林道の種類や役割。林道の楽しみ方とマナーなど

林道の種類や役割。林道の楽しみ方とマナーなど

林道とは生活道路の役割以外にもさまざまな目的のもとに作られた道路で、一般道とは区別されます。林道の種類や役割を知ったうえで楽しみたい方もいるでしょう。そこで今回は、林道の定義や役割と、ツーリングやドライブで楽しむうえで知っておきたいマナーや注意点などをご紹介します。

林道とは

一般的に森林の中にある道路を「林道」とする場合もありますが、林道とはどのような道のことでしょうか。林道は一般道とは管理者が異なり、走行時の決まりなどがあります。まずは林道の定義やその役割などを確認していきましょう。

林道の定義と種類

林道とは、主に森林の整備・保全を目的に森林内に設けられた道路のこと。林野庁が「林道規程」で定めており、国道や県道、市町村道といった一般道とは区別されています。

林道は、その林道の管理者によって区別されています。ひとつは、地方公共団体や森林組合等が民有林内に開設する「民有林林道」、もう一方は国が国有林内に開設する「国有林林道」です。

さらに、林道は道路の幅や利用目的によって、次の3つに区分することができます。

(1)自動車道

(2)軽車道

(3)単線軌道

軽車道は、全幅員が1.8メートル以3.0メートル未満のもので、軽自動車が通行可能なものとされており、単線軌道とは、山の中に敷かれた電車のレールを指します。

林道の役割

林道は、主に山村と森林を結ぶアクセス道として、森林にアプローチしやすくするために作られています。森林の適切な管理や間伐等の森林整備を行う基盤として、重要な役割を果たすものです。

また森林経由で山村・都市間を結ぶ林道は、その地域に居住する人の生活道でもあり、災害発生時には山村の孤立化を防ぐ迂回路として機能することもあります。

林道は誰が管理している?

林道の管理を行うのは、国有林林道では「森林管理署長」「支署長」「森林管理局」のいずれかです。また、民有林林道では「地方公共団体」または「森林組合等の長」となります。林道の種類によって管理者が異なるため、連絡を取りたい場合は注意が必要です。

一般の人が通行できない林道がある?

林道は、主に木材運搬や山での作業のために整備されたものです。そのため、入り口にゲートが設置されており、施錠されていることもあります。このような林道は一般の車両が利用できず、走行には林道管理者の特別な許可が必要です。

また、施錠されていない林道の場合でも、通行に危険が認められる場合には管理者の判断により「通行止め」となることがあります。

林道の楽しみ方

林道は森林に囲まれており、自然の宝庫でもあります。林道を楽しむ、おすすめの方法をご紹介します。

林道の中
image by Adrien Tutin on Unsplash

散策や森林浴

林道の散策や森林浴はいかがでしょうか。四方を自然に囲まれた林道なら、日常の喧噪を忘れてリフレッシュすることができるでしょう。森林浴には、副交感神経の活動を高めて気持ちをリラックスさせたり、免疫機能を高めたりする効果が期待できます。

動植物の観察や山菜・きのこ狩り

林道では、街の中では見られない、めずらしい動物や植物を見つけることもできます。図鑑や双眼鏡を片手に、足元に咲く山野草や鳥などを探して楽しんではいかがでしょうか。春には山菜やきのこ、秋にはどんぐりや栗などさまざまな木の実探しも楽しめます。

ツーリングやドライブ

オフロードのツーリングやドライブも、人気の楽しみ方です。林道は舗装がない、いわゆる「ダート」であることも多く、舗装された道の走行とはまた違った醍醐味があります。速度制限や砂利道で滑りやすいため低速で走ることが必要ですが、その分周囲の植生を観察したり、自分のペースでツーリング・ドライブを楽しんだりできます。林道を走りながら、自然を満喫してみてはいかがでしょう。

林道のツーリングやドライブを楽しむために

人気のツーリングやドライブですが、林道での走行を楽しむためにはマナーや注意を守り、安全に行うことが大前提です。ここからは、林道でのツーリングやドライブを楽しむために心得ておきたいことを確認していきましょう。

林道でのドライブ
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林道を走行するときに知っておきたいこと

