世界・日本の森林面積ランキング。森林面積はどのように推移している?

世界・日本の森林面積ランキング。森林面積はどのように推移している?

森林面積が最も広い国や都道府県は、どこでしょうか。また、世界や日本の森林面積はどのように推移しているのでしょう。この記事では、最新資料をもとに、世界や日本の都道府県における森林面積のラインキングや森林面積の推移などをわかりやすくご紹介します。環境問題とも関連深い森林の今について、紐解いていきましょう。

【都道府県別】日本の森林面積ランキング

国土の67%が森林に覆われた、森林大国である日本。日本における森林面積と、面積に占める森林の割合を表す「森林率」が高いまたは低い都道府県を、ランキング形式でみてみましょう。

森林面積の広さ、47都道府県ランキング

まずは、森林面積が広い都道府県を一覧でご紹介します。

順位都道府県名森林面積(ha)国土面積(ha)・順位
1位北海道5,538,4477,842,076(1)
2位岩手県1,171,4461,527,501(2)
3位長野県1,068,6361,356,156(4)
4位福島県973,8341,378,374(3)
5位岐阜県861,9781,062,129(7)
6位新潟県855,1591,258,418(5)
7位秋田県839,2471,163,752(6)
8位山形県669,272932,315(9)
9位青森県632,805964,556(8)
10位広島県611,222847,947(11)
11位高知県595,032710,393(18)
12位鹿児島県587,983918,699(10)
13位宮崎県585,559773,531(14)
14位兵庫県560,006840,093(12)
15位島根県524,495670,824(19)
16位静岡県497,123777,743(13)
17位岡山県483,378711,447(17)
18位熊本県462,965740,944(15)
19位大分県452,791634,074(22)
20位山口県436,957611,234(23)
21位群馬県423,141636,228(21)
22位宮城県417,086728,222(16)
23位愛媛県401,050567,619(26)
24位三重県372,230577,441(25)
25位和歌山県361,328472,471(30)
26位栃木県349,006640,809(21)
27位山梨県347,781446,527(32)
28位京都府342,300461,219(31)
29位徳島県314,829414,679(36)
30位福井県312,025419,049(34)
31位石川県286,046418,609(35)
32位富山県284,994424,761(33)
33位奈良県283,701369,094(40)
34位鳥取県258,988350,713(41)
35位長崎県242,595413,220(37)
36位福岡県222,394498,640(29)
37位愛知県218,153517,290(27)
38位滋賀県202,890401,738(38)
39位茨城県186,781609,712(24)
40位千葉県157,276515,764(28)
41位埼玉県119,779379,775(39)
42位佐賀県110,403244,068(42)
43位沖縄県106,730228,114(44)
44位神奈川県94,695241,592(43)
45位香川県87,514187,673(47)
46位東京都78,927219,100(45)
47位大阪府57,220190,514(46)

(参考:林野庁「都道府県別森林率・人工林率(平成29年3月31日現在)」)

2017年現在の日本の森林面積は、約2500万ヘクタール(ha)です。都道府県別にみると、1位~9位までには北海道や東北地方・中部地方の県がランクインしています。これは、都道府県の面積の広さにほぼ比例する傾向です。中でも、北海道と岩手県、長野県では森林面積が100万haを超えており、日本の中でも特に森林が多いと言えます。

1位はどこ?森林比率が高い・低い都道府県

続いて、都道府県の面積に占める森林の面積である「森林率」が、高い県・低い県をみてみましょう。

森林率が高い都道府県ランキング

順位都道府県森林率(人工林率)
1位高知県84%(65%)
2位岐阜県81%(45%)
3位長野県79%(42%)
4位山梨県78%(44%)
4位島根県78%(39%)

森林比率が最も高いのは「高知県」で、「岐阜県」が続きます。いずれも先程の森林面積よりもランクを上げているのがわかります。1位の高知県では人工林率も65%と、2位以下の県と比べて高く林業が盛んに行われていることがうかがえます。

