着火が容易で火付けに失敗しにくい
●専用の施設で乾燥させているため、自然乾燥の薪と違って保管時に虫が出ない
●建材加工技術を応用しているため、松特有のヤニがつきにくい

また、森の中ストアが取り扱う薪は、建築用の材木の製造過程で、建材として利用できずに通常は廃棄されてしまう部分を使って作られた、環境にも配慮された薪です。森の中ストアの薪を、この機会に是非お試しください。

焚き火の正しい消し方を覚え、焚き火を安全に楽しもう

焚き火の正しい消し方を紹介しました。「焚き火台に水をかける」「熱い薪や炭・灰を地面に埋める・砂や土をかける」といった方法はとても危険なため、絶対にやめましょう。焚き火途中でその場から離れる際は、火や風などの状況をもとに消火するか判断する必要があります。また、翌日に焚き火をする場合でも、寝る前には焚き火を消すことも忘れてはいけません。焚き火の正しい消し方を十分理解し、安全に楽しみましょう。