環境問題に対して個人ができること。地球が抱える問題や身近にできる対策
地球温暖化や海洋プラスチック問題など、地球規模で起こっている環境問題にはさまざまなものがあります。近年は、パリ協定やSDGsなど、環境問題をめぐる世界的な動きも加速しています。この記事では、特に深刻化している環境問題や国内外の取り組み、個人でできることなどを紹介します。
Contents
地球が抱える主な環境問題とは
近年、地球が抱える環境問題は世界的な規模で深刻化しています。さまざまな環境問題がある中で、それぞれが相互に関係していると同時に、企業の経済活動や個人の日常生活にも影響を及ぼすものもあります。
世界で起きている主な環境問題には、次のようなものがあります。
気候変動による地球温暖化
気候変動とは、気温および気象パターンの長期的な変化のこと。太陽周期の変化や火山の噴火など自然現象による場合もありますが、主な要因は人為的なものです。具体的には、石油や石炭などの化石エネルギーの消費に伴い、大気中の温室効果ガス(CO2)が増加し、地球の表面温度が高くなることが挙げられます。
地球の表面温度が高くなることで、氷河の融解や海面上昇、熱波や寒波、干ばつなどが引き起こされています。日本においても、空梅雨や連日の猛暑、記録的な大雨による土砂災害など、食物の生産や生態系にも影響を及ぼしています。今後、地球の表面温度がさらに高くなると、豪雨や猛暑などのリスクも高まるため、世界的な地球温暖化対策が必要といえます。
海洋プラスチックごみ汚染
海洋プラスチックごみは、人間がポイ捨てするなどしたプラスチック製品が風や雨によって川に入り、海に流れ込んでいるものです。この海洋プラスチックごみが増えることで、ウミガメがポリ袋を海藻やクラゲと間違えて食べてしまう、鳥が漁網に絡まるなど、生態系にも影響を及ぼしています。
また、豊かな自然を活用した観光業や、漁業・養殖業にとっても、分解されず海に残り続ける海洋プラスチックごみは経済的損失につながる問題となっています。
生物多様性の損失
生物多様性とは、地球上にいる多くの生物が、お互いにつながり合いながら生きていることを指します。「生態系」「種」「遺伝子」の3つの多様性があり、さまざまな生態系によって地球上の豊かさが保たれていますが、地球環境の悪化により生物が絶滅するスピードが加速しているのが現状です。
日本においては、次の4つが「生物多様性の危機」とされています。
- 開発や乱獲・人間活動による種の減少・絶滅、森林破壊など生息・生育地の減少
- 里地里山の手入れ不足など、自然への働きかけの減少による影響
- 外来種や化学物質の持ち込みによる生態系のかく乱
- 地球温暖化など気候の変化による生息環境の悪化
参考:環境省『生物多様性に迫る危機』
大気汚染
大気汚染は、工場の煙や車の排気ガスなどに含まれる化学物質によって、空気が汚れることをいいます。原因となる化学物質は、空気中で害のある物質へ変化するなど、人や生態系にさまざまな影響を及ぼします。
環境問題をめぐる国内の動き
日本国内では、環境行政を進める枠組みを定めた「環境基本法」があり、同法の第15条に基づき「環境基本計画」が策定されます。計画は約6年ごとに見直しされ、2023年には「第六次環境基本計画」の策定に向けて、検討会が行われました。
政府の具体的な対応として、次のようなことも実施されています。
- パリ協定の採択を機に、日本においても「2050年カーボンニュートラル」を宣言(地球温暖化対策)
- G20大阪サミットにおいて「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」をグローバルなビジョンとして共有(海洋プラスチックごみ)
- 「生物多様性国家戦略」の策定(生物多様性) など
環境を守るために個人ができることとは?