森林率が低い都道府県ランキング

順位都道府県森林率(人工林率)
1位千葉県30%(39%)
1位大阪府30%(49%)
3位茨城県31%(59%)
4位埼玉県32%(49%)
5位東京都36%(45%)

(参考:林野庁「 都道府県別 森林率・人工林率」)

一方、森林率が最も低い都道府県は、「千葉県」「大阪府」でともに30%、次いで「茨城県」が31%などとなっています。関東平野に位置する都県や大都市圏では森林率が低いことがうかがえます。

世界の森林面積ランキング

続いて、世界の森林に目を向けてみましょう。国際連合食糧農業機関(FAO)の「世界森林資源評価2020:Global Forest Resources Assessment2020(FRA2020)」によると、2020年の世界の森林面積は約40億haで、世界の陸地面積の約3割を占めています。森林面積が広い国を1位~10位までランキング形式でみてみましょう。

順位面積(1,000ha)世界の森林面積に占める割合(累積比率)
1位ロシア連邦815,31220 (20)
2位ブラジル496,620 12(32)
3位カナダ346,9289(41)
4位アメリカ合衆国309,7958(49)
5位中国219,9785(54)
6位オーストラリア134,0053(57)
7位コンゴ民主共和国126,1553(60)
8位インドネシア92,1332(62)
9位ペルー72,3302(64)
10位インド72,1602(66)

(参考:林野庁「世界森林資源評価(FRA)2020 メインレポート 概要」)

森林面積が最も広いのは「ロシア連邦」で、ロシアだけで世界の森林面積の2割を占めています。以下、「ブラジル」「カナダ」「アメリカ合衆国」と南北アメリカの国々が続きます。世界の森林面積の半数以上は森林面積上位5カ国に分布しており、上位10カ国で66%を占めていることがわかります。

OECD加盟国中、日本の森林比率は第3位

2020年7月現在のOECD(経済協力開発機構)加盟国37カ国のうち、上位10カ国の森林率をみてみましょう。FRA2020のデータを基に林野庁が作成した資料によると、日本は北欧2カ国に次いで、第3位の森林率を誇ります。

順位面積(1,000ha)森林率(%)
1位フィンランド22,40973.7
2位スウェーデン27,98068.7
3位⽇本24,93568.4
4位韓国6,28764.5
5位スロベニア1,23861.5
6位エストニア2,43856.1
7位ラトビア3,41154.9
8位コロンビア59,14253.3
9位オーストリア3,89947.3
10位スロバキア1,926 40.1

(参考:林野庁「世界森林資源評価(FRA)2020 メインレポート 概要」)
(参考:経済産業省「OECD(経済協力開発機構)」)

【グラフでわかる】森林面積の推移・変化

では、世界や日本において森林面積はどのように推移しているのでしょうか。

世界の森林面積の推移

世界の森林面積は1990年~2020年の30年間で、日本の国土面積の約5倍にあたる、1億7800万haが減少しています。しかし、1990年以降の森林面積の「純減速度」は、年平均で1990年から2000年が「784万ha」、2000年から2021年が「517万ha」、2010年から2020年が「474万ha」となっており、その速度は減速傾向にあります。

森林面積減少率

地域別の森林面積の推移は次のようになっています。

地域毎の森林面積減少率

アフリカでは過去30年間森林面積が減少し続けており、2010年から2020年の10年間は森林の純減速度が最大となっています。南米地域でも森林面積は減少傾向ですが、純減速度は2000年から2010年にかけては年平均525万haだったのが、2010年から2020年では260万haへと改善しました。

一方、アジアでは2010年から2020年の期間において中国で森林が約200万ha増加したことなどにより、森林面積は1990年以降地域全体で純増傾向にあります。

(参考:林野庁「世界森林資源評価(FRA)2020 メインレポート 概要」)

日本の森林面積の推移

日本に目を向けてみると、森林面積は1966年以降約50年に渡り、ほぼ横ばいで推移しています。

日本の森林面積

(参考:林野庁「森林面積の推移 森林蓄積の状況」)
(参考:林野庁「調査結果の概要(平成29年3月31日現在)」)