林道には、林道起点・終点・中間点を知らせるための、「林道案内標識」が設置されています。案内標識には、林道の名前と幅、安全に走行できる最大の速度や、走行上の注意事項などが記載されているので、走行時にはこれを踏まえておきましょう。

林道案内標識は、万一の場合の緊急連絡時に、自分の位置を相手に伝えるためにも重要です。林道を利用する際は、必ず案内標識を確認するようにしましょう。

林道を走行する際のマナー

林道を走行する際に心がけたいマナーを確認していきましょう。

制限速度を守る

林道は、安全に走れる速度の目安となる「安全速度」が20キロに設定された道が多く、一般道に比べて低速での走行が義務付けられています。勾配やカーブが急である、ガードレールが設置されていない道が多い、道幅が狭いことが多い、といった特性を持つ林道を安全に走行するために、速度制限を必ず守りましょう。

なるべく静かに

林道は、付近に住む住民の生活道路になっている場合もあります。交通量の少ない林道を走ると、一般道では気にならない走行音も目立ってしまいます。エンジン音による苦情が住民から寄せられることもありますので、走行時は「他人の家の敷地内を走る」つもりで、周囲に配慮することも大切です。

管理地に入らない

林道から続く、管理地に立ち入らないこともマナーの一つです。生態系保全や危険を伴うためなど、何らかの目的から管理地となっている場所は、立ち入ることができません。遭難や滑落といった危険を防ぐためにも、管理地には入らないようにしましょう。

環境を壊さない

林道は、景観や自然を楽しむことを目的とした「自然公園」や個人が所有する「私有地」である場合もあり、これらの場所では動植物の採取が禁止されています。自然を楽しむマナーとして、ありのままの自然に配慮することは心がけておきたいですね。未舗装の林道を走行する際には、空ぶかしで土を掘らないことも環境を守ることにつながります。

また、ゴミのポイ捨てやタバコの投げ捨ては不法投棄となり、罰則の対象です。タバコは山林火災の原因にもなるため、マイ灰皿を必ず携帯しましょう。

林道を走行する際の注意点

林道を走る際には、「万が一に備えておく」姿勢が身を守ることにつながります。「いつも大丈夫だから」と過信せず、走行時は以下の備えを行いましょう。

「万が一への備え」で必要なこと

林道のツーリングやドライブの際は、以下のような備えを行ったうえで楽しみましょう。

・出発前に、交通規制の有無を確認する
・2人以上で走る
・ガソリンは満タンにしておく
・GoogleMapの位置情報共有をONにしておく

規制の情報は、それぞれの林道を管轄する自治体や県がホームページ上で発表している場合もあります。ツーリングやドライブの予定がある場合は、週間天気予報などを参考にしながら、災害の危険がないかを確認しておきましょう。

また、いざというときのために2人以上で出かけると安心です。迷ったときや遭難に備えて、ガソリンを満タンに、自分の位置情報を知らせられるように、GoogleMapの位置情報サービスをONにしておくなどの対策も有効です。

故障対策をする

林道の走行時は、悪路による転倒や、砂利が跳ねることでパーツを破損することも考えられます。林道では助けが来るのに時間がかかったり、大型車両は乗り入れられないことも考えられるため、自分で修理ができるよう、以下の備えを行いましょう。

・工具と予備パーツの準備
・バイクガードの取り付け

装備もしっかりと

林道の走行時は、バイクや車両の装備を万全にするだけでなく、自身の装備もしっかりと行うと安心です。林道のツーリングやドライブに最適な服装と持ち物は以下の通りです。

●服装
・ライディングジャケット(肘・脊椎・胸部のガード付きのもの)
・ライディングパンツ(膝ガード付きのもの)
・ブーツ(なるべくオフロード専用のもの)

●持ち物
・水分
・軽食(チョコレートやナッツなど、高カロリーなもの)
・ファーストエイドキット

まとめ

森林の保全や木材運搬を目的に整備された林道は、周辺住民の生活道路でもあります。さまざまな楽しみ方ができるものの、走行時や林道に入る際には、ルールやマナーをしっかりと守ることが大切です。注意点や装備などを参考にしながら、安全に林道を楽しみましょう。