環境問題を解決するためには、私たち一人ひとりの行動が重要です。まずは次のようなことから始めてみましょう。
節水・節電
節水や節電(省エネ)は、すぐにできる環境問題対策の一つです。
- エアコンの設定温度を見直す、フィルターをこまめに掃除する
- 照明をLED電球や省エネタイプにする、誰もいない部屋の照明は消す
- 洗濯物は乾燥機を使わずに自然乾燥する
- 冷蔵庫は壁から離して設置、開け閉めは短時間にする など
日本は海に囲まれているため普段はあまり意識しないかもしれませんが、水も限りある資源のため、節水することも重要です。
- シャワーや歯磨きでは、水(お湯)を出しっぱなしせずこまめに開け閉めをする
- お風呂のお湯のためすぎ、沸かしすぎに注意する
- 残り湯を掃除や洗濯に使う
- 食器を洗う際、油汚れは古紙や古布などで拭きとってから洗う
- 洗濯機に洗剤を入れすぎない
- トイレを流すときは大小レバーを使い分ける など
節電・節水は光熱費が下がる効果も期待できるので、家庭で取り組みやすいでしょう。
公共交通機関や自転車、徒歩での移動
自動車の排気ガスは、大気中の温室効果ガスを増やす一因となっています。そのため、自家用車に乗らずに、自転車や徒歩で移動することも、温室効果ガスの排出削減が期待できます。健康増進にもつながるため、近い場所への移動は自転車や徒歩で、遠くに出かけるときは電車やバスなどの公共交通機関を積極的に利用しましょう。
自家用車を使うときは相乗りにする、急発進や急加減速を避けたエコな運転を意識することも、排気ガス削減に寄与します。
ごみを出さない、ごみになるものをもらわない
ごみの量を減らすことで、ごみ焼却による温室効果ガス(CO2)の排出を抑制します。例えば、使わない試供品はもらわない、過剰包装のものは避ける、詰め替え品を利用する、マイバックやマイボトルを持参するなどです。ストローのような使い捨てのプラスチック製品を使わないことで、海洋プラスチックごみを減らすことにもつながります。
買い物の見直しも大切です。食品は地産地消を意識する、旬のものを選ぶなども、輸送や生産で発生する温室効果ガスの削減効果が期待できます。また、調理は食べきれる分だけつくる、食品は確実に使い切れる分だけ購入するなどの工夫は、食べ残しや使い切れない食品が生ごみとなるのを避け、フードロスの削減にもなります。
3Rを意識する、リデュースやリサイクル品を選ぶ
3Rや5Rを意識して、捨てずに再利用・再資源化することも重要です。服や家電など私たちが日常的に使っているものは、原材料の抽出、製造、店頭への輸送など、それぞれの時点でCO2を排出しています。そのため、修理できるものは直して使う、新品でなくても良いものは中古品を購入するなど、新しいものを買わずに既存のものを利用してみましょう。使用するものや使用頻度によっては、購入ではなくレンタルを利用するのもおすすめです。
ペットボトルやプラスチックを分別・回収している地域もありますが、捨てずに資源回収に出すことに加えて、資源としてリサイクルされた商品を購入・使用することも大切です。近年は、100%リサイクルPETボトルを使用した飲料メーカーや、回収したプラスチックパーツを商品の原材料とするおもちゃメーカーなどもあります。
環境に配慮した商品やサービスの選択
上述の3R(5R)にも関連しますが、環境保全活動に取り組む企業の製品を選ぶことも、個人でできる環境対策です。CO2やごみの排出量の削減に努めている企業のほか、自社で太陽光パネルを設置しているなど、環境に配慮した企業の商品やサービスを利用することが、間接的に環境問題解決につながります。
長野県の齋藤木材工業株式会社は、製材工程で発生した端材を薪にして販売しています。建築資材と同じように人工乾燥させた薪のため、含水率が10±3%と低く着火が簡単で、虫が出にくいというメリットもあります。薪をご利用の際は、使いやすく環境にも配慮している薪を選んではいかがでしょうか。
環境問題を考え、身近にできることから始めよう
世界的な課題となっている環境問題は、私たち人間の活動によって発生していることがほとんどです。すぐに解決するのは困難ですが、絶滅の危機にある動植物を守り、異常気象による災害を抑制するためには、個人の努力が不可欠です。一人ひとりが環境問題を意識して、日常生活や事業活動の中でできることに、少しずつ取り組んでいきましょう。