【世界初】天然深共晶溶媒を用いた100%天然バイオマス系・生分解性プラスチックを開発。GSアライアンス

【世界初】天然深共晶溶媒を用いた100%天然バイオマス系・生分解性プラスチックを開発。GSアライアンス

脱炭素、カーボンニュートラル社会構築のための、環境・エネルギー分野向け最先端材料を研究開発するGSアライアンス株式会社は2022年2月2日、天然深共晶溶媒を利用して、木と石そのものから作った100%天然バイオマス系生分解性プラスチックを開発したと発表しました。今後は、この革新的新規材料の分析や樹脂特性のさらなる向上を進めると共に、国内外へのサンプルワークを始めていくということです。

地球温暖化やプラスチック汚染など深刻な環境問題が開発の背景

人口爆発に伴って地球温暖化や環境汚染、森林破壊などが深刻な環境問題となっています。プラスチックによる汚染も生態系を破壊する壊滅的なレベルに近づいており、2050年には海中に漂うプラスチックゴミの量が魚の量を上回る可能性があるとされているほか、人体にはすでにマイクロプラスチックやナノプラスチックが入りつつあるとも言われています。

プラスチックは厳密には「熱可塑性樹脂」と呼ばれ、熱をかけて溶かし、溶解した状態で成形機にかけて、様々な形に成形し製品となります。最近は微生物によって分解され自然に還る「生分解性プラスチック」が国内外の企業で生産され、実用化され始めているものの、依然として石油由来で生分解性が低いプラスチックの利用が大半であり、プラスチック汚染は今もなお続いている状況です。

生分解性プラスチックはトウモロコシやサトウキビなどのバイオマスからも作ることが可能ですが、人間の食糧と拮抗するという問題があります。人間の食糧と拮抗しない材料としてセルロースがありますが、石油由来の添加剤などを一切使用せずにセルロースを熱可塑性樹脂化することは難しいといった課題もあるのが現状です。

100%天然組成の天然深共晶溶媒を用いて、木そのものから熱可塑性材料を開発

GSアライアンスに所属する森 良平博士(工学)はこの度、自社で開発している深共晶溶媒、その中でも特に100%天然組成の天然深共晶溶媒を用いて、木そのものから熱可塑性材料を開発したということです。

木や植物は主に「セルロース」「リグニン」「ヘミセルロース」の3成分から構成されていますが、深共晶溶媒によりこれらの成分を膨潤、微分散、溶解させ、加工をして熱可塑性材料化しました。木や石以外の、天然深共晶溶媒を含めた他の成分も、環境に優しい、既に人間社会にありふれている成分を原料としており、全体として石油由来の材料は一切使用しておらず、100%天然成分からできた環境に優しい材料だということです。

今回のような開発は世界初のことであり、この成果により、本当の意味での実用化が可能になりました。同様の方法を用いれば、さまざまな地球上の植物、廃木材、廃植物、海藻、廃紙、パルプなどの天然有機資源を原料にできるとも言います。さらに、木や石、他の全ての構成材料は比較的安価であるため、大量生産時のコスト安も期待できるとしています。