「森林を構成する樹木の幹と体積」である「森林蓄積量」については、以下のグラフの通りに推移しています。

日本の森林蓄積量の推移

(参考:林野庁「森林面積の推移 森林蓄積の状況」)
(参考:林野庁「調査結果の概要(平成29年3月31日現在)」)

森林面積が横ばいで推移する一方、森林資源の目安とも言われる「森林蓄積量」は、この50年間で倍以上に増加しています。特に人工林における蓄積量の増加が顕著です。これは、戦後に造林された人工林が成長し、資源としての蓄積量が増していることを意味します。日本は今、森林資源が豊富にあるにも関わらず、その活用が十分に行われていない状態とも言えるでしょう。

暮らしに欠かせない、森林の役割

森林は人の暮らしに欠かすことのできない、さまざまな役割を担っています。これを「森林の有する多面的機能」といい、具体的には以下のような機能をもちます。

森林の役割

(参考:林野庁「日本の森林・林業の今」)

森林には、地球温暖化を防ぐ「地球環境保全機能」や、「土砂災害防止機能」「水源涵養機能」など、人々が住むために欠かせない環境を保全してくれる重要な機能があります。

また、さまざまな動植物のすみかとなる「生物多様性保全機能」や、木材やきのこの生産の場となる「物質生産機能」なども、私たちの暮らしに欠かせないものと言えるでしょう。

【関連記事】森林の働きとは?森林が果たす役割について詳しく紹介【イラスト入り】

日本の森林が抱える課題

日本国内における森林蓄積量の増加からもわかるように、国内の森林は今本格的な利用時期を迎えています。それにもかかわらず、林業という産業は衰退の一途を辿っています。林業衰退の背景には、低価格な輸入材のシェア拡大や林業従事者の高齢化・後継者不足などの問題があります。豊富な森林資源を活用するためには、林業という産業を立て直すことが不可欠です。

【関連記事】林業が抱える課題とは。課題の解決策や取り組みを紹介
【関連記事】林業とはどのような産業?暮らしに不可欠な森林との関係や将来性、やりがいなど

見直され始めた日本の森林の価値

林野庁が発表した「令和3年度森林・林業白書」によると、日本国内で消費される木材のうち、国産材が占める割合を示す「木材自給率」が、ほぼ半世紀ぶりに4割台に回復しました。新型コロナウイルスの流行下における「ウッドショック」の影響を受けて、輸入材が停滞し国産材の活用が進んだことや、バイオマス発電向けなどの燃料向けの需要拡大が国産材の活用を後押ししたとされています。

このように、日本の森林資源の価値は近年見直されつつあります。

木材価格の推移

(参考:林野庁「令和3年度森林及び林業の動向 令和4年度森林及び林業施策 概要」)

森林保全や森林活用に関する取り組み

日本では、2021年6月に新たな「森林・林業基本計画」が閣議決定されました。この中では、建築物への木材利用等を促進し、林業・木材産業の成長産業化に取り組むことなどが、目標として盛り込まれています。森林資源の適切な管理と利活用は、2050年カーボンニュートラルの実現に資する、「グリーン成長戦略」の観点からも期待されています。

また、2021年10月には公共建築物等木材利用促進法が改正され、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(通称:都市の木造化推進法)が成立。国産木材利用をより一層促進させるための下地づくりが進んでいます。

森林活用に関しては、以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】林業が抱える課題とは。課題の解決策や取り組みを紹介

日本は世界有数の森林大国

日本は、OECD加盟国の中で、北欧フィンランド・スウェーデンに次いで第3位の森林率を誇る世界でも有数の森林大国です。しかし、近年では林業の衰退に伴い、豊富な森林資源が十分に活用されていません。政府は2050年のカーボンニュートラルに向けて、森林の適切な保全と活用を進めるために、林業の成長産業化を推進しています。豊富な森林資源を大切に保全しながら、適切に活用していくことが、これからますます求められていくのではないでしょうか。